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スラムバレット  作者: 穴掘りモグラ
133/217

AIの課す試練? 前編

ライトは消えてしまった管理AIのホログラムに向けて叫ぶ。

「いや待って!!!ボクはそういうつもりじゃ!!!」

<ライト、相手はもう話すつもりは無いようです。諦めて下さい>

「なんかややこしい事になったぞ・・・・戦闘用オートマタレベルが出てきたらどうしよ?」

「・・・・・・」

<最低でもあのレベルは覚悟する必要がありますね。武蔵野皇国といえば、私の時代でも伝説がチラホラ散見されていましたので>

「・・・・・」

シドはジト目でライトを睨む。

「ボクは悪くないよ!!!」

ライトは必死に顔を横に振り、否定しようとするが

<来ました。2人共。戦闘態勢を整えて下さい>

イデアの言葉で2人は気持ちを切り替える。

シドはS200では無く双刀を抜き、ライトはハンター5と複合銃の4丁を構える。

感知した敵性体は4mを超える大きさの様で、このエリアに向かって突進してきた。


噴水を挟んだ向こう側の扉が壁と共に吹き飛び、管理AIが送り込んできたモンスターが姿を現す。

それは機械系のモンスターであり、両肩には大型のキャノン砲が取り付けられ、胸の辺りに駆動式のガトリングガンが生えている。

背後にはミサイルも搭載されており、両腕は近接用の兵器になっていた。

「待て待て待て・・・・」

「うっそでしょ?」

その巨体は何時かミナギ方面防衛拠点で見た天覇の強化外装の様だった。

いや、どう見てもこちらの方が強そうである。

あの兵器群と黒光りする装甲。頭部には8つのカメラアイが青い光を放ち、シド達に向けられている。キョウグチ地下街遺跡で戦った戦闘用オートマタを遥かに超える強敵であることは間違いない。

「ライト、お前はバイクで戦え。運転とガトリングの使い方は知ってるよな?」

「大丈夫。ちょっと借りるよ」

先手必勝とシドは大型オートマタに向けて駆け出し、ライトはバイクに飛び乗って宙に駆け上がる。


高速で相手の懐に飛び込もうと思ったが、相手はシドとライトの動きに反応し、両肩の大型キャノンを撃ち放って来る。

かなりの飛翔速度だが、時間操作を使えば避けられてない速度ではない。

ライトは余裕をもって大きく回避し、オートマタに対して計6丁の銃で反撃しようとする。シドは射線からズレそのまま敵に突っ込もうとしたが、

<シド!砲弾から距離を取ってください!>

イデアの声を聴き、シドは全力で横に飛ぶ。

飛んできた砲弾がシドの居た位置に到達すると爆発し、金属片と共に衝撃波と爆炎を撒き散らす。

「!!」

シドは衝撃波と金属片を受け流すように動くが、爆発の勢いが強すぎて吹き飛ばされてしまう。


ライトの方に飛んだ砲弾も同じように爆発するが、イデアの警告を聞いた瞬間にフルスロットルでバイクを加速。もともと大きめに回避していたことが幸いし、爆発に巻き込まれる事なく回避に成功した。

(危なかった!!)

ライトは再度銃を向け一斉に射撃を開始するが、オートマタのエネルギーシールドと分厚い装甲により弾かれほとんどダメージを与えられない。

(やっぱりそうなるよね!!)

ライトは何処かに弱点は無いかと情報収集機で探りながら、夥しい数の弾丸でオートマタを打ち据えていく。



砲弾の爆風で吹き飛ばされたシドは、空中で体を捻り所々に建てられた柱に着地、生体電気を脚に送り込み、一気にオートマタへ向けて跳んだ。


弾丸の様に空を突き進んでいくシドに対して、オートマタはガトリングガンで迎撃してくる。

猛烈な勢いで吐き出された弾丸は正確にシドに向けて飛んで来る。シドはエネルギーシールドを足場にし、空中を跳ねまわりながらオートマタとの距離を縮めていく。

しかし、皇国製の大型オートマタの性能は、あの戦闘用オートマタの上をいく様で、シドが回避した先にも置き弾を行って来た。

(なろ!!!)

シドは避けきれないと判断した弾丸をエネルギーシールドで弾き飛ばし、それでも躱せないモノは刀で弾いていく。

もう少しで懐に飛び込めるといった所で、オートマタの両手の兵器が起動した。

右手の兵器は直剣の形をしており、刃の部分に見えるプレートの周りをチェーンソーの様にエネルギー刃が回転を始め、左手の兵器は6本の棒にエネルギーが注ぎ込まれ、赤黒く発光しガトリングの様に回転を始める。


両手の兵器を構え、オートマタはシドに向かって突進してきた。

その巨体からは想像も出来ないほどの速度で左手の兵器を突き出し、シドを粉砕せんと突っ込んでくる。

シドは再度宙を蹴り、左手の兵器を躱す。

その兵器は余韻に触れただけで体を抉り取られそうである。

シドは攻撃を躱しながら左手を切り落としてやると刀を振ろうとするが、オートマタは右手の兵器を振るい、シドを両断しようとする。

シドは攻撃を中止し、直撃コースで迫って来るチェーンソーを弾こうとした。

しかし、オートマタはその巨体に見合ったパワーを持っており、逆にシドが弾き飛ばされそうになる。

シドは全霊の力で両腕両脚に力を籠め、チェーンソーを弾こうとした。

「・・・ラアアアアアアーーーー!!!!」

全身の筋肉を使い、双剣を振り抜くシド。

しかし、チェーンソーを弾き飛ばすまでには至らず太刀筋を逸らすだけに留まった。

(まだだ!!!)

