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奈々美さんの裏の顔  作者: 暁の裏


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第11話 「To Meet You Once More~もう一度、君に会うために~」

 目覚ましが鳴る前に自然と目が覚める。

 カーテンの隙間から差し込む朝日が、部屋を暖かく照らしている。


「ああ……」


 大きく伸びをしながら、元樹は深呼吸をする。

 胸の奥にあった重い石が取り除かれたような軽やかさを感じていた。

 昨日の夕方、奈々美との最後の会話。

 あの時、ようやく全てが終わったのだ。


「自由だ……」


 小さく呟きながら、元樹は窓を開ける。

 朝の新鮮な空気が部屋に流れ込み、心地よい風が頬を撫でていく。

 鳥のさえずり、遠くから聞こえる車の音、近所の人たちの話し声。

 全てが以前より鮮明に聞こえる。

 まるで長い間、世界にフィルターがかかっていたかのようだった。


「今日から……普通の高校生活が始まる」


 鏡に映る自分の顔を見つめる。

 久しぶりに、本当の笑顔を浮かべることができた。




 朝食を済ませ、いつもの時間に家を出る。

 しかし今朝は、足取りが軽やかだった。

 通学路を歩きながら、元樹は周囲の景色を改めて眺める。

 商店街の朝の活気、登校する同級生たちの笑い声、青空に映える街並み。

 全てが新鮮で、生き生きとして見えた。


「おはよう、渡部くん」


 声をかけられて振り返ると、同じクラスの田中が手を振っている。


「おはよう」


 自然な返事ができることの喜びを、元樹は噛みしめる。

 以前なら、奈々美の機嫌を気にして、素っ気なく応対していただろう。


「今日暑くなりそうだね」

「そうだな」


 何気ない会話。

 でも、この何でもない日常のやり取りが、どれほど大切だったかを実感する。

 学校が近づいてくると、元樹の心は躍り始めた。

 今日から、本当の意味で学校生活を楽しめる。

 そんな期待に胸を膨らませながら、校門をくぐろうとした時だった。




「元樹」


 聞き慣れた声のする方を見ると、玲が校門の脇で待っていた。


「玲……おはよう」

「おはよう」


 久しぶりに交わす、自然な朝の挨拶。

 その瞬間、元樹は心の底から温かい気持ちが湧き上がるのを感じた。


「昨日は……大変だったね」


 玲の言葉に、元樹は小さく頷く。


「でも、これで終わったんだ」

「うん……そうだね」


 玲の表情には、安堵と少しの複雑さが混じっている。


「元樹、本当に大丈夫?」


 心配そうに見つめる玲の瞳に、元樹は優しく微笑む。


「大丈夫だよ。むしろ、すっきりした」

「良かった……」


 二人は並んで校舎に向かう。

 久しぶりの、自然な歩調。

 しかし歩きながら、元樹は微かな違和感を覚えていた。

 解放されたはずなのに、心のどこかに説明のつかない空虚感があった。


「どうしたの?」


 玲が元樹の表情を見て首をかしげる。


「いや……何でもない」


 元樹は首を振る。

 きっと、長い間の束縛から急に解放された反動だろう。

 時間が経てば、この違和感も消えるはずだ。




 教室に入ると、いつものざわめきが元樹を迎えた。

 しかし、何かが違う。

 元樹は自分の席に向かいながら、ふと隣の席に目をやる。

 空いている。

 奈々美の席が、空いている。

 当然のことだった。

 昨日の出来事の後、彼女が普通に登校してくるとは思えない。

 それなのに、その空席を見た瞬間、元樹の胸に奇妙な感情が湧き上がった。

 寂しさ?

 それとも罪悪感?

