表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ】存在感のない私が王太子妃になったワケ  作者: 茅野ガク


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/16

【16】



「クロヴィス様?!」



 会いたいと願っていた人の声が扉の向こうから聞こえる。


「クロヴィス様! クロヴィス様! 助けてください、扉が、開かないのです……!」


「開かないっ? くっ、確かに動かなくなってるみたいだ。……お前たち!」


 クロヴィスが扉を確認する気配と、誰かに命じる声。きっと、護衛の兵が側にいるのだろう。クロヴィスに命じられた彼らが扉に体当たりを始める。


 ドン! ドン! と重いものが何度か扉に当たる音が響いた後――――



「ブランシュっ!」



 会いたくてたまらなかったその人の姿が、そこにあった。



「クロヴィス様……!」



 躊躇わず、広げられたクロヴィスの腕の中に飛び込む。ブランシュから彼の背中に腕を回せば、彼もきつく抱き締め返してくれる。

 その温もりに、涙が流れた。


「ブランシュ……! ブランシュ……! エバンズ家に着いたら君がいなくて心臓が止まるかと……! それが君の求婚への答えなのだと思ったが、どうしても直接君から聞きたくて探しに来てしまったんだ。まさか、閉じ込められていたなんて……!」


「違うのです。違うのですクロヴィス様。心を落ち着けるためにここへ来たら、古くなった扉が開かなくなってしまったのです。私は、クロヴィス様から逃げたりしませんわ……!」


「良かった。君から想い出の場所を聞いていて。良かった。諦めずに君を探しに来て……!」



 ――――君がどこにいても。俺が君を見つけて、名前を呼んでみせるよブランシュ



 その言葉通りにクロヴィスは自分を見つけてくれた。名前を、呼んでくれた。


 もう、迷わない。自分は、彼を愛している。


 王太子である彼の隣にいるためには様々な困難が待っているかもしれないが、乗り越えてみせる。


「クロヴィス様、私も、貴方を愛しています。どうか、私と結婚してください」


「っ! もちろんだ。もちろんだブランシュ。愛してる……!」


 宝石にも例えられる美しい青い瞳を見開き、ブランシュの言葉の意味を理解したクロヴィスがキスの雨を降らせる。

 いつまでも終わらない二人の口づけを、天使の像が祝福していた。






 ――数年後。王になったクロヴィス=アゼルサスは、アゼルサス聖王国史の中でも輝く時代を治めた名君となる。

 その王の側には常に王妃の姿があり、二人は終生仲むつまじい夫婦であったという。


 存在感がなく、人々に忘れられがちだったブランシュ=エバンズ伯爵令嬢。

 その少女がこの国の歴史に名を残すブランシュ=アゼルサスになるのは、それはまた、別の話。








fin







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