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スラムバレット  作者: 穴掘りモグラ
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救援要請 3

<お~いライト。何浸ってんのかわかんねーけど、まだモンスターはいるんだからな>

「おっとそうだった」

<ごめんごめん>

先ほどの遺跡探索で、EX80でも探知できないモンスターと出会い危うく重傷を負う所だったライトは自分の進む方向性を決めようとしていた。

(ボクはシドさんみたいに体一つで戦えるタイプの人間じゃない。もっと装備を充実させていこう)

ライトも現代文明基準では高度な身体拡張を施されている。しかし、相棒のシドと比べればその拡張度はかなり低い。

素手でエネルギーシールドを突き破り、全く光源のない空間を肉眼で把握する身体性能。他にもこのEX80と同等の精度で周辺の情報を感知する感覚器。他にも瞬間移動かと錯覚するほどの速度で動き、極めつけに自身で発電し身体能力を高め、それを攻撃にも転用できる。

もはや人といっていいのか分からないレベルになっているシドとこれからも肩を並べるには装備を充実させるしかないと判断した。

(個人戦ではシドさんが圧倒的だ・・・ならボクは広い範囲をカバーできる能力を持とう)

こと戦闘に関しては足手まといになっている自覚がある。(シドはライトの事を認めているが)

今回の遺跡探索でもシド1人ならもっと奥へと進めただろう。(最後に突風で吹き飛ばされたが)

(シドさんが強敵と戦う事に集中できるように!!)