 自分でも理由がわからない複雑な気持ち。


「元樹、おはよう」


 光明が声をかけてくる。


「おはよう」

「調子はどうだ?」

「まあ……大丈夫だよ」


 光明は元樹の様子を注意深く観察する。

 友人として、元樹の心境の変化を見逃したくない。


「何かあったらすぐ言えよ」

「ありがとう」


 元樹は感謝しながらも、視線は時折隣の空席に向かってしまう。

 ホームルームでの発表

 チャイムが鳴り、佐々木先生が教室に入ってきた。


「おはよう。今日は皆さんに報告がある」


 佐々木先生の表情が少し重い。


「柊奈々美さんですが……」


 その名前が出た瞬間、教室の空気が変わった。

 昨日の出来事を知るクラスメートたちが、一斉に注目する。

 元樹の心臓が跳ね上がる。


「諸事情により、急遽転校することになった」

「えっ……」


 教室から驚きの声が上がる。


「今日付けで転校手続きが完了している。皆も、何か伝えたいことがあれば……」


 先生の言葉が、元樹の耳にははっきりと聞こえなかった。

 転校。

 奈々美が、いなくなる。

 頭では理解している。

 これで全てが終わる。

 平穏な日常が戻ってくる。

 それなのに、胸の奥に広がる空虚感は何なのだろう。


「渡部、大丈夫か?」


 光明が心配そうに声をかける。


「ああ……大丈夫」


 しかし、その返事は心なしか力がなかった。




 昼休み、元樹は一人で屋上にいた。

 風が心地よく吹いているが、気分は晴れない。

 フェンスにもたれかかりながら、青空を見上げる。


「なんで……こんな気持ちになるんだ」


 自由になったはずなのに、心は重い。

 奈々美の束縛から解放されたはずなのに、喜びよりも虚無感の方が強い。


「元樹」


 後ろから声をかけられて振り返ると、玲が立っていた。


「一人で来てたんだ」

「うん……ちょっと考え事をしてて」


 玲は元樹の隣に立つ。


「奈々美さんのこと?」


 その名前を出されて、元樹は小さく頷く。


「転校か……」

「うん」

「それで、どう思う?」


 玲の問いに、元樹は答えに詰まる。


「わからない……すっきりしたはずなのに、なんか……」

「虚しい?」


 玲の的確な指摘に、元樹は驚く。


「そう……虚しいんだ。なんで?」


 玲は少し考えてから口を開く。


「きっと、元樹ににとっても…特別だったんだね」

「特別って……」

「束縛されるのは嫌だった。でも同時に、必要とされることに安心感もあったんじゃない?」


 その言葉に、元樹ははっとする。

 確かに、奈々美の愛情は重すぎた。

 でも同時に、誰かにこれほど必要とされたことはなかった。


「複雑だね、人間の心って」


 玲の優しい声に、元樹は少し救われる。


「そう思っていいのかな」

「当然よ。あなたは優しい人だから」




 午後の授業中、元樹の視線は何度も隣の空席に向かった。

 数学の授業中、先生が問題を出す。


「この問題、わかる人は?」


 いつもなら、奈々美が積極的に手を挙げていた。

 そして、元樹にも答えるよう促していた。

 今日はその声がない。

 静寂が、逆に耳につく。

 英語の授業では、ペアワークがあった。


「隣同士でペアを組んで」


 元樹は自然と隣を見る。

 しかし、そこには誰もいない。


「渡部くん、こっちのグループに入って」


 先生に促されて、他のグループに加わる。

 しかし、どこか居心地の悪さを感じていた。

 奇妙なことに、奈々美がいた時の方が、居場所が明確だった。

 束縛されていたとはいえ、自分の立ち位置がはっきりしていた。

 今は自由だが、同時に宙ぶらりんな感覚もある。




 放課後、元樹は久しぶりに光明と一緒に下校することにした。


「久しぶりだな、こうして帰るの」


 光明の明るい声に、元樹も微笑む。


「そうだな」

「これからは毎日一緒に帰れるな」

「そうだな...」


 しかし、元樹の返事はどこか上の空だった。

 歩きながら、無意識に周囲を見回してしまう。

 まるで、誰かを探しているかのように。


「どうした? 何か落とし物でもしたか?」


 光明が不思議そうに聞く。


「いや……何でもない」


 元樹は首を振る。

 しかし、心の中では混乱していた。

 なぜ奈々美を探すような行動をしてしまうのか。

 解放されて嬉しいはずなのに、なぜこんなに心が晴れないのか。


「元樹、本当に大丈夫か?」


 光明の心配そうな声に、元樹は振り返る。


「大丈夫……だと思う」

「思う?」

「正直、よくわからないんだ」


 元樹は立ち止まる。


「自由になったのに、なんか心に穴が開いたみたいで」


 光明は元樹の肩に手を置く。


「無理もないか。少しとはいえ、一緒にいたんだから」

「でも、束縛されてたんだ。嫌だったはずなのに……」

