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Subjects Runes ~高速詠唱と現代知識で戦乱の貴族社会をのし上がる~  作者: くまひこ
第2部 第1章 アージェント学園の転校生

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第181話 王国貴族法講座

タイトルは硬いですが、アホな話です

 アージェント騎士学園転校2日目にして、俺たちに対する周りの空気が変化しているのが、ハッキリとわかった。


 昼休みのランチでフォーグにそのことについて聞いてみたところ、やはりフリュとエリザベートの決闘の噂が全校生徒に広がり、俺たちを見る目が変わったそうだ。


 将来の女王とも噂されているエリザベートに一歩も引かず、決闘に負けはしたものの最後まで互角の戦いを演じたフリュの評価が一気に上昇。


 そんなフリュが結婚相手に選んだ俺や、その一族であるネオンに対しても、最初は成り上がりの田舎貴族として見下そうとしていた宮廷貴族達も、やはり簡単な相手ではないと警戒するようになった。


「フリュは最初からこれを狙っていたのか」


「ええ。アージェント騎士学園は表面的にはニコニコとした態度をとっていても、裏では全く別の顔を見せる貴族子弟の集まりです。特に騎士爵から伯爵にまで出世されたあなたのような実力者には、嫉妬心から過剰に反応する者が出てくることは容易に想像できます」


