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アレンジ特訓10回目 9

「海老の良いダシが出たかな。それにエビ団子と葉類を入れましょ」

これはそのまま素材を活かすスープといえる。魚介系の旨いダシを鶏がらスープに出せるだけ溶けこませれば多くの人が好む味付けになるだろう。

「有音ちゃんの作っているおかずとそのスープが合うかなと気になるけど、スープから出ている匂いで美味だろうなと予想出来るわね」

「食べ合うまで待っていて欲しいです。それと、真奈先輩の作ったスープも見せて下さい」

 私は先輩の作っているスープをそばで見せてもらう。作っているのは4等分したカブに玉ねぎ1個を薄切りしたもの。ベーコンは目分量好きなだけといったところかな。ベーコンと玉ねぎを炒めているのでそれがコツに見える。


「これでお互い作り終わったわね。私達がどれを作ったか改めて確認しましょうか」

 私がそうしましょう的返事をすると、真奈先輩の方から作った物を口に出した。<バターじょう油大根ステーキ>と<トマトと卵の中華炒め><カブとベーコンのスープ>この3種類が真奈先輩の作った物だ。続いて私も作った物を伝えた。<豚こまボール揚げ><かぼちゃのマカロニサラダ>後は<エビ団子スープ>であると。

「我慢してたらお腹が鳴っちゃいそうだし食べましょ有音ちゃん」

「そうですね。それではいただきます」


 食前の挨拶をして、お互いの料理を交換してから食べる。まずは真奈先輩の感想からだ。

「そういえば有音ちゃん、カボチャの可能性を求めるみたいになっているわね。具に違いがあるのと、味付けに変化があるけど」

 先輩に指摘された私は、偶然同じ食材を使った料理なだけだったので驚く。このメインおかずに合いそうだという考えなだけだったのだから。

「料理を味わった感想を聞きたいわよね。このボール揚げは食べた時に覚えるしょうが風味が良いわ。普通のマカロニサラダをアレンジしたみたいなこれはどうかしら。カボチャの甘みがハチミツで増強されているからマカロニもパクパクいけちゃうわね」

 おかずを先に食べ、スープを飲んで一口。

「エビの風味が体内に染み渡る! だけどおかずとの相性は惜しい気がするの。スペアね」

 真奈先輩がボウリング用語を口にしたので私は不思議に思い、聞いてみた。すると先輩の顔がほんのり赤くなった。食べている最中に頭の中でボウリング映像が再生したからだと教えられる。学校行事が印象的だったのも理由の1つだろうか? 想像の域は出ないが。


 今度は有音が食べている最中にレビューっぽい事を始める。

「ただいま先輩の料理を噛んで味わっています。大根ステーキってバターじょう油でメイン感を出せるんですね! トマトと卵の中華炒めはいくつかの調味料の調和が取れていて食べやすい味って感じ?」

 私も先輩と同じ様におかずを食べてからスープをすくう。

「カブはスープの味を吸っている旨味が付加された素材の味に近い、ベーコンと玉ねぎは炒めた分、香ばしさが増してスープに深みをもたらしているといったところでしょうか」

 メインおかずやサブおかず、それにスープ。この3品は互いの味を邪魔せずどの味も楽しめる。私も3品の複雑な味が絡み合っている品を食べて「ストラーイク!」と声に出していた。自分もボウリング用語を口にしてしまった以上、学校行事が印象的だったのだろう。食べたら美味しいと感じるこの旨味が迫ってくる表現としても思った事でもある。

 次回更新予定


11月23日

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