「それでも、柊はお前にとって大きな存在だったってことなんだろうな」


 光明の理解ある言葉に、元樹は少し救われる。


「時間が必要なんじゃないか?」

「時間……か」


 元樹は空を見上げる。

 夕焼けが空を染め始めていた。




 その夜、元樹は一人で部屋にいた。

 机に向かって宿題をしようとするが、集中できない。

 隣に誰かがいるような錯覚に襲われる。


「何やってるんだ、俺……」


 頭を振って気を取り直そうとするが、妙な感覚は消えない。

 スマホを手に取る。

 しかし、誰にメッセージを送ろうとしているのか、自分でもわからない。

 最近は、夜になると奈々美から長いメッセージが来ていた。

 愛情と束縛の混じった、重いメッセージ。

 嫌だったはずなのに、今夜は何も来ない静寂が妙に気になる。


「おかしいな……」


 ベッドに横になり、天井を見つめる。

 奈々美との思い出が、断片的に蘇ってくる。

 初めて会った時のこと。

 一緒に映画を見に行ったこと。

 風邪をひいた時に看病してくれたこと。

 嫌な記憶だけでなく、温かい記憶もある。

 それが余計に、心を複雑にしていた。


「俺は……どうしたかったんだろう」


 答えの出ない問いを抱えたまま、元樹は眠りについた。




 翌朝、元樹は重い気持ちで目覚めた。

 昨夜の爽快感はどこへやら。

 なんとなく気分が沈んでいる。


「おはよう」


 朝食の席で、母親が声をかける。


「最近、顔色がいいわね」

「そう?」

「ええ。何かいいことでもあった?」


 母親の言葉に、元樹は複雑な気持ちになる。

 確かに、表面的には楽になったはずだ。


「まあ……そんなところかな」


 曖昧に答えながら、元樹は食事を続ける。




 登校途中、元樹は無意識にいつものコースを歩いていた。

 奈々美と待ち合わせていた角。

 そこを通りかかった時、足が自然と止まる。


「……」


 誰もいない角を見つめながら、元樹は小さくため息をつく。

 習慣とは恐ろしいもので、体が覚えてしまっている。

 頭では理解していても、心と体がついていかない。


「渡部くん」


 後ろから声をかけられて振り返ると、同じクラスの女子生徒が立っていた。


「おはよう」

「おはよう……あの、大丈夫?」

「え?」

「なんだか寂しそうに見えて」


 その指摘に、元樹は驚く。

 自分でも気づかないうちに、そんな表情をしていたのか。


「大丈夫だよ。ありがとう」


 微笑んで答えるが、心の奥では動揺していた。




 教室に入ると、奈々美の席は相変わらず空いている。

 しかし今日は、その空席がより一層目立って見えた。

 まるで、そこに誰かがいるべきなのに、いないという違和感。

 授業中も、元樹の意識は隣の席に向いてしまう。

 先生の話を聞きながらも、どこか上の空。


「渡部、答えてみろ」


 突然名前を呼ばれて、元樹は慌てる。


「え、あ……すみません」

「大丈夫か? 最近、集中力に欠けているようだが」


 先生の指摘に、クラス中の視線が集まる。

 元樹は顔を赤くしながら頷く。


「すみません。気をつけます」




 昼休み、元樹は久しぶりに光明と一緒に弁当を食べることにした。


「やっと普通に飯が食えるな」


 光明が嬉しそうに言う。


「そうだな」


 しかし、元樹の返事は心なしか元気がない。


「どうした? せっかく自由になったのに、暗い顔してるじゃないか」


 光明の指摘に、元樹は苦笑いする。


「自分でもよくわからないんだ」

「何が?」

「解放されたはずなのに、なんか……落ち着かない、何か大事なものをなくしたような…」


 元樹は弁当をつつきながら続ける。


「この間まで、隣に誰かがいるのが当たり前だったからかな」

「ああ……」


 光明は理解を示すように頷く。


「急に環境が変わると、そういうこともあるよな」

「そうなのかな」

「時間が解決してくれるって」


 光明の慰めに、元樹は小さく微笑む。

 しかし、心の奥では、これが時間で解決する問題なのか疑問に思っていた。




 午後の体育の授業。

 今日はバレーボールの練習だった。

 チーム分けの時、元樹はふと人数を数える。

 奇数になってしまう。


「一人足りませんね」


 体育教師が首をかしげる。


「柊さんが転校したからですね」


 誰かがそう説明する。

 その時、元樹の胸に鋭い痛みが走った。

 奈々美がいないことを、改めて実感させられる瞬間。


「じゃあ、ローテーションでやってもらいましょう」


 教師の提案で授業は続行されたが、元樹の心は複雑だった。

 奈々美がいた時は、彼女が必ずマネージャー役を志願して、元樹の活躍を見つめていた。

 時には重荷に感じていたその視線が、今はない。

 解放されたはずなのに、どこか物足りない。

 この矛盾した感情に、元樹は困惑していた。




