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【コミカライズ】ドワーフの最強拳士、エルフの幼女に転生して見た目も最強になる!【企画進行中】  作者: 呑竜
「第七章:弱者の戦い方」

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「冒険の書百五十二:戦後処理」

 勇者学院を襲った『闇の軍団(ダーク・レギオン)』を退け平和を勝ち取ったワシらだが、「よくやったな、すぐに帰って寝てもいいぞ」とはならなかった。


 何せ、被害が被害だ。

 勇者学院の施設の一割が破損、未だに炎上しているところもある。

 警備兵の九割が死亡しているし、レッサーデーモンの死骸は放っておけば瘴気を発し、病気はもちろん邪霊を生み出す温床となる。


 仲間うちでいうと、ウルガのケガもなかなかのものだ。

 コーラスは『人造人間ホムンクルス』だからだろう両足を失っても平気な顔をしているが、移動するにはワシが背負って運ばねばならない状態だ。


 施設の復旧・消火、死体の安置・処理。

 ルルカはウルガの回復に務め、ワシはコーラスを背負いながら騎士団への報告を行った。


 よろしく取り計らってくれるようリゼリーナへの言伝ことづてを頼み――遅れて駆けつけた学院の関係者に事態の説明を行い――ベルトラにウルガの教会への移送とその後の護衛を頼み――すべての処理が終わったのは明け方頃。

 常宿に戻ったワシは、たまらずベッドに倒れ込んだ。


「戦勝報告会から始まって、パーティ、勇者学院襲撃? 色々ありすぎてもうわけがわからん……ぐう」



 ――泥のように眠り、起きると夜だった。


 

 カーテンの向こうには、すでに真っ暗な夜のとばりが落ちていた。

 ルルカは留守で、「教会に行ってきます! やることいっぱいでモオォ~大変!」と、なぜか牛のイラスト付きの書き置きを残している。

 チェルチの姿もなかったが、こちらはなんの書き置きもない。

 

「コーラスは……そうだ、教会に置いてくるよう頼んだのだったな」


 教会に運ばれるウルガの傍にいたいとコーラスが言ってきたので、それも合わせてベルトラに頼んだのだった。


「いかんな、頭がボケておる。ずいぶんと疲れておるようだわい」


 ドワーフだった頃ならこの程度の疲労なんでもなかったのだが、さすがにエルフの小娘の体ではな……。

 

「とにかく何か食って、脳に栄養を補給しよう」


 飯を食おうと思ったワシは、適当に着替えると階下に降りた。


 ワシらの常宿は二階三階が宿泊施設で、一階が酒場になっている。

 安い価格で美味い酒食にありつけることが有名な酒場は、今日も今日とて大盛況。

 旅人に冒険者、近隣住民に王都の職員などがガヤガヤと楽し気に騒いでいる。


 ひとりで席に着いたワシに、さっそくとばかりに常連客が声をかけてきた。


「ディアナちゃん! 聞いたぞ、また何かやったそうじゃないか!」

  

「え、王城で表彰されただけじゃなく?」


「勇者学院を襲った悪魔をぶっ殺したとかなんとか……」


「てことは昨日の爆発は、あれはディアナちゃんがやったのか!」


「エルフだからな、すげえ魔術でも使ったんだろ。納得だわ」


 常連客のくせに、ワシへの誤解がすごい。


「ま、この格好で格闘僧モンクとは思わんだろうし。ワシも普段から自分のことを吹聴したりはせんからな」


 誤解はさて置き、届いたエールのジョッキを傾け、酒場名物の焼き鳥を食うワシ。

 エールは泡立ちが良く、口当たりさっぱり。

 焼き鳥は肉質むちむち。


「んん~、たまらんのう~」


 ひさしぶりの酒と飯が、胃に染みる。


 ワシがひとりでいるのを不思議に思ったのだろう、常連客が聞いてきた。

 

「なんだ、ひとりか? 珍しいな、いつも嬢ちゃんたち三人一緒なのに」


「ならちょうどいい。俺らと一緒に呑まないか?」


「そうそう、いつもはルルカちゃんのチェックが厳しいからなあ~」


「あの娘、ディアナちゃんに近づく男を親の仇みたいな目で見てくるもんな。戦杖メイスとか構えちゃって、こえぇのなんの……」


 ルルカの不在をいいことに、ここぞとばかりにワシを誘ってくる男ども。

 まあ何かあったらぶっ飛ばせばいいし、酒につき合ってやるのも一興かと思ったが……。


「……いや、やめておく。今はそういう気分じゃないのでな」


 気がついた時には断っていた。


 前世も含め、酒の誘いを断るようなことなどしたことなかったワシなのに、なぜ?

 自問すると、答えはすぐに出た。


「そうだ。チェルチが……」


 チェルチがいなかった。

 宿へ帰って来た時にはたしかに一緒にいたのに、起きた時にはいなかった。

 

「のう、誰かチェルチを見なかったか?」


 ワシの問いかけに、しかし皆は首を横に振った。

 常連客はもちろん、酒場の店員も誰も見ていないという。

 食いしん坊かつ皆の妹的存在のあやつのことだ。

 もしここで食事をしていたなら、誰も気づかないというのはあり得ない。

 かといって、わざわざ他で食事をしているとも思えない。

 ということは……。


「昨夜あれだけの騒ぎがあって疲れているはずなのに、あれだけの食いしん坊が何も口にしていないだと……?」


「………………なあ、ディアナ」


 突然、後ろから声がした。

 驚いて振り向くと、紛れもないチェルチがそこにいた。


 しかも、普通の様子ではない。

 ガックリと肩を落とし、頬をコケさせ、いかにも憔悴しょうすいしきった様子だった。


「……チェルチ。おまえ、いったいどうしたのだ?」


「あたいさ、冒険者ギルドに行ってきたんだ。エーコのことを聞きに……」


「エーコ……? ああ、そうか。たしか昨夜……」


 そういえば、チェルチが言っていた。

『魂魄支配』を使った結果、あの黒ずくめの女の正体がベルキアの冒険者ギルドにいたエーコだったのだと。

 ワシだってもちろん驚きはしたのだが、戦後処理の忙しさのせいで忘れていた。

 

「色々聞いてきたんだ。あいつのこと、そしたらさ……」


「わかった。とにかく、上に行こう」


 こんなところで話す内容だとも思えない。

 ワシはチェルチの手を引くと、二階の部屋へ移動した。


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