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鼻先人参

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永禄九年(一五六六年)九月 美作国 津山城


 ゆっくりと備前へ向かう。その道中、義兄にあたる草刈景継に会った。話す内容は勿論、娘の牡丹についてだ。もし、俺と霞の間に男児が産まれた場合、その男児を草刈家に養子に出す。


 ただ、産まれなかった場合だ。その場合は牡丹を草刈家の誰かに娶らせるつもりだが、草刈景継には男児が居ないのである。勿論これから産まれる可能性は否定できない。


 しかし、最悪を想定しておかなければならない。いざとなってから産まれませんでしたでは遅いのだ。景継には親類縁者に当たってもらうことにしよう。ただ、あくまで男児が産まれなかった場合だ。


 そして備前に向かう。備前も瀬戸内に面する海運の要衝足り得る国だ。今でいうところの岡山や倉敷は瀬戸内に面して平野が広がっている。上手く扱えば稼げそうだ。


 まず、本多正重と黒田官兵衛、そして宇喜多直家の元へ向かう。しかし、そこには浦上誠宗の姿もあった。どうやら官兵衛の説得に膝を折ったようである。


 陪臣となるか滅ぼされるかだ。それならば陪臣になることを選んだということである。賢明な判断だと思う。でなければ、死だ。なので、俺は浦上誠宗を陪臣として扱うぞ。


 俺は敢えて誠宗を見下ろした。奴は俺を虚仮にしたのだ。まだ自分の方が上だと思っているに違いない。官兵衛には同情する。俺と誠宗の二人の間で板挟みになるのだから。


「三弥左衛門、官兵衛、ようやったな。宇喜多和泉守も励んだと聞いておる。其方達には十分な褒美を用意してある。案ずるな」

「ははっ、ありがとうございまする」


 ここで俺は三名に褒美と国替えの話をした。一番驚いていたのは宇喜多直家だろう。領地を貰えないと思っていたところ、ぽっと領地が降って沸いてきたのだから。


「ほ、本当によろしいので?」

「構わん。一族郎党を養うのに何かと大変だろう。小さい土地だが許せよ」

「ありがたき幸せにございまする」


 深く頭を下げる直家。これが演技なのか、それとも本心からなのかは俺にも分からない。大事なのは俺が油断しないことである。謀反できないよう、二千石ほどの小さな城と土地にしてある。保険は抜かりなく、掛ける。


「では、宇喜多和泉守に命じよう。この備前の地に城を建ててもらいたい」

「城、にございまするか?」

「そうだ。城だ。備前が我等の物となった証に城を建てるのだ」


 勿論、伊達や酔狂で城を建てるつもりはない。海運の拠点として、姫路までの中継地として城を築くのだ。なので勿論、瀬戸内沿いに城を築く必要がある。


 また、岡山と倉敷の巨大な平野部を治める城も必要だろう。そして、海運の拠点と平野部の拠点を繋ぐ川。どちらも立地が重要になる。ただ、宇喜多直家ならば大丈夫だろう。意図を説明すれば理解できる男だ。


「そして官兵衛。其方は俺の先触れとして毛利に向かってもらいたい」

「毛利陸奥守様の元にございますな。……病状が芳しくないと?」

「流石は官兵衛だな、耳が早い。その通りだ。最期に目通りさせてもらえれば重畳だが、果たして」


 毛利としては元就の病状をひた隠しにしてくるだろうな。大内、大友と争っている最中だ。弱っているところは見せられない。いや、だからこそ、俺は向かうのだ。


「官兵衛、美作を獲り返すぞ」

「成程。承知いたしました」


 官兵衛が頭を下げる。どうやら俺の言いたいことを理解してくれたようだ。何のために毛利元就の元へ向かうのか。それは三村家親を滅ぼすためである。


 簡単なことだ。三村と手を組むか。それとも我等と手を組むかを迫るだけである。今の毛利が俺を敵に回せるだろうか。毛利元就が危篤に陥り、西から大内、大友の連合軍に攻められ、東から尼子が旧領を虎視眈々と狙っているこの状況で俺を敵に回せるか。


 まさかこうも早く、毛利に一泡吹かせる好機が巡ってくるとは思わなんだ。逸る心を落ち着かせ、足元をしっかりと固めることを忘れない。


「三弥左衛門は備前の国衆達を懐柔して回れ。公正に判断すればそれで良い。もし、判断できぬことがあれば俺に回せ。全てを其方が気負う必要はないぞ」

「承知いたしました。国衆のみならず、備前の百姓に至るまで御屋形様の御威光の下に平伏させましょう」


 言うではないか。三弥左衛門は奉行向きだと改めて思う。武勇だけの男ではない。忌憚のない意見を俺に述べることが出来る男。公正に判断できる男だ。


「では各々方、抜かりなく頼むぞ」

「ははっ」


 三人が退出する。そして次に入ってきたのは十河存之である。俺は彼に約束した通り、朝廷に働き掛けた。その甲斐あって足利義栄が左馬頭に任じられた。朝廷としても三好の影響力を無視できなかったと見える。


「此度は誠にありがとうございまする」

「気にするな。我等も備前を盗ることが出来た。互いに得るものがあったのだ。良しとしようではないか」

「ははっ、これからも武田伊豆守様とは昵懇にお願い申し奉りまする」


 そう言って頭を下げる十河存之。しかし、俺はこれに対し非を言いつけた。俺は畿内の大名と情で付き合いはせぬ。付き合うのは利が合えばこそである。


「利が合えば助力致そう。ただ、叔父上に付いた方が利が大きいのであれば俺は叔父上に付くぞ。武田は利で動く。そう申し伝えてくれ」

「承知いたしました。しかと伝えまする」


 勿論詭弁だ。利ではなく情で動くこともある。ただ、基本の姿勢は利である。大名なんて社長と同じだ。どれだけ企業を大きくできるかである。それには利潤が必要なのだ。


 俺は今から美作国という利を獲りに行く。下準備は既に整っている。美作国を追い出された国衆達は俺が保護しているのだ。彼らと共に美作国に戻る。


 国衆達は俺に感謝するだろう。俺は俺で美作国の統治が進めやすくなる。どちらにとっても悪い話ではない。三村家親、彼は有能なのだろうが二代目が家親よりも一回りも二回りも器量に劣るのだ。


 尼子は動くだろうか。毛利元就の容態は知らせてある。少し、唆してみるか。尼子勝久にやらせるとしよう。


 俺は十河存之が立ち去り一人になっても、その場から動かず、じっと考えを纏めているのであった。

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