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スラムバレット  作者: 穴掘りモグラ
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ライトの空中歩行と格闘訓練

今回もまた短いです

ライトの防護服はランクの障害があり、今までと同じレベルの物しか購入できなかった。

今まではガンスがランク無視で、非常に高性能な装備を見立ててくれていた事を、改めて認識した2人だった。

しかし、今の装備でまた戦闘用オートマタと戦うのは不安が大きい。よって、ライトの防御力を上げる為に生体シールドの発生訓練を行う事になった。

シドはある程度コントロール出来るようになっており、DMDを装備していない状況でも足場を発生させ、空中を移動することが出来るようになっていた。

そして、ライトも同じ訓練を行う事になり、まずは生体シールドの発生方法からと、イデアのアドバイスを受けて練習していた。


訓練が始まって8日、ライトは自力で満足の行く強度のシールドを張れるようになってからは、シドが行っていた空中を歩く訓練を行っている。

その様子をシドは「解せん」といった表情で眺めていた。

<何を不貞腐れているのですか?>

「ん~~・・・?」

シドの視線の先には、悠々と空中を蹴りながら飛び回るライトがいた。

「・・・・俺はあんなに苦労したのにさ・・・なんでライトは軽々と熟してるんだ?」

<それはシドが理屈ではなく、感覚のみで覚えようとしていたからです。その為にシールドの発生強度がバラツキ、制御が困難だったのでしょう。その点、ライトは感覚だけでなく理論立てて制御している為、強度が安定していると思われます>

「・・・身体エネルギーを増幅させて体の周囲に張り巡らせるって言われてもな・・・・妙な図とか計算式で説明されてもわかるかよ・・・」

<私としては、それが理解できずに感覚のみで行えるシドが異常だと思うのですが>

シドとイデアが話していると、車庫を20周回って来たライトが下りてくる。

「ふ~~・・・ようやく慣れてきたよ」

ベンチに掛けられていたタオルで汗を拭きながらそういうライト。

<その様ですね。強度はシドには及びませんが、扱いに関してはライトの方が優れている様です>

「んじゃ、次は俺との組手だな」

そう言いながら、シドはベンチから立ち上がる。

イデアはライトにも格闘戦の経験は必要だろうと、シドとの組手を訓練の中に入れたのだった。

「ちゃんと手加減してよ?」

「わかってるよ」

ライトは生体シールドを張れるようになったとは言え、シドほどの強度は出せない。身体能力も低いため、真正面からぶつかり合えば確実に吹き飛ばされるのだった。

始めはユックリと拳を合わせたり蹴りの姿勢を教えたりしていたが、次第に動きが早くなっていく。

2人共シールドを発生させ、シドは攻撃に使用し、ライトは防御に使う方法を高めていく。

シドの場合は、手や足に纏わせる時に、剣や槍の穂先の様な形を作りながら攻撃を行う。片やライトは丸みを帯びさせたり、弾くような特性を持たせ、攻撃を捌く様に工夫していた。

シドと同じくコーディネイトで身体能力と感知能力が上昇しているライトは、安物の銃から放たれる弾丸以上のスピードで攻撃してくるシドの攻撃を冷静に捌いていく。

突きには手の平で捌き、蹴りは足で受け流す。体当たりや締め技等もシールドを柔軟に変形させ衝撃を逃がしたり、腕や体の間に隙間を発生させたりしながら躱していく。

30分程組手を行っていると、ライトの体力が尽きる。

<そこまでです。ライトは休憩を、シドはいつものメニューを行ってください>

「はあ・・はあ・・はあ・・ああーーーつかれた・・・」

「結構持つようになってきたな、最初は1分くらいでぶっ倒れたのに」

<そうですね、しかし、スタミナの上昇はシドには及ばないようです。これはコーディネイトの方向というより本人の資質に寄るところが大きいようですね>

「なるほどな~」

シドはイデアの操るDMDと片手で押し合いをしながらライトの様子を見る。

(俺は出力、ライトは操作って所か。ここまでハッキリ別れるモノなんだな)

<シド、シールドの出力が上がっています。少し落としてください>

「おっと、悪い」

シドの場合出力は高いが、一定のエネルギーを発生させる事が苦手としており、DMDと押し合う事で同じ力を発生させる訓練を行っていた。

最近はだいぶ慣れてきたようで、シールドでDMDを吹き飛ばしてしまうと言う事は無くなった。

<シドの出力調整も安定してきましたね。これで不用意にエネルギーを消費しガス欠になる危険も下がります>

「これをマスターしたら防護服も要らなくなるのか?」

<ある程度成長すれば前回戦ったオートマタレベルならば必要なくなるでしょう。しかし、生体エネルギーの為、限界はあります。これからも装備は充実させる必要があるでしょう。東北方向に行けば旧文明のレベルも上がって行きます。専門兵科を取得した軍人とはいえ、単身で制覇できるほど生易しい場所ではありません>

(まあ、俺がそこまで行くかどうかはわからないけどな・・・誰も行った所の無い場所って言われると・・・どんな所なのか行ってみたいな)

シドはイデアが言う場所まで行けるようになるかは分からない。しかし、未だ見ぬ遺跡や遺物を思うと憧れの様な物を感じていた。

<はい、シールドを消して大丈夫です。室内での訓練ではこの辺りが限界でしょうか?次は遺跡での実戦訓練を行うべきかと>

「となると、明日はファーレン遺跡だな」

「そうだね。久しぶりに遺跡に行ってみよう」


2人は訓練を終え、遺跡に行く準備を始める。


翌日、2人は車に乗り込みファーレン遺跡に向かって走っていた。

もうそろそろ着くと言った所で、前方からこの車に気が付いたラクーンが走って来る。シドは窓から腕を出しラクーンを銃撃する。

S200の銃弾を頭部に食らったラクーンは、その威力で頭部から背中の銃器まで抉り取られて絶命する。走っていた勢いで転るラクーンを見ながら、シドは車に銃を搭載する事を忘れていたと考える。

「そういや、T6って4つ銃器を取り付けられるんだよな?」

<そうですね、保持用のアームや装弾ケーブルが取り付けられています>

「この探索が終わったら買いに行くか?」

「それでもいいけど、急にどうしたの?」

ライトは車を運転(情報収集機での遠隔操作)しながらシドに問う。

「ん?いや、いちいち車から腕を出して狙うのが面倒くさい」

戦闘能力の上昇などでは無く、物凄く物ぐさな理由だった。

「・・・・まあ、わからなくもないけどね。この辺りって荒野にモンスターの出現も少ないからすっかり忘れてたね」

<しかし、この辺りのモンスターを基準に銃器を選ぶのは問題です。都市やワーカーオフィスの準備が整えばキョウグチ地下街遺跡に向かうことになるのですから>

「そうだけどな~、俺達の準備がランクのせいで整わないんだよな」

「・・・・・ボク思ったんだけどさ・・・あの時、キクチさんに口利きしてもらったら良かったんじゃない?」

「・・・・・・そうか?」

「だって、ボク達の装備を整えられる様に、あの企業を紹介してくれたんだよ?ランクで買えませんって話になったらどうにかしてくれたんじゃ?」

<その可能性はありますね。この探索から戻った時にでも聞いてみてはいかがですか?>

「なるほどな。まあ、とにかく今は遺跡の探索だ」


2人の乗るT6は、遺跡の内部に入って行く。


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― 新着の感想 ―
作者様へ!「いった」を漢字変換すると「言った」が第1候補になるみたいなので「行った」へ変換し直す事を何回かして予測変換の1番にすると誤字脱字が減ると思います。
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