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スラムバレット  作者: 穴掘りモグラ
112/217

続 キクチ視点

キクチが警備部の者達と荒野を走っているとライトから通信が入ってくる。

キクチは急いで端末を操作し通信を繋げた。

「ライト!今どこにいる!」

『今送ったポイントです。中央崇拝者のアジトみたいですね』

ライトから位置情報が送られてきており、確認するとかなり西よりの場所の様だ。

「!・・・・・ここにシドも居るのか?」

『はい、今中で大暴れの最中みたいですよ?』

「クソが!!!直ぐに向かう!!中の奴らを逃がすなよ!最悪全滅させても構わん!!!」

『はい、そのつもりです。ではまた』

「ああ、気を付けろよ」

キクチはライトとの通信が切れると直ぐに緊急依頼を受けた全ワーカーに通達をする。

中央崇拝者のアジトの位置情報を送り、その場所を包囲するように指示を出し、自分もそのポイントに急ぐ。


(これ以上なにも起こってくれるなよ?!)


最近ダゴラ都市では色々な事が起こり過ぎている。シドとライトが躍進を始めたころから面倒ごとが一気に噴出する様になった。

そして、その担当になっている自分にその全ての処理が降りかかる様になっていた。

無いとは思うが、ワーカーオフィスに別口で襲撃があることを警戒し、オフィスには連絡はしてある。後は統括に任せておけばなんとかなるだろう。

(ちくしょー!こんなの総務の仕事じゃねーーよ!!)

キクチは内心涙を流しながら現場へと急ぐ。


荒野を駆け抜け、もう直ぐポイントにつくかと言う所で緊急依頼を受けたワーカー達が追いついてくるのが見える様になった。

この後はそれぞれに指示を出して中央崇拝者たちを一網打尽にしなければならない。

この後の作戦を考えながら荒野を進んでいると、遠くの方の空から地上に向けて弾幕が降り注いでいる事が見えてくる。

(・・・・あれは・・・)

望遠映像で確認すると、それは宙に立つライトだった。


恐らく逃げようとする中央崇拝者達を攻撃しているのだろう。

夥しい数の弾丸がライトの両手から発射されており、ライトの周りに浮かんでいる2丁の銃からも攻撃が行われている様だった。


「・・・・・・キクチさん。あれは一体?」

警備部門のメンバーもライトの攻撃に困惑している様で、やはりワーカー出身としても不可解な攻撃の様だ。

「あれは先行しているワーカーだ。このまま進めばいい」

キクチはライトも緊急依頼を受けたワーカーと言う事にして警備部門のメンバーを納得させる。

空中から放たれる弾丸に混ぜられた曳光弾が無数に輝き、空から星を降らせる魔王の様に見えた。

(ライト・・・お前いつの間にアニメキャラになったんだ?)


もうすぐ到着するといったタイミングで、かなり離れた場所で大きな炎が上がっているのが見える。

あれも恐らくはライトの攻撃だろうと思ったキクチは、端末を手に取りライトに通信を繋げた。


「おいライト。今の爆発はお前か?」

『はい、そうですけど』

「ワーカーチームも到着した。お前は攻撃を中止して降りてこい」

『そうですか・・・・わかりました』

「・・・はあ・・・・遠くから見てたが・・・お前、古代アニメに出てくる魔王みたいだったぞ?」

『ははは、それは大袈裟ですよキクチさん』

「・・・・・・・まあいい、部隊をアジトに突入させる。シドと連絡は取れるか?」

『はい、問題なく』

「わかった。伝えてくれ」

『わかりました』


ライトとの通信を終え、キクチはアジト突入に耐えられるメンバーを選定する。

依頼を受けたワーカー達の中に、ヤシロとレオナを見つけ彼らをリーダーに突入メンバーを編成した。あの2人ならシドと遭遇しても誤って戦闘になる可能性は無い。この場合での突入チームのリーダーには最適だと考えられた。


直ぐにチーム編成をそれぞれのコードに送り、返事を待っているとヤシロから通信が入る。

「なんだ?」

『おうキクチ。俺をチームリーダーに選んだみたいだな。漸く俺を正しく評価できるようになったのか?』

ヤシロは揶揄うような口調で話しかけてくる。

「俺はいつもお前を正しく評価してるよ。今回はお前とレオナに任せるのが適当だと判断した」

『へ~、そうかい。理由を聞いてもいいか?』

「あの中にシドがいるからだ。攫われたとライトが言っていたからまだ中にいると思ってる・・・・・・・・・まだ施設の中で暴れていると思う。無いとは思うが、苦戦している様なら手助けしてやって欲しい」

