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Subjects Runes ~高速詠唱と現代知識で戦乱の貴族社会をのし上がる~  作者: くまひこ
おまけ

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番外編② マール・ポアソンとの結婚式

お待たせしました。


マールとの結婚式のエピソードができましたので、アップします。


全年齢版で許されるであろうギリギリを攻めていきますので、お楽しみください。


ただし「アウト」の判定がでれば削除しますので、その時はご容赦ください。

 今日はマールとエレナの二人と結婚式を挙げるため春のポアソンビーチに来ている。


 午前と午後のダブルヘッダーになるが、まずはマールとの結婚式だ。


 天気は快晴。そよ風が涼しい穏やかなプライベートビーチに特設会場を設け、聖地アーヴィンから取り寄せたシリウス教の祭壇の前で、大聖女クレア・ハウスホーファの立ち合いのもと厳かに式が執り行われる。


 セレーネとの結婚式では、来賓が皇帝やら王族やら伯爵家以上の当主ばかりで、国王と女王の結婚式としての格式が重んじられていたが、マールとの結婚式は一変してボロンブラーク学園時代の同級生が中心だ。


 したがって参列者も同世代の若者ばかりで、数日前から到着して毎日浜辺で遊んでいたからか、みんな肌が日焼けして真っ黒だ。本当は俺も早く来て遊びたかったのだが、超過密スケジュールで身動きが取れず、転移陣でさっきここに着いたばかり。


 もちろんまだ誰とも話が出来ていないし、俺の肌は真っ白である。




 遠くからみんなの楽しむ様子をこっそり確認すると、俺はマールが待つ花嫁の控室へと案内された。


 部屋では侍女に囲まれ、ウエディングドレスの着付けを終えたばかりのマールが、俺を出迎えてくれた。


 ちなみに、マールを始めとする全員のウエディングドレスはセレーネが一人で作ったそうで、日本風にアレンジした純白のドレスにシルクのベールという定番デザインだ。


 そんな純白のドレスに身を包み、青く長い髪をキラキラ輝かせてメインヒロイン様のようなオーラを放つマールが、穏やかな笑顔を浮かべて俺に話しかける。


「やっとこの日が来たね、アゾート」


「ああ、やっとだなマール。俺がマールとの結婚を決断したのが2年生の夏だから、あれからもう2年半も経ったんだね」


「2年半か・・・。でも私はあの時のことを昨日のことのようにハッキリと覚えているわ。ナルティン子爵にポアソン領をメチャクチャにされて、私も無理やり結婚させられそうになって、その時に私たちを助けてくれたのがアゾートだったものね。それで私のことを愛してる言ってくれて、一生大切にするから俺と結婚してくれって言ってくれて、私すごくうれしかった」


「マールのことが好きだって言ったけど、あの時そこまで言ったっけ・・・」


「絶対言ったよ、私覚えてるもん。その時はセレーネさんとかフリュオリーネさんのことを差し置いて私にそんなこと言って大丈夫かなって、本気で心配したんだから」


「セレーネに聞かれたら確実に丸焼きにされそうだな、そのセリフ」


「うんうん! でも聞かれても聞かれなくても、結局丸焼きにされてたよねアゾート」


「あの時は、マールが朝からずっと俺に抱き着いて離れなかったからセレーネがヤキモチを焼いたんだよ。あの時のエクスプロージョンはマジでヤバかった」


「丸焼きにされた後で、私のキュアでアゾートを治療してあげたんだよね。懐かしいな」


「そうだったな。あの時は文字通りマールに癒されたよ。でもその時から何も変わってないんだけど、俺の嫁の中でマールだけが唯一ちゃんとした普通の女の子なんだよ。洗濯や掃除が一人でできるし料理も得意だし、マールが一番嫁っぽいよね」


「私の料理って、焼いた肉に塩を振るだけだけど?」


「その塩加減が名人芸なんだよ」


「ふーん・・・でもそう言われて見れば、フリュさんやクロリーネ、ジューンさんの3人は王族の姫君で、マイトネラさんに至っては女王陛下。侍女がいないと身の回りのことが何一つできない人ばかりよね。それにセレーネさんとネオンは最初から生活力ゼロだし、エレナは戦闘民族、ヒルデ大尉は軍人、フィリアはその・・・コホン」


