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スラムバレット  作者: 穴掘りモグラ
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ライト VS ワーカー組

次の日の訓練が始まり、午前中はいつもと同じように体力強化マラソンから始まる。

今となっては皆お馴染みの訓練で倒れ込むような者はいない。


「さて、今日の戦闘訓練はライトに相手をしてもらうからな」

午前の強化マラソンを終えると、シドがそう説明してくる。

この場にいる全員はその話を聞いていた為、特に驚く声も上がらなかった。

ライトが担当しているワーカー志望・スラム組は今日はお休みだ。あまり詰め込み過ぎても逆効果だろうと、今日と明日は休みにし、全員自由行動を許されていた。

「俺と違ってライトはかなりトリッキーだからな。頑張ってくれ」

シドにそう言われ、ライトは不服そうに反論する。

「・・・ボクはシドさんみたいに高速で動いたりしないよ?」

「どっちもどっちだろ。その格好で来たって事はアレもやるんだろ?」

ライトは新しい装備のシールドスーツを着用し、その上に皆と同じ防護服を羽織っていた。

「ライト君の着てるヤツってエネルギーシールドで防御するタイプだよね?非殺傷弾なんか簡単に弾いちゃうでしょ?」

シールドスーツの事を知っているレオナがそう指摘する。

「ああ、これは防御には使いませんから安心してください」

ライトはそう言うが、防御以外にどんな使い方があるのだろうかとレオナは首を捻る。

「じゃー、昼飯食って午後の訓練に備えてくれ。ライトもキッチリやってくれよ」

「大丈夫だよ。だいぶ慣れてきたし、全力でやるから」

ライトはそういうと、昼食を取りに車の方へ向かっていく。その後ろ姿を見送り、シドは全員にアドバイスを送ることにした。

「あいつと戦う場合のアドバイスだ。とにかく動き回れ。遮蔽物に隠れても意味ないからその点だけは注意しろよ」

シドはそういうと、ライトを追いかけ自分も食事を取りに行く。


先程のシドの言葉が理解できないのか、全員首を傾げていた。



「さっきのシドさんの言葉。どういう意味だと思います?」

弁当を口に運びながらユキはそう皆に質問する。

「わからないわね・・・以前のライト君の戦闘スタイルってどんな感じだったの?」

同じく食事をしながらアズミが聞き返してきた。

「ん~・・・情報収集機で辺りの情報を処理しながらMKライフル2丁で超精密射撃って感じでしたけど・・・・」

「今は装備変わってるもんな。あの手に付けるタイプの銃ってどんな性能なんだ?」

ユキはそう以前の話をし、タカヤは今のライトには当てはまらないだろうと考える。

「あれは唐澤重工製のハンター5っていう複合銃だね。3つの銃口から大量に弾丸が発射されるんだよ。威力もMKライフルに迫るものがあるね。重くて反動も強いけど、高ランクハンターには結構人気があるんだ。シーカーで持ってる人は見た事ないけど」

レオナが自分の知識を皆に共有し、ライトの戦闘スタイルを想像する。

「シールドスーツのシールドは防御には使わないと言っていたけど、他にどんな使い方が?レイブンワークスにもシールドスーツを着用しているワーカーはいるけど、全員が体をシールドで覆う使い方しかしてなかったと思う」

「そうね。部分的に強弱を付けたり、シールドの角度を付けて攻撃を反らしたりって使い方がセオリーでしょ?どんな使い方をするんだろ?」

ラインハルトとアリアが所属しているギルドには使い手が所属しているらしい。だが、防御以外の使い方というのが分からなかった。

「・・・・・・あいつは情報系の機器と凄く相性が良かった。情報集収集機と連動させて何か特殊な使い方をするつもりだろう」

ライトの事を知っているキサラギがそう発言する。

「特殊ってどんな?」

「それはわからん。その辺りはワーカーのお前たちの方が想像しやすいんじゃないか?」

「シド君が遮蔽物に隠れても無駄だって言ってたよね?なら!シールドを使って弾丸を跳弾させてくるのかも?!」

ミリーがわかった!といった感じでいう。

「・・・・それは無いんじゃないかな?」

ラインハルトがミリーの言葉を否定した。

「そうだね・・・・普通の演算能力じゃ不可能だよ。ターゲットの位置・射線・弾速・威力・シールドの強度・角度 これだけの情報を一瞬で処理しないと再現できないよ?狙撃みたいにじっくり狙ってとかなら可能かもだけど、動きながらは無理だと思うな」

シーカーであり、ライトと同じ情報処理の専門家から否定され、コレじゃないかとミリーはしょぼんとする。

しかし、タカヤとユキはライトならあり得るのでは無いか?と思える。

何故ならシドの相棒なのだ。あの不可能の塊と一緒に行動しているのだから、同じように不可能を実現できるようになっていても可笑しくない。

「レオナさん。時間圧縮が出来ても不可能だと思いますか?」

ユキが再度レオナにそう質問する。

「ん~~・・・・・私も1回しかできてないからハッキリとは分からないけど、それこそ時間が止まってるくらいにならないと無理じゃない?それに物凄く高性能な情報収集機がいるよ?今ライト君がどんな情報収集機を使ってるのか知らないけど、ダゴラ都市に売ってる様な機器だとスペックが足りないかな」