シドは刀を振り切った勢いのまま、がら空きになったオートマタの頭部目掛けて双刀を横凪ぎに振るう。

左手に持った刀はオートマタのエネルギーシールドを切り裂き、頭部の装甲に接触。その高硬度の装甲の表面に僅かなキズを付け、間髪入れずにもう片方の刀を同じ箇所に叩き込んだ。

尾佐舟刀工により鍛えられた刀はオートマタの装甲を切り裂き、その刀身を深々と頭部に侵入させる。

シドは体の回転に合わせ、刀を振り抜き、宙を蹴ってオートマタの後方へと飛び抜けていく。

<どうだ!!>

<まだです>

オートマタの背後へと飛んだシドは体を捻り、オートマタの方へ向こうとするが、それより先にオートマタの背中からミサイルが多数発射される。

「のええぇぇ!?」

シドは慌てて回避を行うも、ミサイルは正確にシドに向かって方向を変えてくる。

(振り切れるか!?)

シドは全力で距離を取ろうとすると、全てのミサイルがライトの弾丸により撃ち落された。

<シドさん大丈夫?!>

爆炎で姿は見えないが、ライトはシッカリとシドをフォローしてくれていた。

<助かった!!>

<刀傷に数発放り込めたけどまだ動いてる!もう一回やって!!>

<無茶言うな!!!>

今のやり取りもギリギリの結果だった。あれを繰り返すのは命が幾らあっても足りない。

<一旦距離を取って仕切り直す「うおあ!!!!」>

シドは一度仕切り直そうとするが、相手はその隙を与えてはくれない。

再度粉砕機の様に回転する兵器をシドに向けて突進してくる。突進コースに在る物を抉り取りながら突っ込んできており、シドはチェーンソーに邪魔されないコースを選択し回避を行うが、オートマタはシドの動きに反応し両手の兵器を振り回してくる。

(クソ!!)

シドは紙一重で近接兵器を回避するが、発生する余波でDMDのエネルギーシールドが削り取られていく。

この威力の兵器が直撃すれば跡形も無く消し飛んでしまうのは間違いない。


2枚のエネルギーシールドと双刀を使い、攻撃を反らし続け反撃の機会を待った。


その間もライトからの攻撃は続いており、背後から発射されるミサイルの迎撃も行われている。しかし、ライトの攻撃だけでは決定的なダメージを与えることは出来そうにない。

強引にでも双刀でオートマタの装甲を傷つける必要がある。


オートマタの掘削機めいた兵器を大きく躱し、チェーンソーの攻撃を誘う。

狙い通りに右手のチェーンソーが振るわれ、シドは電光石火を発動し再度オートマタの頭部を切り裂こうと飛び上がった。

頭部目掛けて渾身の2連撃を叩き込まんと体を捻ったシドだったが、オートマタの思わぬ攻撃に妨害されてしまう。


オートマタは飛び上がったシド目掛けて頭突きを放ってきたのだ。

切り込まんとしていた所に高硬度の頭部カバーを叩き込まれ、直撃を受けたDMDの左肩が破損。シドの左肩も破壊され吹き飛ばされる。

走る激痛を堪え、体勢を立て直そうとするが、それを許さぬとオートマタのに肩に取り付けられたキャノン砲がシドの方を向いており、至近距離で砲弾を放とうとする。

(・・・!!!)

シドは先程の攻撃で体勢が崩れている。今から体勢を立て直し、再度宙を蹴るには時間が足りない。

シドはDMDのエネルギーシールドと自身の生体シールドを全力で発生させ、直撃に耐えようとする。

砲弾が放たれる瞬間。キャノン砲の砲身に無数の弾丸が撃ち込まれ、シドから射線がズレ砲弾が発射される。

シドの横に逸れた弾丸が爆発し衝撃波と破片を撒き散らした。


至近距離からその爆風を受けたシドは木の葉の様に吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる。

発生させた2枚のシールドも砕かれ、シドの体に大きな衝撃が走り抜けた。

「ガハ!!」

内臓にもダメージを負ったのだろう、口から血が噴き出し、シドは地面へ向けて落下していく。


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― 新着の感想 ―
>頭部には8つのモノアイが青い光を放ち、 ここはカメラアイでしょうか、モノアイは一つのみのカメラアイを指しますので。
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