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有音の親友に出来ること 10

 自分が出来なかった事を中学生ごときが可能なはずがない。そんな冷たい言い方だが、裏を返せば自分が作った女性の口に合う料理で食事を摂取してもらうつもりという自信にも取れた。

「中学生程度に出来る料理なんてたかが知れているでしょう。何をしたって無駄ってもんです」


     ◇                     ◇

~~有音サイド~~

 鈴歌が入院して2日目、今日も2人で料理を作ろうと言ったはずなのに。奏があそこにヒントがある気がするって走りどこかへ行ってしまった。私は確か学校から歩いて5分程度のスポーツ施設に行くとか言っていたようなとスポーツジムの中を探し始めた。

かなでー!! どこなのー!! 奏ったらー!?」

もしかしたら走るのに関係する機械がある場所にいる気がと見てみたところ―――――――― 激しい息切れが聞こえて倒れこむ人の姿が。

「!? きゃあ~~っ! 奏っ!?」

 たまたまこのフロアに何かの用事かスポーツジムのインストラクターがいなかったので受付まで走ってタクシーを呼んでもらう。タクシーを呼んだ後にランニングマシンエリアにインストラクターがいて奏を介抱していたので玄関まで運んでもらった。奏の家につくまでに奏はフラフラながらも動けるようになっていたので私は肩を貸して寝床まで運んだ。

 タクシー代は緊急時なので私持ちだ、後で返してもらうことにしよう。


 私は布団の上へ乗せて奏を休ませる。これで一安心といった所なので文句を言ってやりたくなった。

「もう!! あんなスピードで走れるはずないでしょ、何やってんの!! メニューに頭を悩ませるんじゃなかったの!!」

 心配かけすぎだと注意する。

「ほんとにもう。私が来なかったら色んな人に迷惑をかけるところだったよ!?」

「だって……わかると思ったんだよ……」

「え……」


 私は落ち着いてきた奏の話に耳をかたむけた。

「僕……本気で走り続ける経験なんてなかったから……倒れるぐらい走りこめば少しでも谷川さんの気持ち……わかるかもって思ってさ……。"食べられない"って鈴歌ちゃんの気持ちを理解したい……"知りたくて"……!!」


 私は突拍子もない行動をしたのはそういう理由からだったのかと驚く。でも本気で鈴歌を救おうと考えていてくれたんだなと愛おしくなった。

(奏)

 少し軽率だったかなと表情に表している奏を見て、ささやくようにしょうがない幼なじみとの気持ちを声に乗せて聞かせる。

「いつもというか……相変わらずというか……お間抜けさん」

「あらっ。奏が何か言っちゃったの?」

 奏だけに聞かせるはずのささやきが奏の母親にも聞かれちゃった!? 私は恥ずかしさもあって慌てふためいた。

「そっ、そんな事ないですから」



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