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異世界にとばされた社畜OLですが、ツンデレエルフと行商ライフを満喫中です!  作者: しらたき 茶々麻呂
VS 領主夫人ハル編

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43/50

43_巨大ナマズも煮込めば美味い

第43話です。

前回の気まずさから一転して、今回はグルメ回。あの巨大ナマズをどのように料理するのか?

現代でも『キャットフィッシュ』と呼ばれており、料理に使用するそうな。いつか食べてみたいものです。

私とビョルンさんの間に気まずい空気が流れている中、レイドさんの明るい声が聞こえてきた。

 

「ルナさん、目が覚めてよかった。気分はどうだい?」

 

「レイドさん、ドゥーガンさん。ありがとうございます、もう平気です!」


レイドさんたちの姿が見えると、ビョルンさんは話は終わりだと言うように、坂の下の水辺に降りていってしまった。


「あ……ビョルンさん」


「ごめん。なんか、お邪魔しちゃったかな」


「エルフの気紛れなど、珍しいことでもないだろう。奴らは協調性を知らん」


「頑固者の君がそれ言うかなぁ?」


レイドさんとドゥーガンさんは即席で作ったであろう簡易版荷車に、キングナマズ素材を詰め込んでいた。しかもその荷車を引くのはリーナさんが召喚したゴーレムだ。


すごい。即席でこんな馬車(ゴーレム車?)が作れるなんて、便利すぎて羨ましい。

   

「さて、これからどうしようか」

 

「戻るって言ったって、もう皆ヘトヘトよ。夜も遅いでしょうし、今日はここで休みましょうよ」

 

座ったままのシンシアさんが間延びした声で言い、リーナさんもウンウンと頷く。ドゥーガンさんは何も言わないけれど、どこが元気がないように見える。

 

こういう時、どうしたらいいのか。私は知っている。

 

「あ、あの!ご飯にしませんか?」

 

え?という顔で全員から見つめられる。

いや、まぁ、うん。分かるよ。どんだけ食いしん坊なんだよって思うよね。

 

「えっと……みなさん凄腕の冒険者だってことは分かっているんですが、先程のヌシとの戦いで消耗してしまったでしょう?休憩がてら魔力補給も兼ねて食事にしたらいいんじゃないかと、思いまして」

 

しどろもどろに言葉を紡ぐと、シンシアさんとレイドさんが顔を見合せ、そしてにこやかに微笑みかけてくれた。

 

「ルナちゃんの言う通りね。私、もう魔力がカラカラなの。なにか暖かくて美味しいものが食べたいわ」

 

「それならこの魚を使ってくれるかい?俺たちじゃ全部は持って帰れなくて、いちばん美味い部分だけでもと思って取ってきたんだ」

 

「それってまさか」

 

「ヌシの切り身だよ。まさかキングナマズが食べられるなんて思わなかったなぁ!」

  

「えぇっ!?あのナマズ、食べられるんですか!?」

   

「ほら、ここに書いてあるよ」

 

見せてくれたのは『グリオンのガストノロミー』のとある1ページ、『大ナマズのアクアパッツァ』のレシピだった。

 

グリオンさんの本によると大ナマズは淡白な白身魚の味がするらしい。へぇー、うなぎとか穴子に近いのかと思ってた。

 

「ふむ……これなら、今の手持ちの素材でもなんとかなりそうですね」

 

ありがたいことにグリオンさんの本には丁寧に下処理の方法と、調理法が書かれていた。この本の通りにやれば何とかなりそうだ。

 

「肝は塩で炙って食べるのが美味。身は木の実オイルと薬草を合わせて煮込み料理にする。……なるほど、煮込み料理なら泥臭さも気にならなさそうですね」

 

「そうなんだよ。しかもオミナス・ナマズの排泄器官はとても優れていて、身に泥や土の匂いがつかないんだ。それに…」

 

「レイドのことはいいから、お料理をはじめちゃいましょ」

 

興奮気味に話し続けるレイドさんを隅に追いやって、シンシアさんとリーナさんは私に笑いかけたのだった。

 

フライパンに木の実のオイル(オリーブオイル)、細かく刻んだニンニクを入れて、弱火で炒める。

 

「ん〜!このドラゴン爪草の球根 (ニンニク)の香りを嗅いだら、とってもお腹がすいちゃうわね」

 

「シンシアさん、お疲れでしょうにお手伝いありがとうございます」

 

「いいのよ。お料理用の火魔法くらいならどうってことないもの」

 

シンシアさんは調理用に少し弱めの火魔法を出してくれた。おかげで安定した火加減の元で調理することができて、大変ありがたい。

 

「お姉さん、これも使って」

 

リーナさんが差し出してくれたのは、色んな野菜だった。食堂で見たものよりも小さく、私が知っているトマトやオリーブの実に見える。鑑定グラスでも予想通りの結果が出ていたので、これはトマトとオリーブと呼ぶことにした。

 

「わぁ!こんなにたくさんのお野菜、頂いていいんですか?」

 