「だろ。それでもセレーネとフリュとは前世で夫婦だったからまだいいとして、他のみんなは嫁って言われてもイマイチピンとこないんだよ。その点マールだけは結婚生活のイメージがちゃんと湧くんだよな」


「結婚生活・・・」


 その言葉にマールの顔が急に真っ赤になった。


「どうしたんだマール」


「私がセレーネさんの次に結婚式を挙げることになった理由を思い出して、恥ずかしくなっちゃった」


「・・・え? 理由なんてあったっけ。ただ単に領地の場所で決まっただけじゃ」


「あれ? アゾートって、フリュオリーネさんから何の説明も受けてないの?」


「説明というか、フリュからはその日一日のスケジュールを朝に教えてもらって、彼女の言う通りに動いてるだけなんだよ。だからマールとの結婚式の日取りも昨日聞いたばかりだし、ヒルデ大尉との結婚式以外は一切何も聞いてない」


「うそっ! それってもう完全にフリュさんの尻に敷かれているんじゃ・・・」


「俺は前世でもこんな感じだったし、今世ではさらにジューンとエメラダ夫人を加えた3人の権力者による合議の元に俺のスケジュールが決まっていくんだよ。そんなことより、マールとの結婚式が先行した理由があるのなら教えてくれよ。どんな理由だ」


「えっと・・・それはその」


「何だよマール、もったいぶらずに教えてくれよ」


「・・・もうっ! 恥ずかしくてそんなこと言えるわけないでしょ、アゾートのバカ!」




 ちょうどマールとの会話が途切れたタイミングで、マールの両親が挨拶にやって来た。父親のポアソンさんが俺の手を固く握りしめながら、


「国王陛下、マールをよろしくお願いします」


「ご心配には及びませんよポアソンさん。マールのことは絶対大切にしますので、俺に任せてください」


 すると母親のアンヌ夫人も、


「マールは末娘で至らないところがあると思いますがよろしくお願いします。ところでこの子からお話を伺ったのですが、陛下との間にできる子供は豊富な魔力を授かるそうですね」


「ええ。俺たちの研究でそれは証明されましたので、ポアソン家の魔力不足は解決に向かうと思います」


「まあ! 本当によかった・・・」


 俺がそう太鼓判を押すと、ポアソン夫妻が手を取り合って喜んだ。その様子からマールのご両親は相当苦労したことがうかがえる。


 そんなアンヌ夫人が満面の笑みで俺に、


「実は陛下にも喜んでもらおうと、ポアソン家に代々伝わる秘伝魔法をマールに教えておきました」


「え? ポアソン家の秘伝魔法っ! ひょっとしてそれは古代魔法の一種ですか。・・・ゴクリッ」


 俺は魔法の研究が大好きで、特に未解明の古代魔法に関することだと徹夜の研究も厭わないほどだ。


 そしてポアソン家こそ、失われたビスマルク家の末裔の一つであり、俺の知らない大魔法が子孫に伝授されている可能性がある。


 俺は期待を込めて夫人の説明を待った。すると、


「ポアソン家は次世代に魔力を残していくため、代々の当主家夫妻は「数打てば当たる戦術」を取って来ました。つまり我が秘伝魔法とは光属性魔法をベースとした多産魔法です」


「多産・・・魔法・・・何それ?」


 そんな古代魔法があるのかと前世の記憶も含めて頭をフル回転させてみる。だが、SIRIUSシステムでも見たことがないその謎の魔法について、アンヌ夫人が満面の笑みを浮かべて説明を始める。


「はい、この魔法を使えば一晩に何度でもムグッ」


 だがマールが慌てて夫人の口をふさいだ。


「おっ、お母さんっ! こんな所でそんな話をするのはやめて! 恥ずかしいじゃない、もうっ!」


 そして羞恥心で顔を真っ赤にしながら、両親の背中を押して向こうに連れて行ってしまった。





 さてこの控室には、マールの両親や兄姉、親族以外に、ポアソン家の侍女たちが多数控えている。その中の一人が俺の所にやってきて挨拶を始めた。


「お久しぶりです、国王陛下」


「・・・え、誰だっけキミ?」


 その侍女はこの中でも一番若く、騎士学園に入学するかどうかぐらいの年頃に見えるが、顔立ちがとても整っていてスタイルもよく、あと2年もすれば相当な美人メイドに成長しそうだ。