 放課後、元樹は一人で校舎を歩いていた。

 図書室の前を通りかかった時、中を覗いてみる。

 以前、奈々美に見つかった場所。

 あの時の緊張感を思い出し、複雑な気持ちになる。

 すべてが、まるで奈々美が最初からいなかったかのように動いている。

 それが当たり前なのに、元樹には違和感として感じられた。


「元樹」


 振り返ると、玲が立っていた。


「玲……」

「一人? 光明くんは?」

「部活があるから」


 玲は元樹の表情を見て、心配そうに眉をひそめる。


「まだ、調子が悪い?」

「悪いっていうか……よくわからないんだ」


 元樹は正直に答える。


「一緒に帰ろっか」


 玲の提案に、元樹は頷く。

 久しぶりに、二人で下校することになった。




 校門を出て、住宅街を歩きながら、玲が口を開く。


「奈々美さんのこと、やっぱり気になる?」


 その直球な質問に、元樹は立ち止まる。


「気になるって……どういう意味で?」

「好きだったんじゃない?」


 玲の言葉に、元樹は動揺する。


「そんなことない」

「でも、心配してるでしょう?」


 玲の指摘に、元樹は答えに詰まる。

 確かに、奈々美のことが気になっている。

 でもそれが恋愛感情なのかどうか、自分でもわからない。


「複雑なのよ、人の気持ちって」


 玲が優しく続ける。


「束縛されるのは嫌だった。でも、愛されることは嬉しかった」

「そういうもの?」

「そういうものだよ」


 玲の理解ある言葉に、元樹は少し安心する。


「時間をかけて、自分の気持ちを整理すればいいと思う」

「ありがとう、玲」

「どういたしまして」


 二人は再び歩き始める。

 夕陽が二人の影を長く伸ばしていた。




 週末、元樹は久しぶりに自由な時間を手に入れた。

 友達と遊ぶこともできる。

 一人で好きなことをすることもできる。

 制約はない。

 しかし、その自由を前にして、元樹は戸惑っていた。

 何をしたいのか、よくわからない。

 結局、一人で近所を散歩することにした。

 商店街を歩きながら、ふと映画館の前で足を止める。

 以前、奈々美と一緒に映画を見た場所。

 あの時は、彼女に付き合わされた感があった。

 でも今思い返すと、悪い時間ではなかった。


「……」


 映画館を見上げながら、元樹は小さくため息をつく。

 自由になったはずなのに、なぜこんなに虚しいのだろう。




 月曜日の昼休み、光明が元樹に話しかけた。


「元樹、週末はどうだった?」

「普通に過ごしたよ」

「何したんだ?」

「散歩したり……特に何も」


 光明は元樹の様子を注意深く観察する。


「なんか、元気ないな」

「そう?」

「柊のこと、まだ気にしてるのか?」


 光明の問いに、元樹は困った顔をする。


「気にしてるって言うか……」

「何?」

「なんで急にいなくなったのかな、って」


 元樹の言葉に、光明は少し驚く。


「お前、まさか……」

「何?」

「心配してるのか? 柊のことを」


 その指摘に、元樹は動揺する。


「心配って……」

「だって、そうだろ? 急に転校なんて、何かあったのかもしれない」


 光明の言葉に、元樹ははっとする。

 確かに、急すぎる転校だった。

 家庭の事情と言われたが、具体的な理由は聞いていない。

 もしかして、昨日の出来事がきっかけで……。


「俺のせいかもしれない」


 小さく呟いた元樹の声を、光明は聞き逃さなかった。


「お前のせい?」

「あの時、きっぱり断ったから……」


 元樹の表情が暗くなる。


「傷つけてしまったのかもしれない」


 光明は元樹の肩を叩く。


「そんなことないって。お前は正直に気持ちを伝えただけだ」

「でも……」

「それに、彼女だって束縛しすぎたのは事実だろ?」


 光明の言葉は正論だったが、元樹の心は晴れなかった。




 放課後、玲が元樹を呼び止めた。


「元樹、少し話さない?」

「うん」


 二人は屋上に向かう。

 夕陽が校舎を染める時間帯。


「まだ、奈々美さんのことを考えてるのね」


 玲の言葉に、元樹は頷く。


「どうしても気になってしまう」

「それは当然よ」


 玲は優しく微笑む。


「あなたは優しい人だから」

「優しいって……俺は彼女を傷つけた」

「傷つけたんじゃない。正直だっただけ」


 玲は続ける。


「もし嘘をついて付き合い続けていたら、もっと傷つけることになった」

「そうかな……」

「そうよ。元樹は正しいことをした」


 玲の言葉に、元樹は少し安心する。


「でも、今の気持ちは?」


 玲の問いに、元樹は考え込む。


「よくわからない……」

「好きだったの?」

「好きって……」


 元樹は首を振る。


「束縛されるのは嫌だった。でも……」

「でも?」

「必要とされることは、嬉しかったのかもしれない」