「ダメになる前に使った方がいい。それにお姉さんなら、美味しくしてくれるでしょ?」

 

「はい!絶対に美味しく調理しますね」

 

リーナさんからたくさんの食材をいただいたので、いま一度茣蓙の上に食材を並べて、整理するみることにした。

 

「まずは今日のメイン、ドゥーガンさんが捌いてくれた大ナマズの切り身。肝は塩焼きにするので置いておきましょう」

 

リーナさんから頂いたトマト、オリーブ。

レイドさんが追加で採ってきてくれたアサリ、ムール貝。

そして自前のハーブや調味料各種。

レイドさんパーティーと私の所持品で今日の晩御飯を作ることになりそうだ。

 

「魚にほどよく焼き色がついたらひっくり返す。そしてそこに白葡萄酒を入れて……」

 

私とシンシアさんが調理している横で、ドゥーガンさんとレイドが賑やかに騒いでいる。

 

「これはワシの酒だ!」

 

「また買ってあげるから」

 

「断る!ワシの酒はワシのもんだ!」

 

「みんなのお金で買ったんだから、ドゥーガンだけのじゃないってば」

 

その問答は、結局リーダーであるレイドさんの勝利に終わった。レイドさん、普段はとても穏やかな方なので忘れてしまいそうだけど、このパーティーのリーダーなのだと実感する。

 

隅っこの方で小さくなっているドゥーガンさんを横目に、シンシアさんが肩をすくめて笑った。

 

「おいしい料理を作ってあげるから、ガマンしてちょうだい」

 

「ぐぅ……ワシの酒……」

 

「ドゥーガンさんはお酒が好きなんですねぇ」

 

「うん。ドゥーガンはお酒を飲んだら、ぜんっぜん仕事しない」

 

「そうなの。困ったものだわ」

 

「あははっ、お料理にしたら酒気も飛ぶので今回はきっと大丈夫ですよ」

 

ドゥーガンさんに文句を言うシンシアさんとリーナさんを横目に、リーナさんが切ってくれたトマトとオリーブを纏めてフライパンに入れた。

 

「白葡萄酒の酒気が飛んだら、野菜と木のオリーブを入れて、ひと煮立ちさせます」

 

「まぁ、いい香りだわ」

 

野菜が少しくったりした頃、塩抜きした貝を入れて火を通す。貝の口が開いていたら、完成は間近だ。スープを掬って味見をする。魚の出汁、ニンニクのパンチが効いているスープだけれど、まだ少し塩味が足りない。


本当は醤油をひと垂らししたら味に深みが出るんだろうな。この世界に醤油はなくても魚醤とかないのかな。ギルドに戻ったら調べてみよう。


……と、今は目の間の料理に集中、集中。

 

「塩胡椒とハーブで味を整えたら……完成!『キングナマズのアクアパッツァ』です!」

 

「まぁ美味しそう!」

 

「身が余ってしまったので、肝と合わせてシンプルな串焼きにしました。グリオンさんも、キングナマズなら臭みもないから塩焼きでも美味しいって書いていましたから」

 

「本当かいっ!ありがとう、ルナさん!」

 

喜んでくれたレイドさんの無邪気な笑顔を見ると、なんだかほっとする。シンシアさんたちは大ナマズ料理にはしゃぐレイドさんを、困った弟を見るような目で見ていた。

 

そして4人は皿を持ち、同時にナマズの身を口に含む。

 

「……!!」

 

飲み下すと同時に固まってしまった4人に、私は流石に焦ってしまう。


まさか口に合わなかったのか…!?

 

「す、すみません。お口に合わな……」

 

「おいっっしいよ、ルナさん!」

 

ガツガツと身を頬張るレイドさんの大声が、洞窟中に轟いた。

 

「本当に美味しいよ。グリオン氏の本で読んだ通りの味だ!」

 

「もう、レイドったら。感動しすぎよ、ルナちゃんびっくりするじゃない」

 

感涙しているレイドさんを諌めて、頬を抑えてうっとりと微笑むシンシアさん。

 

「だけど気持ちはわかるわ。この煮込み料理、とーっても美味しいもの。ね、リーナ」

 

「うん。お姉さん、料理すっごく上手。ふわふわのお魚もやわやわのお野菜も、ぜんぶおいしい」

 

「ふぅむ……見事なもんだ」

 

リーナさんとドゥーガンさんもそれぞれ感想を言いながら、満足そうにスープを頬張ってくれていた。ありがたい話だ。


4人とすぐに食べ終わってオカワリを所望したので、大きな切り身をそれぞれの皿に入れてあげた。そこでふと、もう1枚の皿が目につく。


それはビョルンさんの分だ。


「私、ビョルンさんのところに行ってきますね」


皿を手にして、私はビョルンさんの座る水辺にゆっくりと降りていった。  

最後まで読んでいただきありがとうございます。

次回も引き続きよろしくお願いいたします

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※次回更新は2月9日12時です

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