自分の役目を露払いと定め、これからもシドをサポート出来るように。

その方向で己の能力と装備を決めて行こうとライトは考えながら目の前のモンスターを攻撃していくのだった。




ライトが操縦するT6と車装兵器でみるみるうちに撃破されていくモンスターの群れ。

この群れの中核を担っていた大型と中型が速攻で討伐されたことにより、それほど時間を掛けずにモンスターの群れは殲滅されたのであった。

ライトは車上から車内へと戻ってくる。

「これで依頼完了かな?」

「そうだな。向こうにも了承を取っておくか」

そういうとシドは社内の通信機を使い依頼主へと連絡を取る。

「モンスターの群れは排除できた。これで依頼完了として構わないか?」

『・・・・・・・』

「・・・・・もしもし?聞こえてるか?」

『!・・・ああ!問題ない。これで完了だ』

「よかった。そっちの被害状況は?」

『こちらの弾薬はほぼ使い切った。ワーカー達は先ほどの撤退行動で全員グロッキーだ。できればこのまま都市までの護衛を頼みたい』

「了解。その分の報酬は出るんだろうな?」

『もちろんだ。ちゃんと報告しておく』

「契約成立だな。都市までよろしく頼む」

『こちらこそだ』


巡回車との通信を終え、この後の行動が決まった。

「このままあの車を護衛して都市へ戻る。問題ないよな?」

「うん」

<はい、問題ないと判断します>

ライトとイデアの了承を取り付け、シドはこのまま都市へと戻る事を決定する。

<それとシド>

「ん?」

<今日の早朝、クラブ88に玉藻組の構成員が現れダーマとシドにホームに来るように伝言を受けています>

<玉藻組?なんで?>

<先日、彼らの縄張りで戦闘行為を行ったでしょう?あれの延長で話を聞きたいとの事です>

<ん~~・・・・>

<なんで今更?>

<ダーマが呼び出されている所を考えるとエミルに関する話の可能性が高いです。呼び出しに応じる事を推奨します>

<・・・・・・お前、エミルが絡んでるからって甘くなってないか?>

<いけませんか?>

<・・・・・・・>

<・・・・・・まあ、子供に関わってくるなら仕方ない・・・か?>

<流石シドです。英断と言えるでしょう>

「なあ、イデアってなんでこんな子供好きなんだ?」コソ

「わかんない。三ツ星重工の設定がわかんないね?」コソ

<内緒話は私には通じませんよ?2人共>


巡回車を都市に送り届けたら玉藻組のホームへ行かなければならなくなったシドとライトは若干げんなりしながら車を走らせるのだった。


巡回部隊視点


「・・・・助かったな」

「ああ、助かった」

オフィス職員2人は、あの大群を短時間で殲滅したスラムバレットの実力に唖然としていた。

「なんなんだ?あの2人・・・・凄い火力だったぞ?」

「あの荒野車・・・どこの車だ?見たこと無い・・・・それにミサイルに複合銃・・・・使わなかったけどあのデッカイ兵器は?」

「・・・・・あの二人!ランク50と45のコンビだと?!」

「!!・・・・・それならあの戦闘力も・・・・・説明付くのか?ハンターとシーカーのコンビだろ?」

「・・・そうだよな?前ランク45のワーカーチームの戦闘を見たけど、あそこまでの殲滅力は無かったぞ?」

「・・・・・スラムバレットか・・・・これから凄い事やりそうだな」

「・・・そうだな」



ワーカー視点


「おい・・・生きてるか?」

「・・・・・・こっちは大丈夫だ」

「イテテテ・・・・ひでー目にあったぜ・・・・」

「生きてる・・・俺は生きてるぞ!!!!」

「ああほんとだよな・・・助けに来てくれたあの装甲車?・・のワーカーに感謝しないとな」

「凄かったな。彼らが来てからモンスターの攻撃が一気に減った!・・・俺もなれるかな・・・?」

「いや無理だろ。あそこまで行こうと思ったら頭のネジが1本くらいしか残ってない奴等くらいだって」

「そうだよな。単身でモンスターの群れに突っ込んでいったんだからな」

「・・・スラムバレット・・・あいつら・・・あそこまで強かったのか」

「なんだ?お前知ってるのか?」

「・・・ああ、ちょっとな」

「スゲーなお前!メンバーになれたらもっと稼げるんじゃないか?!」

「・・・いや、実力差があり過ぎる・・・・・俺ではついて行くことはできないだろう」

「・・・そうだよな・・・・あれについて行くのはしんどいよな・・・」


実務官からはグロッキーと言われているが、意外と元気なワーカー達であった。





それから都市へ向かって走っていると、巡回車からまた通信が入る。

『スラムバレット。10時の方向にモンスターに追われている車両を発見。援護に向えるか?』

「確認する」

巡回車からの報告を受け、シドは車の索敵機の範囲を広げていく。

すると、まだかなりの距離があるがそこそこの大きさの群れに追いかけられている車両が映し出された。

「確認した。問題なく対応できると思う。俺達が離れて大丈夫か?」

『距離から考えて問題ないだろう。あちらのワーカーと連携して討伐してほしい』

「了解した」

通信を終えるとT6を襲われているワーカーの方向へ向けるシド達。

しばらく走っているとシドの感覚に見覚えのある気配を感じ取ることが出来た。

「あ~・・・これはあれだね・・・・」

「・・・・・メタルアントだな」

そのワーカー達はメタルアントの群れに追いかけられている様だ。

方向から考えて、あの遺跡に巣を作っていたメタルアント達に間違いない。恐らくなにも知らないワーカーチームがシド達を探しに出ていたメタルアントと遭遇し戦闘になったのだろうと考えられる。

「・・・・・・」

「シドさん。グッドラック」

そういうライトの方を見るとシドに向けて良い笑顔でサムズアップをしている相棒の姿があった。

「・・・・・俺1人?」

「あれくらいなら大丈夫でしょ?ボクは巡回車の護衛もあるしさ」

「・・・・・・」

「それにあれを片付けたらもうメタルアントに追いかけられる心配も無いって事じゃない?」

「・・・・・俺・・・お前のピンチを助けたよな?」

「うん、ありがとう。本当に助かったよ・・・・・1人じゃ無理?ならボクも手伝うよ!」

爽やかな笑顔でそういうライト。

「・・・・・・」

ライトを助けたのは相棒として当然の事だ。

その後でシドは絶体絶命と言っていい状況から救われている。ここでライトに理不尽だ!と言うのは間違っているかもしれないと思わないでもないシドは無言でバイクへと向かった。


バイクの給弾装置に満タンまで装填したシドはライトに合図を送り車後部の扉を開けさせる。


開き切った扉から勢いよく飛び出したシドはメタルアントに向けてバイクを加速させた。

シドの体に付着したフェロモンに反応したメタルアントは追っていたワーカー達の車からシドへとターゲットを変え猛進してくる。

全く怯まず敵を抹殺しようと走ってくるメタルアントに、シドは一度深呼吸をすると

「さっきの借りを返してやろうじゃねーーーかーーー!!このクソアリ共がーーーーー!!!!!!!」

シドはS200を抜き、バイクに装備されているガトリングを2丁メタルアントに向け突進していくのであった。


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― 新着の感想 ―
しつこい蟻も救援依頼の報酬に化けて良かった良かった。
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