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迷宮伯嫡子はカネがない  作者: 神奈いです
第二章 カネがないのでお値打ち外交

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図書館

公爵家臣からお詫びとともに図書館の入館証を渡されたのは翌日のことであった。

さっそく、迷宮伯嫡子のオウドと、隣の領主であるグスタフは喜び勇んで図書館へ向かう。


その古びた図書館は公爵宮殿を出て、貴族街の奥まったところに佇んでいた。


「入館証を拝見します。確認いたしました」


司書に案内されて、オウドとグスタフ、そして護衛の騎士たちが中に通される。


「おお……」

一行は言葉をのんだ。


図書館の中は時間が止まったかのような静寂さと、時代とともに古びた紙とインクが粉になったような埃の香りで満ちていた。

人間や異種族たち『話す子ら』の叡智が何百年もの時とともにここに詰め込まれている。

何段にもなった本棚がフロアの奥の方まで続いていた。

本は1冊でも庶民には手の届かない高価な品なのに、それがいったい何千冊あるのだろうか。


石造りの柱は天井まで高々と伸び、図書館を覆うアーチを形作っていて、ここに包まれた歴史と知識の重みを感じさせている。図書館内部は薄暗くあったが、魔道灯が書籍の棚と読書台を明るく照らしだす。それはまるで闇に沈んだ世界を救う光こそが本にこめられた知識だと歌いあげているようであった。


「ではオウド君。俺は錬金術の本を探してくる。司書さん、薬用ポーションの抽出と純化についてなんだが……」

「はい、ご案内します閣下」


グスタフはオウドに挨拶をすると、静かに答えた魔導士ローブを羽織った司書と一緒に書架の奥の方へ向っていった。


「じゃあボクは魔物学の教科書探しに行くかな」

というとオウドは護衛の騎士たちに振り向いた。


「ボクの勉強中はヒマでしょ?騎士諸君は騎士伝説の絵本とか、武術解説書とか読んできたら?」

「やったぁ、じゃあ行ってきます」

「い、いえ、護衛なので、っておい!?」

護衛の騎士の一人が喜んで絵本のコーナーに進んでいく。

護衛を何だと思っているのだろうか、ともう一人の騎士が呆れていると、オウドが助け舟をだした。


「大丈夫だよ、会員制の図書館で危険も護衛もないでしょ」

「ううむ、わかりました」

護衛が自分たちの興味のある本を見に行ったので、オウドは久しぶりに身軽にうごけるようになった。


「お、盗猿博士によるモンスター見聞録の6巻だ。まだ読んでなかったから助かる」

オウドはホクホクしながら本を読書台のほうに持ち込んだ。


帝都の魔法学園では学ぶことが多かった。魔物学だけではなく、騎士としての武術、騎士としての礼法、帝国法や歴史、魔法学など。

紋章学の本を書き写していたのもそれだ。

その他領地の発展に役立ちそうだなと思ったらいろいろ読み込んでたから、魔物学の本をすべて読み切るまではいかなかった。

それこそあと1~2年はあるからじっくり読んでメモにまとめようと思っていていたところで急に帰国となったので読みかけの本が多い。


読書台で魔物学の本を広げてメモを取っていると、となりを護衛の騎士たちが本をもって固めた。


「ふふふ」

「ううむ」

一人はニコニコしながら絵入りの騎士伝説の本を眺めており、もう一人は難しい顔をして兵法書に書かれた過去の戦争の戦況図と経緯のところを熱心に読んでいる。


やっぱり領地にも図書館が欲しいな、でも本を買いそろえるおカネはない。


と、オウドが考えながら本をめくっていると後ろから声がした。


「や、やぁ……後輩」

その声に振り向く。護衛の騎士二人も同時に警戒の目を向ける。

そこには魔導士のローブを羽織った先輩が、いつもの色眼鏡越しに困惑の色を浮かべ所在なさげに立ちすくんでいた。

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― 新着の感想 ―
騎士二人もキャラ立ってるなぁ ちゃんと隣を守ってえらい
名前も出てないサブキャラがちょいちょい存在感を発揮してくるの好き いつもの格好でいつもじゃない様子の先輩も好き
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