 その正直な告白に、玲は複雑な表情を見せる。


「そうだね……誰だって、愛されたい」

「玲は……どう思う?」


 元樹の問いに、玲は少し考えてから答える。


「愛されることと束縛されることは違うと思う」

「違う?」

「本当の愛は、相手を自由にするもの」


 玲の言葉が、元樹の心に響く。


「奈々美さんのは……愛というより依存だったのかもしれない」

「依存……」

「でも、それでもあなたを大切に思っていたのは確かよ」


 玲の理解ある言葉に、元樹の心は少し軽くなった。




 それから数日、元樹は普通の高校生活を送っていた。

 友達との会話を楽しみ、授業に集中し、部活には参加しないものの放課後は自由に過ごす。


 表面的には、理想的な生活だった。

 しかし、心の奥には常に空虚感があった。

 まるで、心に穴が開いているかのような感覚。


 朝起きた時、誰からもメッセージが来ていないことに気づく。

 以前なら、奈々美からの長いメッセージが必ずあった。


 昼休み、一人で弁当を食べる時間が増えた。

 光明や玲と食べることもあるが、毎日ではない。


 放課後、まっすぐ帰宅する日が多くなった。

 以前なら、奈々美と一緒に寄り道をしていた。

 自由になったはずなのに、どこか物足りない。

 この矛盾した感情を、元樹は理解できずにいた…




 奈々美は一人でアパートの荷造りをしていた。

 段ボール箱に少ない荷物を詰めながら、涙がこぼれ落ちる。


「元樹くん……」


 壁に貼られていた元樹の写真を一枚ずつ剥がしては、大切にアルバムにしまっていく。

 すべてが愛おしい思い出だった。

 机の上には、元樹からもらったわけではないが、彼との思い出の品々が並んでいる。

 一緒に見た映画のチケットの半券。

 初めて手を繋いだ日に拾った小さな石。

 部屋で過ごした日に元樹が飲んだペットボトルのラベル。


「私、間違ってたのかな……」


 奈々美は自分に問いかける。

 愛していた。

 心の底から愛していた。

 でも、その愛し方が間違っていたのかもしれない。

 上野玲の言葉が頭をよぎる。


『本当に相手のことを思うなら、相手の幸せを願うべきよ』


「元樹くんの幸せ……」


 自分といることが、本当に元樹の幸せだったのだろうか。

 束縛し、監視し、他の人との関係を遮断する。

 それは愛情の表現だと思っていた。

 でも、元樹の表情は日に日に暗くなっていた。


「ごめんなさい…また会えるかな…」


 小さく呟きながら、奈々美は最後の荷物をまとめる。

 明日の終業式には出席しない。

 今日で、すべてが終わる。

 夕方、親戚が迎えに来た。


「奈々美ちゃん、準備はできた?」

「はい……」


 振り返ることなく、奈々美はアパートを後にした。

 車の窓から見える景色。

 元樹と歩いた通学路。

 一緒に過ごした学校。

 すべてに別れを告げながら、車は町を出ていく。


「新しい環境で、頑張りましょうね」


 親戚の優しい言葉に、奈々美は小さく頷く。

 でも、心は空っぽだった。

 元樹なしの人生なんて、考えられない。

 それでも、彼の幸せのためなら……。


「さよなら……元樹くん」


 車が高速道路に入った時、奈々美は心の中で別れの言葉を呟いた。




 終業式の日。

 元樹は教室で通知表を受け取りながら、どこか上の空だった。

 周りのクラスメートたちは夏休みの予定について盛り上がっているが、元樹の心はそこにない。


「元樹、夏休みの予定はどうする?」


 光明が話しかけてくる。


「特に……何も決めてないかな」


 元樹の歯切れの悪い返事に、光明は少し心配そうな表情を見せる。


「海にでも行こうか? みんなで」

「みんなって?」

「俺と未菜、それに玲も誘って」


 光明の提案に、元樹は小さく微笑む。


「そうだな……考えてみるよ」


 しかし、その微笑みはどこか力がない。

 光明は元樹の様子を見て、まだ完全に立ち直っていないことを理解していた。

 終業式が終わり、生徒たちが三々五々帰宅していく中、元樹は一人教室に残っていた。

 窓から見える夏の青空が眩しく、蝉の鳴き声が響いている。


「夏休み……」


 長い休暇を前にしても、心は弾まない。

 自由な時間があることが、逆に空虚感を際立たせる。

 立ち上がってカバンを肩にかけた時、ふと隣の席を見る。

 もう一週間以上空いている奈々美の席。

 机の上には何もない。

 まるで最初から誰もいなかったかのように。


「……」


 元樹は小さくため息をついて教室を出た。




 夏休みに入って三日目の夕方、光明は一人で悩んでいた。

 8月15日は未菜の誕生日。

 何か特別なプレゼントを贈りたいと思っているのだが、女性の好みがよくわからない。


「うーん……」


 部屋でスマホを見ながら、ネットショップを眺めてみるが、種類が多すぎて決められない。

