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迷宮伯嫡子はカネがない  作者: 神奈いです
第二章 カネがないのでお値打ち外交

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18/61

魔法学園の記憶

迷宮伯嫡子のオウドです。


ボクは帝都の魔法学園では、魔物学ゼミと演劇部に入っていた。

迷宮伯領次期領主として魔物の知識は必要。

演劇というかお話や歌曲にはもともと興味があったし、

引っ込み事案で人見知りな性格を直したかったのもある。


魔法貴族の子女ばかりを集めた学園では、

ほとんどの生徒が専門魔法のゼミや、政治学、軍事学などのゼミに入る。

対魔物戦闘や対魔物結界については基礎授業があるので、

さらに詳しく魔物を学ぼうとする学生は少なかった。


その少ない生徒の中で、ゼミの先輩として仲良かったのがアミリ先輩だ。

女性があまり選ばないズボンスタイルの制服の上から、だぼっとした魔導士ローブをはおりフードを目深におろしている。

そしていつも教室の隅っこで色眼鏡の奥の眼を光らせながら魔物学の本を真剣に読んでいた。


ちなみに制服には動きやすいズボンスタイルと可愛いスカートスタイルがある。

これは各自のスタイルにあわせて男女問わず選べることになっているので、男女と学年の区別は襟章でつけることになっている。


ボクがまだ留学中、教室の中でよく二人きりになった。

人気のないゼミで真剣に自習するようなのはボクとアミリ先輩ぐらいしかいなかったのだ。


「ククク、オウド君。見てこの魔物学の本の挿絵のワイバーンの羽……カッコイイだろ」

「良いね、薄くて強靭だから魔導士用の武具に良さそうだよ」

「む……これはそのまま剥製のほうが価値が。オウド君はすぐ解体する」


なんかちょっと観点が違う気がしたが、そのうち論文を手伝ったり課題を一緒に解くようになった。

フードの裾からきらりと輝く銀髪と、そこに隠された整った顔立ちにどきっとしたこともある。


「なんで先輩はいつもフードと色眼鏡なんです?眼は悪くないですよね?」

「……この色情口説き学園で、顔だして歩いてたらすぐ男に襲われる」

「えー」


いや襲われるのは言い過ぎだけど、交際の申し込みぐらいはあるだろう。

それに貴族の結婚・出会いの場所で第一位は魔法学園だ。

何しろ年頃の男女が集められるわけで時間があればそういう話になってしまう。

第二位が政略結婚。学園外での自由恋愛はほとんど聞かれない。


当然ボクも実家からはそういう期待を持たれているので嫁探しも仕事の一つではあった。

ただ、どうしても演劇モードでないと女性と話すときに緊張してしまう。

その点、先輩は口調も乱暴だし、なんか中性っぽいところがあって気楽だった。


「西大公家の縁者ってだけで、ワンチャン出世の糸口とか思われて迫られるのが面倒くさすぎる……恋人とか要らないし……」

何かあったのかギリギリ歯噛みしながら唸る先輩。


「あ、西大公の縁戚だったんですか。ボクも西ですよ」

ボクの言葉に先輩は色眼鏡の奥からじとっとこちらを見やる。


「……オウド君、実は狙ってる?」

「はっはっは、同じ学問を志し、知識深く探求心篤き尊敬する先輩に対し、そのようなことがあるだろうか!

うちは独立派だし、西大公と付き合いはないしね!」

「だよね、魔物オタクだし」


演劇モードでかわすボク。

先輩はちょっと安心したのか、魔物学の本に目を戻す。

うん、ちょっとは雰囲気良いなとか思ったこともあるけど、あくまで先輩と後輩!よし!


 - - - - -


そうだ!アミリ先輩なら西大公に現状を説明できるんじゃないか?

帝都留学中だけどさすがにこれだけのイベントなら参加してる可能性が……。


何度目かの宮殿執事さんが首を振る。

「アミリ様という方はご親族におられませんな。愛称ではなく正式名は?」

「……アミリ・フォン・ヴィンって」

「フォン・ヴィンというご一族は居られません」

「えー」


宮殿執事に否定された。偽名だった?それとも怪しいと思われた?

とりあえず容姿を簡単に説明するけど……フードと眼鏡で説明しづらい!


首を振る執事を後にその場を去るしかなかった。

しょうがない、伝手がないけど西大公派の貴族のパーティに行くか。

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― 新着の感想 ―
あー大事にしてる部下を馬鹿にされてるのに変に冷静だと思ったら先輩のところ悪く言いたくなかったのかな オウド君も男の子なんだね
>よし! ヨシ!!
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