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空を飛んだ猫

 ある小さな町に、ミケというねこがいました。

 ミケは三色の毛並みがとても美しくて、町の人みんなにかわいがられていました。

 だけどミケには、だれにも言えない秘密の願いがありました。

「ぼく、空を飛びたいなあ」

 毎日、ミケは町の屋根の上に登って、空を見上げてはため息をついていました。


 ある日、町のお祭りがやってきました。

 屋台のあちこちからいい匂いが漂い、子どもたちは笑顔で走り回っています。

 そのお祭りの一角に、「空飛ぶ魔法の風船」が売られているのを見つけました。

 風船は大きくて、赤や青、黄色といろんな色がキラキラ光っていました。

 ミケはこっそり近づいて、一番きれいな青い風船に飛びつきました。

 すると、ふわっと体が軽くなって、ミケは空へと舞い上がりました!

「わあ! 本当に飛べた!」

 風船に乗ってミケはどんどん空高く飛んで行きました。

 空から見た町は、まるでおもちゃみたいに小さくて、ミケはドキドキしました。

 だけど、風は強く吹き、風船はどんどん遠くへ流されていきます。

「こわいよー!」

 とミケは叫びました。

 そんな時、公園で遊んでいた子どもたちが空を見上げて言いました。

「あ! あれ、ミケだよ! 空を飛んでる!」

「ほんとだ。おーい、ミケ」

 みんなで手を振りながら応援しました。

 やがて風船はゆっくりと地面に近づき、ミケはふわりと着地しました。

 子どもたちはミケを囲んで言いました。

「すごいね、ミケ! 空を飛べたんだね!」

 ミケはちょっと恥ずかしそうにしながらも、嬉しそうにニャーと鳴きました。

 その夜、ミケは満天の星空を見上げながら思いました。

「ぼく、また空を飛びたいな。今度はもっと高く、もっと遠くまで」

 そう心に決めたミケは、ゆっくりと目を閉じて眠りにつきました。


 次の日から、ミケは空を飛べるように特訓を始めました。

 木の上からジャンプしたり、風の強い日に風を感じたり。

 町の人たちはそんなミケの姿を見て、にっこり笑って応援しました。

「きっと、ミケはいつか、本当に自由に空を飛べるよ」

 ミケの冒険はまだ始まったばかり。

 これからもきっと、空の向こうにある新しい世界を目指して、走り続けるでしょう。

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