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「はい、良いわよ~! もっとニッコリ笑って~!」
カシャカシャカシャ!
「ちょっと右上の方を見てみて~」
カシャカシャカシャ!
「次は向こうを向いてから振り返る感じで。」
カシャカシャカシャ!
「そこに座って、肘に顎を乗せて~」
カシャカシャカシャ!
「次は~」
それから色んなポーズさせられたり、何度か着替えさせられたりして、かなりの数の写真を撮られるのだった。
ふと思ったんだが、今撮ってるのって、プロフィールを作るための写真で良いんだよな?
何となくモデルさんの撮影っぽい気がするんだが……
「はい、終了~! お疲れ様でした~」
「「「「「お疲れ様でした~」」」」」
やっと終わったらしい。スゲー疲れた……
スタッフ達も撮影が終わると、キビキビと後片付けを始めていた。
俺がそれをボーっと見ていたらキャサリンがやってきた。
「千秋ちゃん、お疲れ~ 凄く良かったわよ~!」
「あ、お疲れ様です。」
「来月号の『mon-mo』を楽しみにしててね~」
「はい? 今なんて?」
「だから楽しみにしててね~って言ったのよ。」
「すいません。ちょっと疑問に思ったので確認したいのですが、今の撮影って、プロフィール用の写真だったんですよね?」
「あら? 聞いて無いの? 最初の5枚程撮った以外は、全部雑誌モデルの仕事よ?」
「そんな話、聞いてませんが。」
「ごめ~ん。言い忘れてた~♪」
そこに梓ねーちゃんがやってきて、てへぺろしていた。マジかよ……と言うか、絶対面白がって、ワザと黙っていたと見た。
「梓ねーちゃん?」
「な、何よ。」
「あんたは、そう言うキャラじゃないでしょう? 帰ったらお話ししましょうね?(にっこり)」
「ち、千秋? 話せばわかるよね? ね?」
「あ、キャサリンさんお疲れ様でした。すいません先に上がらせて貰いますね。」
「え、ええ。どうぞ……」
「い、痛い。ちょ、千秋待って! お願い! 嫌ああぁぁぁ~!」
俺は梓ねーちゃんを引っ張ってこの場を後にするのだった。
後日、その様子を見ていたスタッフ達の間で、俺を怒らせたら怖いと言う噂が流れたとか流れなかったとか。




