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【コミカライズ】ドワーフの最強拳士、エルフの幼女に転生して見た目も最強になる!【企画進行中】  作者: 呑竜
「第七章:弱者の戦い方」

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「冒険の書百五十一:死闘の末」

 コーラスの音波攻撃を受け、のたうち回るギイ。

 その無防備な後頭部へ向け必殺の回転突きを放ったワシだが――


「させるわけないでしょ!」

 

 黒ずくめの女が横槍を入れてきた。

 両手から黒い糸を飛ばすと、ぐるりとギイの胴に回して手元へ引き寄せたのだ。


「ちっ……余計な真似をっ!」


 ワシは即座に追撃に移ったが、ギイの体は黒糸に引っぱられ、地面を滑るように動いていく。

 思った以上に女の膂力りょりょくが強いせいで、なかなか追いつけない。

 

「ど~う? そんな可愛らしいおみ足で、ここまで追って来れるかしら?」


 女はギイを抱えると、凄まじい跳躍力で研究棟本部の大屋根へと跳び上がった。

 研究棟各棟の三倍の高さのある大屋根は高すぎて、この体(ディアナ)では登れない。


「いかん……このままでは逃げられる!」


 あのギイを仕留められる機会など、今後そうそう巡ってくるとは思えない。

 るなら今しかないというのに……。

  

 焦るワシの頭に、最高の案が浮かんだ。


「そうだ――チェルチ! 足止めを!」


「ええ~!? どうやってだよお~!?」


 自分の任務は果たしたと思ったのだろう、チェルチはルルカを抱きながら下まで降りてきていた。

 

「『魂魄支配(ソウル・ドミネイト)』だ! 弾かれてもいいからやれ! 一瞬でも動きが止まれば、あとはワシがやってやる!」

 

 かつてチェルチがルルカに弾かれた時と同じだ。

 レベル差あるいは聖気という障害がある場合、『魂魄支配』で相手のコントロールを奪うことはできない。


 だが、一瞬でも相手の思考を盗み見ることはできるのだ。

 突然自分の思考を覗き見られた女が、まったくなんの障害もなく行動できるとは思えない。

 動きは絶対に緩慢になる、もしかしたらギイの体を取り落とすことすらあるかもしれない。


「わかったよ! じゃあルルカは頼んだ! 喰らえ……『魂魄支配』!」


 言うなり、チェルチはルルカの体を投げ落とした。

 

「ぴゃあぁぁぁぁあ~!?」


「ええい、騒ぐな! 受け止めてやるから!」


 悲鳴を上げながら落下するルルカを空中で抱き止めると、ワシは女を見つめた。

 覆面越しなので表情は見えないが、動揺しているのは動きでわかる。


 しかし、そこはさすがというべきだろう。

 女はギイを取り落とすことなく、懐から取り出した丸薬を大屋根へと叩きつけた。

 丸薬は破裂すると、濃厚な白い煙を下へと振りいてくる。


「これは煙幕……いや、もしかして毒か!?」


 ただの煙幕ならいいが、万が一のことも考えると無策で突っ込むことはできない。

 ワシは背中にコーラスを張りつけ、腕ではルルカを抱いたまま風上に逃げた。

 ウルガはと見ると、錬金術師らしく鼻の尖ったマスクのようなものを被っている。


「おのれ、逃がしたか……」


 煙が張れた時には、女の姿は消えていた。

 取り落としたギイの大剣だけが、その場に残った。


「なんともしまらん結果だが……」


 警備兵や学院の施設に甚大な被害が出た、ウルガやコーラスが大ケガを負った。

 だが、最悪の結果には至らなかった。

 ワシらは『闇の軍団(ダーク・レギオン)』の精鋭を追い払ったのだ。


「どうあれ勝ちは勝ち、か」


 ワシがため息をついていると……。


「勝ったね、ブイ」


 コーラスは素直に喜び、最近お気に入りの裏ピースを決め。


「わあ~、なんだかこれってお姫さまだっこみたい? わあああ~っ」


 ルルカはワシに抱かれているのが嬉しいのか、ぽっと頬を染めている。


「お~いチェルチ。よくやったな、おまえのおかげで勝つことができた。褒めてやるから降りてこ~い」


 未だ空中を漂うチェルチに声をかけたが、どうしたのだろう、なかなか降りてこようとしない。

 肩を落とし呆然とした表情を浮かべているところから察するに、『魂魄支配』で何か衝撃的なことを知ったのだろうか? 『闇の軍団(ダーク・レギオン)』の動向とか、根拠地とか?

 ああ~……そういえばあの女、覆面で顔を隠していたっけなあ。

 

「なあチェルチ、何かわかったのか? あいつらの目的とか、あるいはあの女の正体とか?」


 ワシの言葉に、チェルチはようやく反応を示した。

 頬をひくひくさせると、蚊の泣くような声でつぶやいた。


「……だよ」


「ん? 今、何と言った?」


 聞き返すワシに、チェルチは泣き笑いのような表情を向けてきた。


「正体も何もないよ。あいつ……エーコだったんだ。ベルキアの冒険者ギルドの、エーコだったんだよ」

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