 アクセサリー、化粧品、洋服、本、文房具……

 どれが未菜に喜んでもらえるのだろうか。


「そうだ」


 光明は思いつく。


「玲に相談してみよう」


 同じ女性なら、女性の気持ちがわかるはず。

 早速、玲にメッセージを送る。


『玲、相談があるんだ。時間あるときに会えないか?』


 しばらくして返信が来る。


『もちろん!明日の午後はどう?』

『助かる。駅前で待ち合わせしよう』


 こうして、翌日の午後、光明と玲は駅前で待ち合わせることになった。




 午後2時、駅前の待ち合わせ場所。

 光明は少し早めに到着し、玲を待っていた。


「光明くん、お待たせ」


 玲が小走りに駆けてくる。

 白いワンピースに麦わら帽子という、夏らしい装いが似合っている。


「玲、ありがとう。付き合ってもらって」

「全然構わないよ。それで、相談って?」


 光明は照れながら説明する。


「実は……未菜の誕生日が来月にあって」

「あ、そっか誕プレ!」


 玲の表情が明るくなる。


「それでプレゼントを選びたいんだけど、女性の好みがよくわからなくて」

「素敵じゃない。未菜ちゃん、きっと喜ぶよ」


 玲は光明の気持ちを理解し、協力することにした。


「どんなものを考えてるの?」

「それがよくわからないんだ。アクセサリーとか?」

「店を見てみて未菜ちゃんが気に入りそうな物を探そうよ」


 二人はショッピングモールに向かった。

 アクセサリーショップ、雑貨店、本屋など、様々な店を回りながら、未菜に合いそうなものを探す。


「これなんてどう?」


 玲が小さなペンダントを指差す。

 シンプルなデザインで、上品な輝きを放っている。


「いいね。でもちょっと高いな」

「そうだね、いいと思うけど高校生が持つには高いかもね」

「そうだよな……」


 光明は値段を見て少し躊躇する。

 アルバイト代を貯めているとはいえ、高校生には大きな出費だ。


「もう少し見てみようか」


 玲の提案で、他の店も回ってみることにした。

 雑貨店で可愛い文房具を見つけたり、本屋でファッション雑誌をチェックしたり、二人で相談しながら歩き回る。


「光明くんって、未菜ちゃんのことよく見てるんだね」


 雑貨店で小さなメモ帳を見ている光明に、玲が微笑む。


「え?」

「だって、彼女がよく手帳を使ってるの知ってるでしょ?」

「あ、うん……気づいたら見てたかも」


 光明の照れる様子を見て、玲は微笑ましく思う。


「きっと未菜ちゃんも、光明くんの気持ちわかってるよ」

「そうかな……」

「女の子はそういうの、敏感だから」


 結局、シンプルなシルバーのブレスレットと、上質な手帳のセットを選ぶことにした。

 二つ合わせても予算内で、未菜の好みにも合いそうだ。


「ありがとう、玲。一人じゃ絶対に選べなかった」

「どういたしまして。未菜ちゃんが喜んでくれるといいね」


 買い物を終えた二人は、カフェで休憩することにした。

 アイスコーヒーを飲みながら、他愛もない話をする。


「元樹はどう?最近」


 玲が少し表情を曇らせながら聞く。


「まだちょっと元気ないかな」

「そうだね……私も気になってる」

「柊のこと、まだ引きずってるみたいだな」


 光明の言葉に、玲は複雑な表情を見せる。


「複雑だね、人の心って」

「ああ。束縛されるのは嫌だったはずなのに、いなくなったら寂しがってる」

「当然かもしれない。あれだけ濃密な関係だったんだもの」


 玲は窓の外を見つめながら続ける。


「でも、きっと時間が解決してくれるわ」

「そう思う?」

「うん。元樹は優しいから、今は罪悪感で苦しんでるだけよ」

「よく見てるんだな元樹の事を」


光明は玲の言葉を聞き思ったことを口に出す。


「そんなことないよ、ずっと一緒にいただけだから」

「それでも玲のそういう思いやりのある所、俺は好きだよ」


突然の言葉と真剣な顔を見て玲は頬を染める。


「そっか、ありがと」


玲は嬉しさと恥ずかしさをごまかすようにニコッと笑って答えた。

だが、甘酸っぱい青春のような雰囲気の二人を、遠くから見つめる影があることに、彼らは気づいていなかった。




 その日の午後、未菜は友人と映画を見る予定だった。

 しかし友人が急用で来られなくなり、一人で時間を持て余していた。


「せっかくの夏休みなのに……」


 一人でショッピングモールをぶらぶら歩いていると、見慣れた後ろ姿を発見した。


「あれ、光明くん?」


 よく見ると、隣には玲も一緒にいる。

 二人は楽しそうに話しながら、アクセサリーショップを見て回っている。


「え……」


 未菜の心臓が跳ね上がる。

 光明と玲が二人きりで買い物をしている。

 しかも、アクセサリーショップで。


「まさか……」


 未菜の頭に最悪のシナリオが浮かぶ。

 光明が玲にアクセサリーを買ってあげている。

 つまり、二人は付き合っている。

