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第38話:隣国の黒マメシバ

「けほけほ」


 授業が終わった休憩時間にまた友人たちで集まっていると、コテンパンがせき込んでいた。


「あら? どうしたの?」

「いえ。なぜだかちょっと喉が痛くて……。風邪というわけではないと思うのですけど」


 う。きっと私の台詞は、結局全部コテンパンが担当になっちゃった所為ね。悪いことしたな。


 なにせ今回は前回の2倍だしな。一応まったく同じじゃなくて、隣国の第三王子のクバードだっけ? と2回目にぶつかった時には、先にコテンパンが私にぶつかった時に会っているのと矛盾がないようにはなってたけどね。


 そのクバードが

「はは。お前、実は命を狙われてるんじゃないか?」

 って言ってたけど、半分当たっている気がするわ。


 とりあえず後4人。王子が1人に宰相の息子に文化使節の人と軍人ね。


 まあ次はきっともう1人の王子の方ね。前作も先に王子を済ませてたし。


「さあ皆さん。そろそろ教室に戻りませんか?」


 まだ次の授業が始まるには時間があるのに、突然クララがそう言いながら立ち上がた。


「そうですわね」

 と他の友人たちも立ち上がる。


 はぁ~~。もう次のイベントか……。まあ仕方がないわね。と、友人たちと教室に向かう。


 そうして廊下を歩いているとクララが

「少し失礼します」

 と列から離れるが廊下の先までは行かず廊下の端で止まった。じゃあコテンパンのイベントね。


 そう思っていると、そのコテンパンが

「私も……」

 そう言いながら列から離れた。やっぱりそうね。


 ところがそのコテンパンも廊下の先に向かわず廊下の端で止まる。


 あれ? もしかして今度のイベントはぶつかるんじゃないの?

 う~~ん。さすがにシナリオライターもぶつかるばかりじゃおかしいと思ったのか。今更だけどね。


 でも、ヴェラとカロリーネは私の左右を固めているしクララとコテンパンの様子からイベントが始まるのは間違いないので、どんなイベントになるんだろう?


 そう思って廊下の角に差し掛かった。


(いつもだったらあそこからクララかコテンパンが飛び出してくるところだけど……)


 そう思っていると廊下の角から男子生徒が飛び出してきた。


 私も去年1年間、ぶつかり続けられた女。慌てることなく冷静に避けようとしたところ

「「お姉さま! 危ない!」」

 と、私を左右からがっしり塚もヴェラとカロリーネ。


 え? これがイベント?


 と思っていると、ぽふっと私にぶつかる男子生徒。


「あ、す、すみません!」


 そう言って顔を上げた男子生徒は、まるで子犬のように愛くるしい小柄で浅黒い肌の丸い童顔の少年。


「まあかわい……うぐっ!」

 と、反射的に言葉がでた私の口を塞ぐヴェラ。


「このアーデルハイド・アーレンベルクにぶつかるなんて、どこのどなたですの!? と、お姉さまがおっしゃっているわ!」

 と、カロリーネ。


 よし! コテンパンじゃなくてちゃんとカロリーネが喋ってるね!


「ご、ごめんなさい……」

 と、少年。


「大丈夫よ。気に……うぐっ!」

 と、私の口を塞ぐヴェラ。やっぱり喋れないか。


「謝ってもすみませんわよ! 見ない顔だけど新入生かしら? と、お姉さまがおっしゃっているわ!」

 と、ヴェラが私の口を塞ぎながら役目を果たす。頑張れヴェラ。


「サ、サザーン王国から友好使節の留学生としてきたユスフ・ラドワーンです……。すみません……」


 やっぱり攻略対象なのね。確か隣国の第四王子だったかな? 今までワイルド系や知的系でもイケメン系ばかりだったけど、ここにきて可愛い系男子を出してきたか。


 おお可愛い可愛い。と頭を撫でる。


「留学生ですって!? ラグワーンということは貴方もサザーン王国の王子なのかしら? と、お姉さまがおっしゃっています!」

 と、カロリーネ。その間も頭を撫でる。


 なんだか子犬みたいね。肌が黒いから黒のマメシバかしら。


「は、はい。サザーン王国の第四王子です……」

「随分と情けない男ね。貴方のお兄さまとは大違いね。と、お姉さまがおっしゃっているわ」

 とヴェラ。そうだ。マメシバって口のところがびよ~~んって伸びるのよね。


 やってみよう。私は目の前の黒マメシバのほっぺた左右からぐに~~と引っ張った。


「おにひひゃまほ、ほくほはひはいわふふぁら……」(お兄様と、僕は違いますから……)


 ははは。何言ってるか分からないや。


 でも、これくらいだったらゲームの強制力が働かないのね。一応喋れてるからかな?