 そんな彼女がいたずらっぽく笑った。


「私のことを忘れたのですか、アゾニトロさん」


「え? ・・・その呼び方はリンちゃんか!」


「やっと思い出していただけましたね、国王陛下」


 笑顔を見せながらメイド服のスカートの先をつまんで綺麗にお辞儀をするリンちゃん。


「ていうかあの時は小さな子供だったのに、いつの間にこんなに大きく」


「あれから2年半も経ってるし、女の子は成長が早いんですよ。もう赤ちゃんだって産めるんだから」


「赤ちゃんって、あのリンちゃんがマジかよ・・・」


「私たち平民女性は、貴族の妾になって安泰に暮らすのが人生の成功みたいなところがあるんですが、私、アゾニトロさんを狙っていたのに、国王陛下になられてしまったから、手が届かなくなっちゃいました」


「そう言えばリンちゃんは俺の妾になりたいって言ってたよな。それをネタにナタリーさんをからかっていたのが懐かしい」


「ええ、本当に懐かしいですね」


「ところでリンちゃんは宿屋の看板娘だったはずなのに、どうしてポアソン家の侍女をやってるんだ」


「実は、看板娘の仕事をお母さんに取られちゃったので私は外に働きに出ることになったんです」


「この前ロンの宿に顔を出したら受付にやり手ババアが座ってたな・・・あれのどこが看板娘だよ!」


「ですよね~。それで私は結局、ナタリーさん専属の侍女になったんです。今日もナタリーさんのお供でここに来たのですが、ポアソン夫妻から助っ人を頼まれて今日は結婚会場でお仕事です」


「リンちゃんはナタリーさんの侍女になったのか。よかったじゃないか」


「はい! ナタリーさんにはとても良くしていただいてます。・・・実はそれで国王陛下にお願いなのですが、ナタリーさんもお嫁さんにもらってあげて欲しいのです」


「ナタリーさんを・・・だがその話は」


「既に嫁の人数がいっぱいなのは承知していますが、ナタリーさんは国王陛下一筋の恋する乙女なのです。だから独身のまま20代後半を迎えてしまって、女盛りのこの時期に毎晩のように国王陛下を想いながら、独りで過ごされるナタリーさんが本当にお気の毒で」


「俺以外に誰かいい人は・・・ナタリーさんは男にトラウマがあるから、そんな人いないんだよな」


「ナタリーさんは国王陛下以外は眼中にありません。ですので、このままだとトリステン家の将来が」


「そうだよな・・・」


 そこに両親を部屋から追い出したマールが俺の所に戻ってきて、リンちゃんと同じようなことを言った。


「ナタリーさんは私の姉のような存在で、彼女を放っては置けないのは私も同じなの。今日は私の結婚式だし、しばらくはアゾートとの新婚生活を楽しみたいから今すぐじゃなくていいんだけど、一度ナタリーさんの話をゆっくり聞いてあげて欲しいの」


「マール・・・分かった、少し考えてみるよ」







 花嫁の準備も整い、俺はマールの手を取ってビーチに設置された祭壇へと入場した。そして参列者が見守る中、ネオンの立ち合いのもと俺たちは永遠の愛を誓った。


「私たちの結婚式ももうすぐね」


 俺の耳元でネオンが楽しそうに囁く。


「そうだな。詳細は聞いていないが、ジューンが企画を考えてくれているそうだよ」


「そうなんだけどジューンは真面目だから、オーソドックスでつまらない企画しか出さないのよ。ねえ安里くん、せっかくだから神使徒アゾート像のてっぺんからゴンドラで登場しちゃおうか」