「だから先手を打って、余計なトラブルをさけるために、わざとエリザベートのケンカを買って見せていたのか」


「はい。シュトレイマン派2年筆頭でもこうなることを見せつけてやれば、ちょっかいをかけようとする者は一人もいなくなるでしょう」


「すごい演技力だったな。俺も完全に騙された。敵を騙すにはまず味方からという訳か」


「でも半分ぐらいは、エリザベートにイラっと来てやり返しただけなのですけれど」


「ズコーッ! ・・・で、でも本当に助かったよ。何かお礼をしないといけないな」


「お礼ならもう頂きました」


「え?」


「昨日の医務室であなたから『フリュを一番必要としているのは間違いなくこの俺だから』とおっしゃって頂きました。あのお言葉だけで十分です」


「当たり前のことを言っただけなのに、あんなのでいいのか?」


「はい!」


 そんな俺達にあきれ果てたユーリが会話を遮った。


「そこの2人、昼間っからイチャつかないで! そろそろ午後の授業が始まるわよ!」


「お、おう、わかった」





『王国法講座』


 王国裁判所から派遣された講師による法律講義シリーズで、今日は貴族法をテーマにするようだ。


 貴族法は領地貴族と宮廷貴族の定義から始まって、公爵から騎士爵までの爵位が授与される条件とか、宮廷貴族の官職と爵位の関係などが規定されている。


 だがその骨格は前世の俺がラルフやセシル、そして観月さんたちと考えたものだ。


 その後470年の時を経て、その時代時代に合わせて改正を重ねてきたのが、今の王国貴族法だ。


「ボロンブラーク校では貴族法の授業がなかったので、こうやって勉強するのは初めてだけど、かなり多くの条文が追加されたんだな」


「途中で248年政変やクリプトン朝時代を経てますので、王国の組織もいろいろな変遷があったと思います。でも骨格は何も変わってないですよね」


「そうだな。基本的考え方が当時と同じだから、理解するのは簡単そうだ」


 この科目は余裕だなと思って周りを見ると、ユーリが教科書とにらめっこしながら、うんうん唸っていた。




「法律なんか大嫌い・・・こんなの覚えてどうするのよ」


「ユーリ、ここは王国官僚になるための学校だから、法律関係の授業は山のようにあるぞ」


「いやーっ! こんなのばっかりやらされてたら、頭がおかしくなりそう。マールは平気なの?」


「うーん。私はわからないことは全部アゾートに教えてもらうから特に心配してないよ。ユーリも教えてもらえばいいと思う」


「それ以前に法律の勉強がしたくないの。ネオンは大丈夫なの?」


「私も法律なんか大嫌いだけど、覚えるだけなら全然苦じゃないよ。勉強はもともと得意だから」


「そう言えば、アゾートとネオンって学校をサボってばかりなのに、成績だけは学年トップを争ってたわね。あなたたちどういう頭の構造してるのよ」


「それは私とアゾートだけの秘密よ」


 まあ俺もネオンも日本の受験勉強で鍛えられたから、アージェント王国の勉強などかわいいものなのだ。




「でもネオン、今回はお前に負けそうだよ」


「どうしたのアゾート? 戦う前から弱気じゃない」


「いや、この学園にはシリウス教概論という科目があるじゃないか。あれだけは興味が無さすぎて、全く頭に入って来ないんだよ。覚える気すら起きない」


「興味が無さすぎるって・・・よく私の目の前でそんなことが言えるよね安里くん。かなり長い付き合いだと思うんだけど、私のことをなんだと思ってたの?」


「主治医」


「ガクッ・・・まあ、宗教に興味が湧かない気持ちも分からなくもないから、私がシリウス教についてじっくりゆっくり丁寧に教えてあげるよ」


「・・・うへー」


 俺が嫌そうにため息をついている隣でフリュが目を輝かせていた。


「クレア様にシリウス教の教えを頂けるなんて、なんて畏れ多い!」


「そ、そう?」


 フリュに迫られて逆にネオンが引いてしまった。それを見てユーリが、


「クレア様って・・・そう言えば昨日の授業でもネオンがやたら大聖女クレア様に詳しかったよね。講師の枢機卿とずっとやり合っていたし」


「まあ、それは本当ですかユーリさん。枢機卿とやりあうなんてさすがはクレア様。わたくしも見たかった」


「ぷっ! じゃあ私もネオンのことはこれからクレア様って呼ぼうかな」


「・・・ユーリの場合、なんかバカにしている気がするけど、別にクレア様と呼んでくれても構わないよ」




 教壇では講師が爵位の説明をしている。


「公爵は特別な爵位で、現在はアウレウス家とシュトレイマン家のみに与えられている。アージェント家は王家であるが、王族の分家として独立した家は公爵を与えられず、全て侯爵となる。ジルバリンク家やシャルタガール家などは王族の分家だ。そして貴族法では、この侯爵以上を広義の王族と定義している」



 するとマールが、


「クロリーネって、王族の分家だったんだね。だからシュトレイマン派のみんなから姫さまって呼ばれてたのか」


「マールあなた知らなかったの? 侯爵家がやたら多いのは、王族の分家がどんどん増えているからよ」


「私はユーリと違って騎士志望だから、知らなくて当たり前なの」


「いや、騎士でもそれぐらいは知っていようよ。じゃあマールに問題ね。フリュオリーネ様のお父様は公爵家なのになぜ伯爵を名乗っているんでしょうか?」


「え、そんなのに理由があるの?」


「あるに決まってるじゃない! マール、あなたアホでしょ」


「アホって! せめてバカって言ってよ」


「アホはダメでも、バカならいいんだ・・・」


「もう、なんでもいいから答えを早く言ってよ」


「仕方ないわね。正解は、宮廷貴族としての爵位が伯爵だからでした。宮廷貴族の最高位は伯爵で、大臣クラスには伯爵位が授与されるの。アウレウス伯爵は治安局長と監察局長と2つの大臣クラスのポストについているから、宮廷貴族アウレウス伯爵なの」


「そうだったんだ。ユーリって見かけに似合わす、頭がいいんだね」


「見かけに似合わずって、私はクールビューティーで売ってるのよ。見かけ通り頭がいいの」


「クールビューティーは、お姉さんのサーシャだよ。ユーリは見るからにアホそうじゃない」


「あんたに言われたくないわよ、学園アイドルのアホ担当のくせに」


「アホって言うな!」


「「ふんっ!」」





 ユーリとマールがケンカしてしまったが、いつものことだし放っておけば勝手に仲直りしてるだろう。それよりも今週末は結構忙しくなるな。


「今週末はディオーネ領に帰ろうと思う」


「プロメテウス城ではなく?」


「ああ、ダリウスが凱旋式を準備しているようで、保護していた奴隷1000人とともにディオーネ領に凱旋して欲しいってさ。そう言えば、領地の名前が変わることもまだ領民には伝えてなかったよ」


「そう言えばそうでしたね。王都で10日間も意識がなくなっていましたので、王都にいたまま夏休みが終わって、そのままアージェント騎士学園に転校してしまいましたから」


「これから毎週末は新しく手に入れた領地をあっちこっち回らないといけないから、忙しくなるぞ」


「かしこまりました。それではメイドたちに言って、帰省の支度をさせておきますね」

次回、リーズのお友達3人組が動き出します


ご期待ください

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― 新着の感想 ―
[良い点] ネオンの年齢はもはや聞いてはいけない・・・・。設定が特殊なので、今までよくわかっていなかったことがわかりました。 [気になる点] 1.「今週末はディオーネ領に帰ろうと思う」 から先も授業中…
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