「そんなに虐めるなんて酷いではありませんか!」


 誰? と思って視線を向けるとコテンパン。と視線を向けている間も黒マメシバのほっぺたをムニムニする。


「あら。私は虐めてなんていませんわよ。人聞きの悪いことをおっしゃらないでくださる? と、お姉さまがおっしゃっています!」

 とカロリーネ。ムニムニとほっぺをムニムニする。


「ですけど、先ほどからその方を罵倒しているではないですか!」

「罵倒? ぶつかられたのですから、文句の一つもいう権利があると思いますわよ? と、お姉さまがおっしゃっています」


「ほうへふ、ほふはふぁふいんへふ……」(そうです、僕が悪いんです……)

 ムニムニ。


「見なさい。本人もそう言ってるではありませんか。言いがかりは止めて頂けませんこと? と、お姉さまがおっしゃっています」

「で、ですけど……」


 さすがにいつまでもムニムニしている分けにもいかないか。


「ありがとうございます。僕、大丈夫ですから……」

 なでなで。と、ムニムニの次はまた撫で始める。


「ふん! まあ、次は気を付けることね。と、お姉さまがおっしゃっています」


 ヴェラがそう言うとカロリーネと2人で私の両脇を抱えると引きずっていく。


 あ~~。私のマメシバが……。

 私は引きずられ、遠ざかっていくコテンパンとマメシバ。だけどまだイベントは続いているらしく会話が続いている。


「かばって下さってありがとうございます……」

「気にしなくて良いわ。でも、貴方ももう少ししっかりした方が良いわね」


 しかしそうか。ヒロインがぶつかって攻略対象が助けるんじゃなくて、ぶつかった攻略対象をヒロインが助けるっていうパターンにしたのか。しかし、意地でもぶつかるのは止めないつもりね。


 そうこうしている間に、2人の会話が聞こえないくらい離された。

 そしてヴェラとカロリーネも私の腕を放して歩いていると、後ろからコテンパンが追いついてきた。クララもいつの間にか傍にいる。


 でも、今回のスケジュールはタイトだ。すぐに次のイベントが始まるよね。


 そう思いながら歩いていると、やはりみんながスタンバイを始めた。


 よ~~し! 準備万端だ! さあこい!

 と思いながら廊下の角に差し掛かる。すると飛び出してくる黒マメシバ。


 きゃ~~~!!


 私に向かって飛び込んでくるマメシバを抱きしめた。


「もうひわけありまふぇん」(申し訳ありません)


 私の胸で何とか台詞を言おうとするマメシバ。


「こんなにぶつかってくる人間が、隣国にもいるとは思いませんでしたわ! と、お姉さまがおっしゃっています!」

 と、言いながらヴェラが私とマメシバを引きはがそうとする。


「どこかで量産でもしているの!? と、お姉さまがおっしゃっています!」

 と、言いながらカロリーネもヴェラに手伝って私を引きはがそうとする。


「りょりょうふぁんふぁんふぇ、ぷはぁ意味が分かりません……」(りょ量産だなんて、意味が分かりません……)

 ついに私は黒マメシバと引き離された。ちっ!


「だったら、なぜこんなにもぶつかってくるの!? 偶然とは言わせませんわよ! と、お姉さまがおっしゃっています!」

「そ、そんなふぉふぉふぃふぁふぇふぇふぉ……」(そ、そんなこと言われても……)

 抱きしめるのがダメならムニムニしたろ。


「本当にそうなら、偶然でこんなにぶつかる理由を説明なさい! と、お姉さまがおっしゃっているわ!」

「ふうふぇんふぃへふへいはんへ……」(本当に偶然なんです……)


 ムニムニムニ。


「や、やめて下さい! 可哀そうではありませんか!」

 あ、クララだ。それはそうとムニムニ。


「あら? そんなことは、自分がぶつからないようにしてから言うことね! 貴女は通算、何度私にぶつかっていると持っているの!? と、お姉さまがおっしゃっているわ!」

「ぐぬぬ。そ、それはそうと止めて下さい!」


(ぐぬぬって、どんなヒロインだよ)


 クララはそういうと黒マメシバ、もとい隣国の第四王子のユスフを助け起こそうと近づく。


 ユスフをムニムニしていた私は、イベントの邪魔になるからかヴェラとカロリーネに引きはがされる。


 するとユスフの傍に来たクララのつま先がガシッとユスフの足に当たった。


 ユスフは、痛っという顔をしたけどイベントの手前、口に出すのは耐えたようだ。意外と根性あるな。


 しかしクララも、もう少し気を付けてやれば良いのに。


「さあ貴方も怪我はしていない?」

 とクララがユスフにやさしく声をかける。ゲシッ!


 え? 今クララ、膝でユスフの太もも蹴ったよね?


「大丈夫です……」

 と、ユスフが、今まさに怪我をしたように顔を歪ませて言った。


「さあ、こちらに行きましょう」

 と、ユスフの背を押しながらクララが立ち去っていくけど、私にはクララが一歩一歩歩くたびにクララの膝がユスフの太ももをゲシゲシ蹴っているように見える。


「待ちなさい! と、お姉さまがおっしゃっているわ!」

 と、カロリーネが言うけどクララはかまわずゲシゲシとユスフを蹴りながら立ち去っていく。


 しかしコテンパンもだけど、クララも結構はっきりと私に反論してくるな。これはあれか? 自分のことじゃなくて他人のことならば頑張れる健気なヒロインとかの演出か?


 そうしてイベントが終わりしばらくすると、友人たちが再集結してきた。


 そういえばイベント中のことって、この子たちにとっては自分の意志でシナリオ通りにしていることになってるのよね? 彼女たちはどういう風に感じてるんだろう?


「ねえ、さっきの黒マメ……ユスフ殿下のことはどう思う?」


「いくらサザーン王国の殿下といえど、お姉さまにぶつかるなんて……」

「ええ。そうですわ。許せませんわ」

 とカロリーネとヴェラ。


「ですけど、わざとぶつかった分けではなさそうですし……。いくらお姉さまでも……あまり強く言わないでさし上げても……」

 とコテンパン。


「みんなの手前お姉さまを止めましたけど、あの後ちゃんと校舎の裏に連れて行って言い聞かせて置きました!」

 とクララ。


「あ、うん。ありがとう」

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