「そうですか・・・」

ユキとタカヤもそれなら無いかと考える。


ああだこうだと考えるが、結局結論は出ずに昼休憩が終了した。


午後の戦闘訓練が開始され、全員が岩場の中へ駆け込んでいく。

シドはキル判定回収要員として空中に飛び上がり、待機する様だ。


ライトは初めてワーカー達との正面からの戦闘になる。相手にはユキもいるし、レオナもいる。

此方の動きは筒抜けになるだろうと考え、作戦を考える。


5分が経ち、ライトが動き出した。




岩場の中、8人は戦闘配置を終わらせライトが近づいてくるのを待つ。


まずは耐久力に長けたタカヤとキサラギを前面に出し、他のメンバーで半円に囲み何処からでもフォロー出来るように陣取る。

暫くすると、レオナの情報収集機がライトの反応を捉えた。

「来たよ!」

全員にライトが来ることを伝え、意識を戦闘に切り替える。

ユキもライトの反応を捉えた様でタカヤに警戒を促していた。シドと比べれば控え目だが、それでもかなり速い。レオナが全力で走っても追いつけないだろう速度でこちらに向かって来ていた。

(どっちも怪物級だね・・・)

残り250m、あと少しで戦闘開始だと銃を構えライトの反応を注視していると。ライトの進みが止まり、銃声が聞こえてきた。

(いったい何?)

意味が分からないライトの行動に困惑していると、全員の中央で待ち構えていたタカヤとキサラギがいきなり吹き飛ぶ。

「!!」

2人は上から狙撃されたように見えた。レオナはライトの位置は欺瞞されており、ライトもシドの様に空中歩行が出来るのかと上を見上げる。

しかし、そこには誰もおらず、何処から撃たれたのかさっぱりわからなかった。

混乱が治まらない内に、再度銃声が聞こえ今度はアリアとミリーが吹き飛ばされた。すると、上空に待機していたシドが下りてきて2人を回収していく。

(あの二人はキル判定か・・・!)

何とかしなければと考えていると、ユキから通信が飛んで来る。

「ライトはやっぱりシールドで跳弾を撃って来てます!隠れても無駄です!動いてください!」

「!!」

バカなと考えるレオナだったが、状況からそれしかないと動き始める。

「それなら待ち構えるのは悪手だよ!全員ライト君に突撃!!」

レオナの指示で全員がライトに向かって走り出す。最初の攻撃を食らったタカヤとキサラギも復活しており、全員に遅れることなく突っ込んでいった。

そして、全員ある意味でシドと戦った時以上の絶望を味わう事になる。


銃声が聞こえる度に何処からともなく銃弾が飛んで来る。対処としては、銃声が鳴った瞬間に今の位置から動き、進んでいるコースから外れる、これしか対処の方法が無い。

しかも、必ず上から飛んでくるわけでは無く、岩場の影からすり抜ける様に飛んで来る弾丸もあり、避けきれずに被弾する者も出てきた。

既にアズミとキサラギがキル判定を受け、4人しか残っていない。

それなのに、ライトは一度たりともこちらから見える位置に姿を現さず、一方的に攻撃を加えてきた。

辛抱溜まらずと言った感じで、タカヤが瓦礫の上に駆け上がり、上からの攻撃を試そうとするが、頂上に登った瞬間ライトの銃弾を食らい宙に飛ばされる。

その直後に連続で発砲音が響き渡り、その数だけタカヤの体に銃弾が命中する。

(こんなのあり?!)

流石のレオナも手の施しようが無く、唇をかむ。

「こんなのどうすれば?!」

たまらずラインハルトが声を上げる。

「兎に角追い掛けるしかないよ!遮蔽物の無い場所まで行かないとこのままやられちゃう!!」

ユキも焦っているのだろう。大声でラインハルトに返し全速でライトを追いかける。

それしかないとレオナもラインハルトも全力で駆ける。


段々と遮蔽物が少ない場所へ追い込むことが出来たのだが、急にライトの攻撃の激しさが増す。

ハンター5の圧倒的な投射量で弾丸が放たれ、それぞれが意思を持っているかのように自分達に襲い掛かって来る。

レオナは昨日発動させた時間操作が無意識に発動し、自分に向かって飛んで来る弾丸を目で追った。


(あ、これは無理だ・・・)

自分の前面を囲うように飛んで来る弾丸を目視し、何処にも逃げ場がない事を悟る。

一瞬後、全身を強打される感覚を覚えた後、その意識は暗闇に消えていった。


その様子を上から見ていたシドはイデアと感想を言い合っていた。


<えっぐ~・・・>

<反撃すら許しませんでしたね>

<これ、心折れたんじゃ無いか?>

<・・・シドも似たようなモノでしたよ?>

<いや、俺の場合は戦って負けたって気になれるけど、ライトのこれはどうなんだ?>

<彼らはライトの弱点に気づけませんでしたからね。そこを教えてあげればいいのでは?>

<そうだな・・・・なんか気の毒になって来たな・・・>

<それより早く回収しましょう>

<そうだな>


シドは宙を蹴り、倒れた4人を回収に向かった。


書いていて思いました。


これって反則じゃない?

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