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真奈に何があったのか? 6

「真奈……!!」

 感極まった感じの真奈の母親の声。そりゃそうだよね、手をつくしたのに部屋から出てきてくれなかった自分の娘が出て来てくれたんだから。

「覚えていてくれたの……私のおにぎり……」

 もちろんといった表情を作る僕。

「忘れるもんか! あのおにぎりのおかげで僕は自分を好きになれたんだし……だから真奈に気付いてもらえたらと!! あの時と同じもち米おにぎりを作って!!」

 僕はそのきっかけでという話をしながら真奈に感謝の気持ちを伝える。そして真奈に抱いている気持ちをストレートにぶつけた。

「真奈のすごさは誰より知ってる。あんな風に人を勇気づけられるなんてすごい才能だ! 思い出して! 真奈がすごいってところ! 長所を全て!!」


「…………………………!!」


 僕の偽らざる気持ちは真奈に伝わったようで、感情が高ぶって大泣きする。その真奈の体を僕は支えてあげた。

うわ~~~~~~ああんっ!! 風良君……っ。アホめ……私のアホさ加減……自分に何もないと思うとか……」

「真奈……」

 僕が見守っている間に真奈も気を落ち着かせることが出来たようである。

「私……諦めない……またやり直すよ!! ありがとう、風良くん!!」

「うん!」

 真奈が前向きな気持ちを取り戻し事で僕もいつもより明るく返事をした。


          ◇          ◇         ◇


 ここは調料学園家庭科室、思い出話をしている内に1時間以上経過していた。真奈先輩が風良先輩に一目置いている理由や先輩の意外な過去を聞いて私は先輩達へのきずなが深まった気がする。

「なるほどです。真奈先輩の長引きかねないピンチの状況を風良先輩が料理で救ったと」

「私も驚きだったわ。風良君の作ってくれたものを食べた時に彼が私をどれだけ心配していたのか伝わってきたし、自分の想いを客観的に整理できるようになっていたから」

 料理を作るようになった理由は人それぞれ。普通なら試してみたら楽しかったとか、悲しい事だけど作ってくれる人が仕事などでいないという家庭だから仕方なくなどの理由が多そうだ。でもでも、今日聞いた真奈先輩のエピソードみたいなのは例外でしょ。そんな事もないのかな?


 とりあえず私が料理を作りたいと思うようになったのは幼なじみのかなでの影響が強いかな。成り行きで料理の共同作業(とはいっても私の手伝える作業は初心者がやるようなことだけだったんだけど)をしていく内に私も料理をしてみようかという興味が湧くようになったんだし。

「こういう初心に返る話を語ってもらえるのは嬉しい事です。次の部活の日には私の思い出話を」

 外が薄暗くなっていくのを窓越しに見た真奈先輩がつぶやく。

「結構長話になっちゃったみたいね。それじゃあ次の部活の日に私が聞き役に徹する感じで」


 真奈先輩の良い話的エピソードを聞き終わったこの時、調料学園の完全下校時刻に近づいていた。次の部活内容も料理を作る気になった思い出話になりそうである。これはこれで部員同士の交流が深まるだろうしいいかな。



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