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【コミカライズ】ドワーフの最強拳士、エルフの幼女に転生して見た目も最強になる!【企画進行中】  作者: 呑竜
「第八章:エルフヘイムへ!」

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「冒険の書百八十三:カルラ、頭を抱える」

 ~~~カルラ視点~~~




 エルフの王国である『エルフヘイム』をその内懐に抱く、『深淵樹海ノクスグローブ』。

 ひとつの国ほどもあるだろう広大な森の端に、『闇の軍団(ダーク・レギオン)』の拠点がある。

 

 隠密活動を行う拠点なので、大きなものではない。

 せいぜい十数人が寝泊まりできる程度の簡易な小屋だ。

 小屋の前にはコボルドの歩哨がおり、小雨の降る中でも微動だにせず、槍を携えて直立している。

 

 小屋の中に、拠点の長たるカルラがいる。

 カルラ・プル・チャルミエール、ダークエルフの女だ。

 エルフと違って肉づきがいいダークエルフの種族特性どおり、体つきは豊満で顔立ちは妖艶。

 足を組んで座っているだけでも男を虜にしてしまいそうなほどの、妖しげな魅力がある。


 実際、彼女は多くの魔族の男たちを虜にしてきた。

 誘惑し、たらし込むことで『闇の軍団』内での地位を上げることに成功してきた……のだが……。


「……ヤバい、成り上がりすぎたわ」


 カルラは頭を抱えた。


 もともと戦いが好きではない、というよりはハッキリと苦手な方だ。

 成り上がってチヤホヤされるのは好きだが、人族との戦いの矢面やおもてに立たされるのだけは避けたいと思っていた。


 だが、魔族ばかりの『闇の軍団』の中で地位を上げるというのは、イコール戦いの場に引き出されるということでもある。

 それを完全に失念していた。


「もっと前の段階で止めておくべきだったのに……アタシってばなんてことを……っ」


 成り上がりすぎたカルラは、エルフヘイム攻略戦の作戦参謀になってしまった。

 しかも後方で作戦を立てるだけの安全な役割ではなく、直接『深淵樹海』に赴いて戦場予定地を視察し、『闇の軍団』による『エルフヘイム侵攻作戦』のための足場を作る、重要かつ危険な役割を任されてしまった。


「エルフと戦うんだったらやっぱりダークエルフだろ、なんて安易な発想をするんじゃないわよ。ホントにいぃぃ~……」


 たしかにエルフとダークエルフは犬猿の仲だ。

 何千年何万年という長きに渡ってケンカを繰り返してきた仇敵同士だ。

 だからこそ、相手の手の内や強さがわかるのだ。

 

 エルフは強い。『深淵樹海』に住まうエルフは特に強い。

世界樹ユグドラシル』からの潤沢な魔力供給を背景にした力強い魔術をバンバン使ってくるし、弓の扱いにも長けている。精霊や森の植物とも共闘してくるし、正面から戦おうとしたら数十万の軍隊をもってしても攻略するのは難しい。


 ダークエルフのカルラだからこそ知っているからめ手もあるにはあるが、それには相応の危険が伴う。

 そしてこの場合、危険を負うのはカルラ自身になってしまう。


「作戦はあるしそれを伝えることはできるけどさあ~……。アタシ自身は弱いんだから、後方で経緯を見守らせてよお~、お願いだからあ~……」


 などと愚痴っても、事態が好転するわけではない。

 

「ああもう、パラサーティア攻略さえ上手くいってればなあ~。ラーズのバカが負けたせいで、こっちが『主攻』になっちゃったじゃ~ん」


 パラサーティアを攻略し、そのまま王都ハイドリアを落とすのが『主攻』。

 エルフヘイム攻略戦は、エルフ族によるハイドリア救援を防ぐための『助攻』に過ぎなかった。


 だがパラサーティア攻略は失敗、魔戦将軍ラーズは討ち死にした。

 さらに悪いことは重なった。王都での『暗部』の活動の一部が露見し、王都攻略のための足掛かりが失われてしまった。


 これに激怒した『闇の軍団』上層部が、エルフヘイム攻略を『主攻』に格上げ。

 エルフ族の『足止め』ではない、なんとしても攻略し『征服』するのだと鼻息を荒くし始めたのだ。


 まさか上層部の意向に反抗できるわけもないカルラは、『深淵樹海』で作戦指揮をとることになった。

 部下の兵士に哨戒活動をさせ、ハイドラ王国におかしな動きがあったら即座に伝えるよう命令し、その間に『深淵樹海』の奥深くへ諜報の枝を伸ばし。

 最初のうちは順調にいっていたのだが……。


「カルラさま! またヤラれましたワン! オルグが二十人だワン!」


「カルラさま! 今度はケルベロスが十頭、人喰い鳥も三十羽ヤラれましたワン!」


 コボルドたちが報告してくるのは、状況悪化の報告ばかり。

 

「もお~、なんなのよ! 狂猿マッドエイプがヤラれたと思ったら、次はオルグ⁉ ケルベロスに人喰い鳥っ⁉ なによ、騎士団が総出で街道整備でもしてるってのっ⁉」


 哨戒活動を任せていた兵士が次々に殺されていく。

 ただの雑魚ではないそれなりの戦力となる者たちが、部隊ごと消されていく。

 その上ご丁寧に死体を焼かれ、骨まで砕かれているせいでアンデッドにすることもできないときた。


 自身の抱える戦力が日に日に削れ、日に日に立場が悪くなっていくのに、カルラは気が狂いそうになっていた。


「もお~、どうしたらいいのよ。こんなのぉ~……」


 机の上に広げられたメモを眺めるが、答えは見つからない。

 そこにはコボルドたちから上がってきた報告が記されているのだが……。


「ん~……とりあえずまとめるか~……。ん~……ヤラれたのはすべて街道の周辺ね。そんでもって、ハイドリアからこっちに向かって徐々に近づいて来てると。……ん? ものすごく強いエルフの小娘が素手で暴れていた? これはガセね。ってか、エルフが素手で戦うわけないでしょうが」


 ガセネタと思われる一枚をポイと捨てると、後ろに控えていた副参謀が「えっ……?」と驚きの声を上げた。


「……なによアナタ、なにか文句あるの?」


「いえ、なんでも……」


 カルラが後ろを振り返ると、副参謀はサッと顔をそむけた。

 カルラの捨てたメモを見ていたようだが、いかにも何もなかったかのように振舞っている。

 

「……なによ、気持ち悪い奴」


 カルラは舌打ちした。


 副参謀は、最近部下になったばかりの新顔だ。

 立場としてはカルラの下だが、『闇の軍団』での格は上。

 人魔決戦でも活躍した古強者で、『黒蜘蛛ブラック・ウイドウ』のふたつ名持ち。

 王都ハイドリアでヤラかしたせいで左遷されてきたということだが……。


「まあいいわ。あとでイジメてやろ。うふふ、今回はどんな目に遭わせてやろうかしら……」


 立場を利用したパワハラを趣味にしているカルラは副参謀を――ヴァネッサという名の女をどんな目に遭わせてイジメてやろうかと想像し、薄暗い笑みを浮かべた……。

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