 自分が知らない間に、恋人同士になっていた。


「そんな……」


 足が震えて、その場から動けなくなる。

 光明が玲に何かを見せて、玲が嬉しそうに笑っている。

 その光景が、未菜には恋人同士のデートに見えてしまう。


「私、何してたんだろう……」


 自分の想いを確認しあったあの夕陽の屋上での出来事。

 あれは何だったのだろう。

 光明の「好きだ」という言葉は、何だったのだろう。


「嘘だったの……?」


 涙が頬を伝う。

 人目を気にして、未菜は急いでその場を立ち去った。

 光明と玲がカフェに向かうのを横目に、未菜は一人で帰路についた。

 家に帰ると、部屋に閉じこもって泣いた。

 信じていた気持ちが裏切られたような感覚。

 光明への想いが深かった分、衝撃も大きい。


「光明くん……」


 枕に顔を埋めながら、未菜は自分の恋が終わったのだと思い込んでいた。




 夏休みに入って一週間が過ぎた頃、元樹は自分の部屋でぼんやりと過ごしていた。

 友人たちからは海や花火大会の誘いが来ているが、どれも気が進まない。

 心の中に空いた穴は、時間が経っても埋まる気配がない。


「このままじゃだめだ……」


 元樹は机の前に座り、自分の気持ちと向き合おうとする。

 奈々美がいなくなってから、何が変わったのか。

 何を失ったのか。

 何を求めているのか。


「俺は……」


 答えを探しているうちに、一つの結論に辿り着く。


「会いに行こう」


 奈々美に会って、きちんと話がしたい。

 謝りたいことがある。

 確認したいことがある。

 そして、自分の本当の気持ちを知りたい。


「でも、どこにいるんだろう……」


 奈々美は転校したが、転校先は聞いていない。

 学校に聞けば教えてもらえるかもしれないが、個人情報なので難しいかもしれない。


「まずは学校に連絡してみよう」


 元樹は決意を固める。

 このまま曖昧な気持ちでいるよりも、行動に移したい。

 自分なりの結論を出したい。

 学校への問い合わせ

 翌日の朝、元樹は学校に電話をかけた。

 夏休み中とはいえ、職員室には先生方が出勤している。


「お疲れさまです。2年3組の渡部ですが……」

「はい、渡部くん。どうしたの?」


 電話に出たのは担任の佐々木先生だった。


「あの……柊奈々美さんの転校先を教えていただけないでしょうか」

「柊さんの?」


 先生は少し驚いた様子だった。


「どうして転校先を知りたいの?」

「お世話になったので、お礼を言いたくて……」


 元樹は建前を言うが、先生は察しているようだった。


「そうね……個人情報だから詳しくは言えないけど」


 少し考えてから、先生は続ける。


「元の町に戻ったのよ。小学生の時に住んでいた場所」

「元の町……」

「そう。家庭の事情で、急に戻ることになったらしいの」


 元樹の心臓が跳ね上がる。

 元の町ということは、自分も知っている場所だ。

 小学生の時に住んでいた、あの町。


「住所までは教えられないけど……」

「わかりました。ありがとうございます」


 電話を切った元樹は、興奮で手が震えていた。

 奈々美がいる場所がわかった。

 あの懐かしい町にいるのだ。


「行こう」


 元樹の決意は固まった。

 夏休みを利用して、奈々美に会いに行く。




 翌日、元樹は旅行の準備を始めた。

 電車の時刻を調べ、一泊分の荷物をまとめる。

 母親には「友達と小旅行に行く」と説明した。


「気をつけて行ってらっしゃい。久しぶりに元気そうね」


 母親の言葉に、元樹は少し罪悪感を覚える。

 嘘をついているからではなく、自分でも理由がはっきりしない行動を取ろうとしているからだ。

 荷造りをしていると、ふと目に入ったものがある。

 机の上に置かれた小さなフィギュア。

 奈々美がゲームセンターで取ってくれた、あのフィギュアだ。

「……」

 フィギュアを手に取ると、鮮明に思い出がよみがえる。


『ふふっ、私が取ってあげる』


 奈々美の声が耳によみがえる。

 あの日のゲームセンター。

 自分が何度挑戦してもだめだったクレーンゲーム。

 奈々美がいとも簡単に、一発でフィギュアを取った時の驚き。


『やった……! 取れた!』

『……まじかよ』


 そして、嬉しそうにフィギュアを差し出してくれた奈々美の笑顔。


『ふふ、渡部くんの好きなやつ、私が取ってあげた』


 あの時の彼女の表情は、純粋な喜びに満ちていた。

 誰かのために何かをしてあげることの喜び。

 愛する人を喜ばせることの幸せ。

 さらに記憶は遡る。

 小学校3年生の自分。

 公園で泣いている女の子。


『お父さんとお母さんがいなくなっちゃった』


 小さな奈々美が、ベンチで一人で泣いていた。

 両親を事故で亡くし、親戚に引き取られることになった彼女。

 不安と悲しみで涙が止まらない。


