王子に婚約破棄され隣国で聖女になる関西風パングラム令嬢
軽めのパングラム入り小説。テンプレ的な内容です。パングラムは標準語です。
軽い気持ちで、どうぞ。
「パングリス=ギーヤネン! お前との婚約を破棄する!」
あーあ……、
言うてまいよった……。このアホ。それでも王子かっ。
分かっとらへんのとちゃうか。うちと婚約破棄してもうたら、うちのパパ、ギーヤネン公爵が黙っとらんで。
知らんで、どーなっても。
前々からヘッボいやっちゃ思うてたけど、ここまでとは。はぁ……、
もうええわ。付きおうてられんわ……
・・・・・
『 婚約破棄のパングラム・ヘボ王子編 』
「婚約を破棄する!」
わめいたヘボ王子。
理に無知な彼ゆえ、そら解せぬね。
見ろ。
「戻って!」呼ぶ、〝ざまぁ〟の日。
(こんやくを はきする わめいた へほおうし
りに むちな かれゆえ そら けせぬね
みろ もとつて よふ さまあ のひ )
てな感じかな。さ、
あほらしいし、さっさと出てこ。
「おい! 聞いてるのか! お前との婚約を破棄するって言ってるんだぞ!」
「あっそ。どうぞ、好きにしーや」
「なんだその態度は!」
ピーピーうるっさいやっちゃなー。なんやねん。勝手にせえやっ。
別にええし。
うち、別に、一人でなんとかするっちゅうねん。むしろ自由になって好きにできるって話やで。
・・・・・
『 婚約破棄のパングラム・私の道編 』
「お前との婚約を破棄する!」
なに?
私へむさいセリフ。でもめげぬ。
「あっそ」
ほらね、余裕。道広がれ……
(おまえとの こんやくを はきする
なに わたしへ むさい せりふ
ても めけぬ あつそ
ほらね よゆう みち ひろかれ )
さ、さっさと出て行って次の事考えよ。
スタスタスタ…… スタスタスタ……
スタス、
――きゃっ!!
「あっ! も、申し訳ございません。パングリス様、驚かせてしまいまして」
何や? この男、いきなり出て来おってからに。まあ、顔は……まあまあ、シュッとしたはるけど……。
「パングリス様、いえ、聖女様! どうか、お願いがございます! 我がオトナーリ国の大聖女長になっていただけませんか!」
なんやこいつ。スカウトかいな……。
んまあ、でも、私の聖女力だけは、よう分かっとるみたいやしなぁ。まあ……、悪い気は、せんわな……。話だけ聞いたろか。
顔も、まあ、シュッとしとるし……。
「我がオトナーリ国は今、怪獣とかオバケとかバケモンの襲撃を受けております! どうかパングリス様の聖女力をお貸しください! 条件は、ですね……。日給2000万YENで、御住まいは大浴場つきの大聖堂をご提供します。家具備え付け、Wifiも完備。50人の僧侶達は自由に使ってください。ストックオプションも付けましょう。こ、この条件で、い、いかがでしょう……?」
やばっ。どんだけ追い込まれんとんねん、この国。ぼろ儲けやん、笑い止まらんで。
私の聖女力からゆうたら確かにそんくらい価値有るっちゃあ有るんやけど。私の巨大バリアって控え目に言うて……最強やし。
「パングリス様……足りませんか? では、日給4000万にします!」
「しゃ、しゃあなしやけど……。オトナーリ国の民のために、うちがお役に立てるんやったら……」
「あ、ありがとうございます!」
「ただし! 1年分の報酬を先に3日以内に振り込んでちょうだいな? それと、屋敷に戻ってちょっと準備を――ちょっ! な! なにしてんの!?」
「申し訳ございません。急を要するものですから。ご辛抱ください」
こ、この男。こんな、こ、こんな破廉恥な、いきなりすぎやて……。い、いきなり、抱きかかえよってからに……。
このまま、うちを抱きかかえたまま、オトナーリ国まで走る気かいな。さすがに、さすがに、恥ずいっちゅうの……。
うぅ、恥ずいしぃ……
近いしぃ……、息当たるしぃ……
・・・・・
『 聖女のパングラム 』
聖女様 夢に燃えるわ。
みんなを助けろ。
恐れぬ無敵の保護バリア!
ヘッチャラね♪
が、ひどくウブ。。
(せいしよさま ゆめに もえるわ
みんなを たすけろ
おそれぬ むてきの ほこ はりあ
へつちやらね か ひとく うふ )
うぅ……恥ずいねんけど……。
こっちあんま見んとってほしぃなぁ……。
恥ずいなぁ……
恥ずいねんけどなぁ……
寝たふりしたろ。
(了)




