表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/12

3.出産日、決定!

 二人目の性別が分かった時、私は喜んだ。

 男の子だったのだ。

 兄弟同性の方が良いなと思っていたのもあるし、長男でいかに男の子が可愛いかを知れた。

 おそらく女の子が生まれていたら、女の子の方が可愛いと思っていたのだろうが。母親なんてそんなものである。


 次男はお腹の中にいた時から、非常に活発でグルングルン動いていた。キックとパンチがこれまた強烈で、鳩尾をドガンと蹴られた時には「グフッ」とうずくまって耐えなければいけない程に。

 長男の時は逆子だったのもあって、どちらかというと蹴られるのは膀胱が多かった。それはそれで困ったもんだったっけど、次男はとにかく勢いの良いキックとパンチだ。

 名前が正式に決まるまでは、暴れん坊将軍と呼んでいた事を記しておこう。


 そんな暴れん坊将軍の出産予定日は、四月十四日だった。

 が、前回私は帝王切開で産んでいる。つまり今回も、生まれる二週間ほど前には帝王切開をしなくてはならないのだ。


「帝王切開の日取り、四月三日にしましょうか」


 先生にそう言われたとき、私は唸った。

 知っての通り私はど田舎に住んでいるため、地域の子供の数がとんでもなく少ない。

 長男が生まれた時はベビーラッシュ世代と言われ、何と同級生が十人もいた。

 そこ、笑わないで貰いたい。長男の一学年上は三人、一学年下は一人だった事を考えると、十人という数字でベビーラッシュ世代と言われるのも分かって貰えると思う。

 そして、長男の弟妹世代の多くが二学年差で生まれていて、こちらも十人程いるベビーラッシュ世代になっていた。

 三月までに産まれればベビーラッシュ世代の一員、でも四月に産まれれば同級生がゼロという可能性もあった。

 これは……悩む。


「ちょっと決めきれないんで、家族と相談してきていいですか?」

「え、なんで? 産むなら四月生まれの方が良いよ。月齢の差が出るし」


 うーむ、確かにその通り。

 でももし同級生が誰もいなかったら、月齢の差がどうとか関係ないわけで。高校生になって町を出るまでは、この環境のままのはずだし。

 三月生まれにするか、四月生まれにするか、私はとにかく悩んだ。自分で決められる分、余計に悩む。

 やっぱり同級生は多い方が良いんじゃないだろうか。たった一人でいるよりは。

 これから妊娠する人もいるだろうし、同級生がゼロって決まったわけじゃない。でも兄弟で同い年の友達というのも捨てがたい。

 ぬあーーーーどうするどうする、と私は頭を悩ませた。

 旦那様に相談すると、「別にどっちでもどうとでもなるって。更紗の好きな方にしていいよ」と言われた。

 え、そんなもの!? だって一学年の違いで色々出会いとか変わってくるかもなのに!? というと笑われた。

「どっちの方が良い出会いがあるかなんて分からないんだから、そこまで考える必要ない」って。

 それはそうだけど、決定権が委ねられてしまい、私の責任が増してしまったように思う。

 どうすべどうすべ。


 三月生まれか、四月生まれか。


 悩み抜いた末に私が出した答えは、三月生まれにする事だった。

 というのも、長男を保育所に入れる手続きをしていたのだ。その入園式が四月八日。四月三日に帝王切開をすると、四月十三日まで入院しなくてはいけない。つまり、入園式には出られない。

 せっかくの長男の晴れ姿だ。どうにかこうにか出席したかった。

 それと、もう一つ理由がある。

 それは私の姉も妊娠していて、四月十二日だったかが予定日だったのだ。姉は遠く離れた都会に住んでおり、既に女の子を一人産んでいる。里帰り出産はする気は無いようだったので、母が姉の元に行く予定になっていた。

 しかし、私も長男を母に預けて面倒をみて貰わなければならない。それも帝王切開なので十日間も。それでは、姉の出産に間に合わないかもしれないではないか。

 私は色々理由を考え出して、三月に産むと決めた。

 先生にそれを告げると、三月は出産が立て込んでいたらしく、すごーく嫌な顔をされてしまったが。

 ともあれ、暴れん坊将軍の出産は、三月二十七日に決まったのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