26.週末。
夕日が傾くオフィスにて、4人の男女が休日の予定を話していた。
「ステフ、君は週末、何をする予定なんだ?」
そう尋ねたのは所長のジョージ。
アフリカ系アメリカ人で、勤続20年になるベテラン職員だ。
「私は、彼氏と一緒にシーサイドホテルに向かう予定です。この時期、どこも営業していませんでしたから……予約が取れたのは幸運でした」
ステフはこの春新しく入った新入職員。
気立ての良い美人で、社内の紅一点でもある。
「へぇー!いいなー彼氏持ちは。俺も彼女ほしー!」
「ハッハッハ、ロダン。お前去年もそんな事を言ってたな!いつになったら出来るんだか」
「うっせーマーカス!カミさんいるからって調子乗んな!」
口喧嘩をするのはロダンとマーカス。同期の2人はいつもこうして仲良く絡んでいる。
「所長はどうされるんです?」
「私は、そうだな。久々にのんびり出来そうだし、家族水入らず、ゆっくり自宅で過ごすかな」
「所長の奥さん、料理上手だから羨ましいです!」
「いいなー!はぁー1人ものは俺だけか」
「嘆くなロダン。今夜だけなら酒の一杯位付き合うさ」
4人がコーヒーを片手に、それぞれの休日を仲良く話していると、
───18時になりました。退勤時刻です。残っている所員は、速やかに退勤しましょう。
「お、アナウンスか。そろそろ帰らなくては。……皆、これまでありがとうな」
「所長……私、この会社で……良かったです」
「あー、泣くなステフ!最後くらい、笑って別れようぜ」
「ロダン、いいこと言うじゃないか。そうさ、俺達は最善を尽くしたんだ。胸を張って帰ろう」
「そう、そうね……じゃあ……」
「「良い週末を!」」
そうして、4人は勤務先である国際宇宙開発局を後にした。
───その二日後。
軌道衛星より観測された巨大隕石は、予定通り地球の南半球を直撃した。
週末➨終末オチ。