『大丈夫だよ。僕がいるから』


 自分なりに彼女を慰めた。

 一緒に遊び、話を聞いてあげた。

 次第に奈々美の表情は明るくなり、笑顔を見せるようになった。


『元樹くんがいてくれて良かった』

『ずっと一緒だよね?』

『うん、ずっと一緒』


 子供同士の無邪気な約束。

 でも、その約束を自分は破った。

 父親の転勤で引っ越すことになり、奈々美に別れを告げることなく町を去った。


『私、元樹くんがいないと生きていけないの』


 高校生になった奈々美の言葉。

 あの時は束縛だと思った。

 重いと思った。

 でも今思えば、あれは必死の訴えだったのかもしれない。


『昔から、ずっと夢見てたの』

『元樹くんと一緒にいられる日が来るって』


 奈々美にとって、自分はどんな存在だったのだろう。

 子供の頃の約束を、彼女は本気で信じていたのか。

 ずっと待ち続けてくれていたのか。


「俺は……」


 フィギュアを握りしめながら、元樹は自分の気持ちを見つめる。

 束縛されるのは確かに嫌だった。

 自由を奪われることに抵抗があった。

 でも同時に、あれほど必要とされることに安らぎも感じていた。

 奈々美の純粋な笑顔。

 一生懸命な看病。

 愛情のこもった手作り弁当。

 束縛の裏にあった、深い愛情。


「会って話したい」


 元樹の決意はより固いものになった。

 きちんと向き合って、お互いの気持ちを確認したい。

 謝るべきことは謝り、伝えるべきことは伝えたい。

 そして──自分の本当の気持ちを確かめたい。




 8月1日の朝、元樹は早起きして最終的な準備を整えた。

 リュックサックに着替えと最小限の荷物を詰め、財布には貯めていた小遣いを入れる。

 そして、例のフィギュアを見て気合を入れる。


「行ってきます」


 母親に挨拶をして家を出る。

 朝の空気はまだ涼しく、夏の始まりを告げるような爽やかさがある。

 駅に向かう途中、ふと足を止める。

 振り返ると、自分が通う高校が見える。

 玲や光明、そして奈々美と過ごした日々。

 様々な思い出が詰まった場所。


「必ず答えを見つける」


 元樹は自分に言い聞かせる。

 自分なりの答えを見つけるための旅だ。




 駅に着くと、まだ朝早いこともあって人は少ない。

 券売機で切符を購入し、ホームへ向かう。

 電光掲示板を見上げると、目的地への電車は10分後に到着予定。


「大丈夫だ」


 元樹は深呼吸をする。

 緊張と期待が入り混じった複雑な気持ち。

 でも、後悔はない。

 やらなければ、一生モヤモヤした気持ちを抱えることになる。

 遠くから電車の音が聞こえてくる。

 間もなく到着するようだ。

 元樹はホームの端で待ちながら、気持ちを落ち着かせる。


「奈々美……」


 小さく名前を呟く。

 彼女は今、何をしているだろう。

 元気にしているだろうか。

 自分のことを恨んでいるだろうか。


「会って確認しないとな」


 電車がホームに滑り込んでくる。

 ドアが開き、数人の乗客が降りてくる。

 元樹はリュックを背負い直し、電車に向かって歩き始める。

 自動ドアが開いて、車内の冷房が頬を撫でる。

 座席は空いており、窓際の席に座ることができた。

 荷物を棚に上げ、シートに深く腰掛ける。


「発車します、ドアにご注意ください」


 アナウンスが響き、電車がゆっくりと動き出す。

 窓から見える景色が後ろに流れていく。 見慣れた街並みが、次第に遠くなっていく。

 元樹は窓に映る自分の顔を見つめる。緊張しているが、目には意志の光がある。

 この旅で、きっと答えが見つかる。

 そんな予感がしていた。


 電車は夏の青空の下を、目的地に向かって走り続けている。

 車窓に流れる景色を眺めながら、元樹は奈々美との再会を心待ちにしていた。

今回のエピソードでは、「自由になったはずなのに心が晴れない」という元樹の複雑な心理が浮き彫りになりました。

奈々美の束縛は確かに重く、苦しみをもたらすものでしたが、その裏には確かに深い愛情と“必要とされる安心感”があったことに、元樹は気づき始めています。


そして迎えた夏休み。自由な時間を得ても埋まらない虚無感は、奈々美の存在の大きさを改めて突きつけました。

最後に元樹が選んだのは「行動」。自分の気持ちを確かめるために、奈々美に会いに行く旅に出る決意を固めました。ここから物語は大きな転換点を迎えます。


一方で、光明と玲の“買い物”を目撃した未菜の誤解という、新たな恋の火種も生まれました。友情・恋愛・過去と未来──すべてが絡み合いながら、次章はさらにドラマチックになりそうです。


次回は、ついに奈々美との再会。彼女はどんな気持ちで元樹を迎えるのか。そして元樹の答えは──。ぜひ楽しみにしていてください。


暁の裏

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