『ハ?!あのシドがか?!』

「そうらしい。ライトは攫われたと言っていた。俺も良く状況が分かっていないんだが念のためな。自力で脱出しようとしてる所に鉢合わせてもお前たちなら戦闘にはならないだろ」

『・・・・・わかった。入口に着いたらすぐに入る。他のメンバーも急がせろ』

「ああ、連絡しておく」

キクチがそう言うと、通信が切れる。


敵アジトの周りには続々とワーカー達が集まっており、周囲の警戒を始めた。

キクチは警備部の者たちが乗って来たトレーラーの傍に立ち、周りの状況を見ていると近くに誰かが飛び降りて来た。

「キクチさん、お疲れ様です」

その人物はライトであり、先ほど空から銃撃を行っていたのだが、ワーカーチームが突入することを連絡し戻ってきてもらったのだ。

「ああ、ライトか。あの施設からどれくらい逃げ出したかわかるか?」

「ボクが着いた後で脱出口から出て来た車は全て破壊しました。逃げられた事は無いと思います」

「そうか、ご苦労」

(あの様子だったら本当だろうな・・・・周囲の捜索は最低限でいいか)

「シドから連絡は?」

「もう戻ってくるって言ってました。そのうち出てくると思います」

「そうか、もうすぐヤシロ達がチームを組んで内部に突入する手筈になってる。苦戦していてもなんとかなるだろう」

「そうですね・・・・まったく、規模も戦力も分からない相手にワザと捕まって潜入するなんて・・・・」

シドは意図的に中央崇拝者に捕まり、このアジトに潜入していた様だ。ライトの様子を見るに、全く相談せずに行ったらしい。

シドらしいと言えるかもしれないが、相手は企業にも戦いを挑む連中だ。相応の危険があると考えて間違いない。

「・・・・そうだな。戻ってきたら説教の一つでもしてやってくれ」

「はい、そのつもりです」

ライトは少し疲れた様子でそう言う。

それはそうだろう。遺跡中層で訓練を行った後にこの騒ぎだ。良くここまで動き回ったものだと褒めてやりたいくらいだった。

「俺の車で少し休め。シドが帰ってきたら連絡してやるから」

「そうですか?じゃーお言葉に甘えさせてもらいます」

ライトに車の場所と種類を教え、向かわせる。

キクチはシドが戻ってくるのを施設の入り口付近で待ち構えることにした。


しばらく待機していると、シドの声が聞こえてくる。


「俺はワーカーだ!ワーカーオフィスのキクチって人と話したい!!」


キクチはその声が聞こえると、急いでシドの元に走っていく。


「お~~い!シド!!!」

「お!キクチ!!」

キクチはシドの元まで駆け寄り、周りのワーカー達に説明を行う。

「コイツは大丈夫だ!皆、辺りの警戒に戻ってくれ!」

キクチの言葉を聞いたワーカー達は銃を下ろし、割り当てられた仕事に戻っていった。

「・・・・さて、何があったか話してもらうぞ」

「ライトから聞いてるんじゃないのか?」

「いや、アイツも焦ってる様だったからな。まだ詳しくは聞いてない・・・・・・・・それに、お前のその格好・・・何やってたんだ?」

シドは全身を血で染めており、かなりの激戦だったことがうかがえる。

しかし、怪我を負っている様子はなく、本人は元気そうだった。

「拠点を襲撃してきた奴らと戦ったんだよ。銃も無かったから素手で戦ったからな、返り血が酷かったんだ」

「・・・まあいい、こっちに来い」

キクチはシドとトレーラーまで案内し、さっさと血を落とさせようとする。

「あ、キクチ。まずはコレの処理を頼む」

そういいながらシドはサイボーグの頭部を渡してくる。

「これは?」

「アイツ等の戦闘要員だったヤツの頭部だ。記憶領域が生きてるかもしれないから持ってきた」

これも重要な証拠となりえる。

奴等の本拠地の情報も手に入るかもしれないし、中央から外に人間を運ぶ手口も明らかになる可能性もある。

「俺はこの頭部の処理をしてくる。勝手にどっか行ったりするんじゃねーぞ」


その後キクチはサイボーグの頭部を警備部門責任者へ渡し、トレーラーへ戻る。

「さて、シド。詳しい話・・・を・・・・・・」

トレーラーの中に入ると、そこにはライトに正座させられ懇々と説教されているシドが目に入って来た。


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