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【コミカライズ】ドワーフの最強拳士、エルフの幼女に転生して見た目も最強になる!【企画進行中】  作者: 呑竜
「第七章:弱者の戦い方」

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「冒険の書百三十:戦後処理と魂魄支配」

 さて、マルダーの暴走を止めた後だ。

 数多くいた負傷者たちは、ルルカを始めとした僧侶たちの神聖術によってすべて快癒。

 マルダーが飲ませた『魔薬』により自我を失っていたAクラスの生徒たちも、同じく神聖術によって我に返った。


 だが、後者に関してはよいことばかりでもなかった。

 Aクラスの生徒たちの中には、自分たちが何をしていたのか、何を飲まされたのかを思い出して心に傷を負う者が続出したため、僧侶たちが引き続き面倒を見る他、保護者や教師たちが必死になって心のケアに努めている。


 犯人の扱いに関しても、問題が残った。


 結果からいうと、タンドールという男は魔族だった。

 死んだことによって『変身』の術が解けたのだろう、顔が明らかな異形へと変わっていった。

 毛の一切ないのっぺりとした肌、極小の瞳。口は大きく、顔の半分を占めている。

 たしか『人喰い(マンイーター)』という名前だっただろうか、人族の中に紛れ込んで生活するのが得意で、人魔決戦においても多数の兵士や軍幹部が不意打ちをくらって捕食されていたはずだ。


 そんな奴がいったいなんで王都の街中にいたのか、マルダーの知り合いで、あまつさえワシを殺しにきたのか。

 考えれば考えるほどに謎の深い、恐ろしい事件だ。


 早急に真実を探らなければならないということで、ワシ・ルルカ・チェルチの三人にリゼリーナ・ララナ・ニャーナの三人を加えた六人。

 さらに学院長や教師陣、一部の保護者や生徒まで加えた数十人で、マルダーへの尋問を行うことになった。


 場所はそのまま訓練場。

 マルダーは両手両足を縄で縛られた上で地面に転がされている。


「……さて聞こう。マルダーよ、おまえも(・ ・ ・ ・)魔族か( ・ ・ ・)?」

 

 ワシがたずねると、マルダーは慌てて否定した。


「ち、違う! わたしは人間ですっ」


 このままでは最悪処刑か、私刑された上で殺されると思ったのだろう、マルダーは必死に身の潔白をアピールしてくる。


「そ、そいつに操られていたんです! 怪しげな術をかけられ、飲みたくないものを飲まされて!」


 ん~、なんともウソくさい。

 というかそもそも、こんなゲス野郎が真実を口にするわけもないか。


「せ、生徒たちに飲ませたのだってそのせいです! だ、だいたいわたしは教師ですよ!? 可愛い生徒たちにそんなことするわけがないでしょうが!」


「わかった、わかった。もう面倒だからいいわい。――チェルチよ、やれ(・ ・)


 マルダーの口から真実を探るのは諦めたワシは、傍らで見ていたチェルチに『魂魄支配(ソウル・ドミネイト)』を使うように言った。


 しかしチェルチはぶんぶんと首を左右に振ると……。

 

「え、ヤダよヤダヤダ。そいつ、めちゃめちゃ傷ついてるじゃん。中に入ったら絶対痛いって。あたい、痛いのヤダだもん」


 チェルチの特技である『魂魄支配』は相手の心と体を乗っ取る術だ。

 痛覚だってもちろん乗っ取ってしまうため、傷ついてる奴を乗っ取ればもちろん痛い。


「あ~、そういえばそうだな」


 致命傷にこそ至らなかったものの、ワシとの戦いでマルダーはけっこう傷ついている。

 打ち身や擦り傷は無数にあるし、ワシが殴ったことで歯が折れ、頬などは内出血でひどいことになっている。 


「せめて『治癒ヒール』してからにしてくれよ」


 チェルチの要望はもっともだ。


「ん~……こいつの傷を治すのはどうも釈然しゃくぜんとせんが、場合が場合だ。しかたあるまい。――では頼むぞ、ルルカよ」


「は~いっ」


 しゅたっと元気よく手を挙げたルルカが、聖気たっぷりの特別『治癒』でマルダーの傷を癒してくれた。

 打ち身や切り傷が消え、内出血も消え、歯まで再生していく様は、さすがのひと言。


「おお~、すげえっ。あっさりだっ」


「あの僧侶の女の子、とんでもない聖気の量だなおい」


「さっきわたしの傷も治してくれたの! 傷跡も残らない完璧な『治癒』だったよ!」


 ルルカの腕前に、観客の中から感嘆の声が上がる。


「うむ、見事だったぞルルカ」


「えへへ~、それほどでも~♡ やっぱりディアナちゃんに褒められるのが一番イイな~♡ なんかお腹の辺りがキュンキュンするというか~♡」


 頬をピンクに染め、身をもじもじ揺すって喜ぶルルカはさて置きだ。


「さ、チェルチ。これでいいだろう?」


「ん~、いいけど……こいつキモいからヤダなあ~……。頭の中がどんな風になってることか……。まあ、しかたないからやるけどさ~」


 しぶしぶながらも、チェルチは承諾してくれた。


 一方、ケガを治療された意味をわかっていないマルダーは……。


「な、なぜわたしの傷を治した? そ、そうか。わたしの潔白を信じてくれたのですね? 蛮族チビエルフにしては、意外と話がわかるじゃないですか……って、なんですか? なぜあなたはわたしの頬を掴むのですか? あなたは何……を――っ?」


 チェルチがマルダーの顔を両手で挟み込み、何事かをつぶやいた――瞬間、チェルチの姿がかき消えた。

 事情を知っているワシらはともかく知らない周りの人間たちは、一様に驚きの声を上げた。


「あれ? あの女の子はどこへ?」


「いたよね? そこにいたよね?」


「空中に消えたみたいな……」


 ざわめきの中マルダーが――いや、マルダーの中に入ったチェルチが語り出す。

 マルダーの声で、チェルチの言葉を。


「うわキモ……っ。やっぱりキモい……っ」


 顔に嫌悪の色を浮かべながら。


「ともかく言うぞ。こいつのやったこと、全部」

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