「絶対に嫌だ!」





 そして披露宴が始まった。


 参列者が小グループに別れて丸テーブルで食事を楽しんでいるところへ、俺とマールが順番に回って一人一人に挨拶していく。この日本風の演出を考えたのは絶対セレーネだ。


 国王自らがグルグル回るのはどうかとも思ったが、参列者の多くは学校関係の友達だし、ゆっくり話せて都合がいい。ナイスアイデアだぞ、セレーネ。


 俺たちは早速、ボロンブラーク学園の騎士クラスBのテーブルに向かった。ここには、ダンとパーラ夫妻とカインとカレン夫妻。それにダーシュとアネットの6名が座っている。


「アゾート、マール、二人とも結婚おめでとう」


 そう言って祝福してくれたのは、友人代表としてこの後スピーチが予定されているダンだ。そしてその隣には少しお腹の大きくなったパーラが幸せそうに微笑んでいる。


「ダンとパーラ、二人が結婚したことは聞いていた。結婚式に出られなくて悪いことをしたな」


「事情は聞いていたし、お前たちの代わりにクロリーネとリーズが名代として来てくれたから気にするな。それよりお前ら、帝国のさらに向こうにある南方未開エリアって所で冒険をしてたんだろ。話を聞かせてくれよ」


「ああ! 後でゆっくり聞かせてやるが、あそこにはエルフやドワーフ、ゴブリンなどいろんな亜人種が住んでいて、メチャクチャ面白い所なんだよ」


「へえ、そいつは凄い・・・俺も行きたかったな」


「おっ! もし興味があるなら、ダンお前も一緒に行くか」


「ああ行こうぜ! ・・・と言いたいところだけど、見ての通りパーラが身重だし、俺も騎士団の副団長としての仕事があって自由にはいかないんだよ」


「そうだったな・・・俺たちももう学生じゃないし、いつまでも自由ではいられないか・・・」


「ああ・・・。でも自由はなくなったが、その代わりに新しい家族を手に入れた。これはこれで楽しいことが多いんだよ」


 そう言ってダンは、パーラのお腹をさすりながらニカッと笑った。パーラも幸せそうにほほ笑んでいて、もう昔のように瞳孔は開いていない。


「そう言えばダン、実は俺にもヤンデレ嫁ができたんだ。フィリアとマイトネラの二人で、今日はここには来てないけど今度紹介してやるよ」


「・・・そうか、お前もパーラのような愛の重い嫁を手に入れたようだな。最初は戸惑うかもしれないが、慣れてしまえば自分だけをどこまでも愛してくれるとても素晴らしい女性だし、俺はパーラを娶れて本当に良かったと思っている」


「だな。セレーネも言っていたが、ヤンデレにあらずんばヒロインにあらずだ」


 そして二人でヤンデレあるあるを語り出したその時、突然マールが激怒した。


「ヤンデレの話なんかもうやめて! 今日は私との結婚式でしょ」


「「そ、そうだった・・・」」




 ダンは真面目な表情に戻ると、今度はマールに話しかける。


「マールもとうとうアゾートの嫁になるんだな。ボロンブラーク学園に入学して最初にできた友達がアゾートとマールの二人だったから、なんか感慨深いよ」


「そうね。教室の席が偶然隣同士だっただけで、まさかこんなことになるなんてあの時は想像もしてなかったわ」


「しかもあの時のアゾートは、学園のアイドル的存在だったセレーネと既に婚約していたわけだし、まさかセレーネと双璧をなすアイドルだったマールまで手に入れてしまうなんて、AAA団の奴らがアゾートを敵視していたわけだよ」


「わあ懐かしいー、そう言えばいたよねAAA団。みんなどうしてるのかな」


「何言ってんだよ、みんな向こうのテーブルにいるから後で声をかけて近況を聞いてやってくれ。おっと、俺ばかり喋っていたらみんなに悪いから、そろそろ次のヤツに変わろうか」


 ダンがそう言って目くばせをしたので、俺は次の友人へと向かった。


「ようダーシュ、リーズの件は本当に残念だったな」


「うるせえよアゾート・・・」






 披露宴も滞りなく終了し、マールもウエディングドレスから普段着に着替えて、昔の仲間と旧交を深めに行った。だが俺は正装のままでもう一つの控室に向かうと、次の花嫁との結婚式に向けた準備を行う。


 そう、結婚式ダブルヘッダーの後半戦。エレナとの挙式がこれから始まる。

次回、エレナ・バートリーとの結婚式。


アゾートはそこで、今まで知らなかったこの世界の真の秘密を知ることになる。


お楽しみに。

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