表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ】ドワーフの最強拳士、エルフの幼女に転生して見た目も最強になる!【企画進行中】  作者: 呑竜
「第七章:弱者の戦い方」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

138/216

「冒険の書百三十七:苦手な女」

 パーティ会場から離れたところにあるテラスに出ると、微かな風が前髪をくすぐった。

 ハイドラ王国の名産である白光花パージリアが大きな花弁を広げ甘い香りを放ち、月がほのかな光を投げかけていた。


 城下を望む手すりの傍には古びたイスとテーブルのセットがあって、そこにひとりの女が腰掛けていた。

 六十歳後半だろう、空色のドレスを身にまとった品の良い老女――五十年ぶりだが間違いない、ルベリアだ。


 ルベリア・アウローラ・ウル・ハイドラ。

 今は太后たいこうか。

 若い頃は黄金のように輝いていた金髪が加齢とともに銀白へと変わり、白く瑞々しかった肌にも皺が目立つ。

 だが、面影はバッチリと残っている。

 背筋はその気高さを表わすようにピンと伸びているし、細められた碧眼からは未だ恐ろしいほどの眼力が漂ってくる。

 

 若い時分から『賢姫けんき』と呼ばれ、国の内外から恐れられた女傑だ。

 絶対に普通の年寄りにはなるまいと思ったが、これは凄まじいな。

 特に眼力だ。

 超常の力すら感じられるその眼差しを浴びせられたら、並みの小僧なら一瞬で下僕にされてしまうのではなかろうか……。


「――いつまでそんなところにいるのです。さっさとこっちへ来なさい」


「は、はいっ」


 厳しい声をかけられたワシは、並みの小僧のようになってしまった。

 直立不動になって、お行儀よく返事をしてしまった。

 

 おいおい、今はエルフの小娘の姿をしているとはいえ、中身は二百五十八歳のドワーフだぞ。

 戦場を駆け抜け多くの魔族に滅びをもたらした武人だぞ。

 そんな風に自分を鼓舞したが、なかなかうまくいかない。

 

「た、ただいま参りますっ」


 緊張しまくったワシは手足をギクシャクと動かし、ルベリアの対面の椅子に座った。

 いつもだったらあぐらをかくところだが、今日ばかりはチョコンと行儀よく腰掛けた。


「あなたが、ディアナさん?」


「は、はいっ」


 ワシをジッとにらみつけながら、ルベリアは言った。


「ごめんなさいね。こちらからお呼び立てしたのにこんな接し方しかできなくて。わたくし、目つきも悪いし、少々お口にトゲがあるでしょう?」


「は、はいっ。……いえっ」


 蛇ににらまれた蛙のようになりながら、ワシは思い出していた。

 昔からこの女が苦手だったことを。

 この眼力と頭の良さに、まったく頭が上がらんかったことを。


「昔から直そうとは思ってるのよ。だけど生まれついてのものだから、なかなかうまくいかなくて……。そのせいでさんざん言われたわ。『ハイドラの悪姫あっき』、『人科ひとかゴルゴン』、『先の魔王の生まれ変わり』……」


 ルベリアには『賢姫けんき』以外にもさまざまな異名があったが、どれも尋常なものではなかった。

 頭の良さはもちろんだが、その厳しさや苛烈さを、味方はもちろん敵側である魔族すらも恐れていたのだ。

 

「わたくしを怖がらなかったのは、後にも先にもアレス(あの人)だけなのよね……」


 どこか物憂ものうげなルベリアのつぶやきを聞いて、ワシは少しホッとした。

『賢姫』ルベリアにも人並みの悩みがあったのだなと、ちょっぴりだが親しみを感じた。


 ――と、それすらも計算のうちだったのかもしれない。

 一瞬だが気持ちを緩めたワシに、ルベリアは斬り込むような問いを投げかけてきたのだ。


「ごめんなさい、話がれたわね。今日あなたをここへ呼んだのは、いくつか聞きたいことがあったからなの。ねえあなた……本当に(・ ・ ・)エルフなの( ・ ・ ・ ・ ・)?」

★評価をつけてくださるとありがたし!

ご感想も作者の励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