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【コミカライズ】ドワーフの最強拳士、エルフの幼女に転生して見た目も最強になる!【企画進行中】  作者: 呑竜
「第八章:エルフヘイムへ!」

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「冒険の書二百十ニ:VSドロガロン!④」

 えらに三叉矛を突き刺してひねって、呼吸器を傷つけて。

 三叉矛さんさほこの表面を這わせた雷の魔術でもって、平行感覚を司る内耳ないじを傷つけて。


 水棲すいせいの魔物であるドロガロンを、住み家である川で溺れるところまで追い込んだワシらに、しかし強烈な反撃が返ってきた。


 反撃の名は『竜語魔術ドラゴンロア』。

 人よりも高位存在に近い竜種だけが使える、最強の魔術。

 単音節で放たれる、最速の魔術。


 ──フ・ル・ル──


 瞬間。

 凄まじい衝撃波が放たれ、ルルカの結界を一撃で破砕した。

 川に大波が立って船体が激しく揺れ、魔術で強化されたマストがミシミシと嫌な音を立てて曲がった。


「く、ああぁ……っ?」


 ワシは鼓膜を破られないよう耳を押さえると、その場にしゃがみ込んだ。

 舷側げんそくを盾にして少しでもダメージを軽減させようとしたのだが、焼け石に水。 

 あまりの衝撃に骨と肉がきしみ、内臓が裏返りそうになった。


「「「…………!!!?」」」


 ルルカ・マリアベル・ルシアンたちも堪らずにしゃがみ込み、声にならない悲鳴を上げている。


「ルルカ! 結界を!」


「わかって……るっ!」


 これ以上の損害を防ごうと、ルルカはすかさず結界を張り直した。

 一枚、二枚、三枚。 

 自らを護るため、仲間を護るため、痛みに耐えながら女神の護りを重ね張る。


 ──フ・ル・ル──


 再び、衝撃波が吹き荒れた。

 三枚重ね張りした結界は今度こそ耐え切ったが、一番外側に張った一枚が粉砕、すぐ内側の二枚目にヒビが入った。

 

「……くそ! 向こうの衝撃波二発に対し、こちらは三枚か! 魔力がどれだけあるかはわからんが、このままではジリ貧だ! ヤラれる前にヤルしかないか!」

 

 意を決したワシが突撃しようとしていると、三度みたびドロガロンが口を開いた。

 

「また来るか……っ⁉」


 三度目の衝撃を予想して、耳に手を当てしゃがみ込むワシ。

 しかし、いつまでたっても衝撃波は到来しない。


 顔を上げると、ドロガロンが頭をのけ反らせているのが見えた。

 空気を吸い込み鰓の周囲を膨張させるようなその動きは、まるで何かの予備動作のように見えるが……。

  

「予備動作? いったい何をする気だ?」

 

 答えは、直後に示された。

 ドロガロンの口からは投射されたのは、竜語魔術による衝撃波ではなく、深緑色の霧――


「『竜の吐息(ドラゴンブレス)』か――!」


 しかも、狙いはワシらではない。

 上空にいたので衝撃波から逃れられていたチェルチ。

 ワシらの中で唯一ルルカの結(・ ・ ・ ・ ・)界に護られ( ・ ・ ・ ・ ・)ていない( ・ ・ ・ ・)チェルチだった。

 

「チェルチ、逃げ――」


「ぎゃああああああぁぁぁ~っ⁉」


 警戒するよう声をかけたが、間に合わなかった。

 竜の吐息をまともにくらったチェルチが悲鳴を上げた。


「くそっ……!」


 たしか船員が言っていた。

 ドロガロンの吐息は猛毒で、あらゆる生物の『目』を殺すのだと。


「目が、目があぁぁぁぁ~っ⁉」


 視界を奪われたことで飛んでいることができなくなったのだろう、両手で顔を押さえたチェルチが船の上に落ちてきた。 

 ワシが飛びつき、すんでのところで受け止めたので甲板に叩きつけられるのは避けられたが……。


「チェルチ! チェルチ!」


「見えないよ、なんにも見えないよおぉ~っ!」


「ルルカ! 頼むっ、チェルチの目をっ!」


 本当ならばこのままチェルチを抱きしめ、ルルカの施術が終わるまで声をかけ続けてやりたい。

 怖れや痛みが拭いされるまで、傍にいてやりたい。

 だが、今はドロガロンとの戦闘中だ。

 このワシが戦線から離れることは許されない。

 

「結界を維持しながらだ、出来るか!?」


「ち、治癒と結界、違う種類の術をふたつ同時に……?」   

 

 片手で『聖なる円環(ホーリー・サークル)』を、もう片手で『大解毒グランド・アンチドーテ』を。

 ふたつのそして違う種類の神聖術を同時に唱えるのは、門外漢であるワシにですらわかる神技だ。


 だが、無理を承知でやってもらわねばならない。

 竜の毒が、チェルチの目から完全に光を奪ってしまうその前に。


「信じておるぞ、ルルカ」

  

 辛いとか苦しいとか無理だとか、泣き言をすべて無視したワシの無茶ぶりに、しかしルルカはグッと拳を握って応じてきた。


「……うん、任せてっ!」


 わずかにあった怯えの色をかき消すように、ニコッと笑いながら。


「なにせわたし、将来は『大神官』になるほどの女だからねっ!」


 すかさず神聖術の同時詠唱に入るその姿には、出会った頃からは想像もつかないような強さが窺える。


「……ふん、なんとも頼りになる相棒だな」


 ワシは口の端を緩ませると、甲板の上を走った。

 パカリと口を開けたドロガロンに向けて、その口が新たな術を――あるいは毒の吐息を吐く前に。


「チェルチが傷つき、ルルカが体を張ってくれているのだ! ここは仕留める……絶対に仕留めてみせる!」


「小娘えぇぇぇぇぇー!」

 

 気合いを入れたワシに向けて、横から何者かが飛び掛かってきた。

 

「なっ……?」


 それはハイデルだった。

 シルヴァリスの街で対立したエルフの森林騎士。

 今ごろは街の住民に強制労働させられているはずだったのだが……。


「待ったぞ! 待ったぞおまえに復讐するこの瞬間を!」


「なぜこんなところに……っ?」


「ピエルラ家の嫡男たる俺に対する不敬罪だ! 速やかに死ねえぇぇぇぇー!」


 ハイデルは叫びなら、ワシに向かって突っ込んできた――

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