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クールな王妃はストレスが溜まっている

大まかなストーリーを決めて、書きながらいろいろと肉付けしていくスタイルなので、どんどん逸れていっている気がする。

一応、進んではいるんですけどね。


 それから2年間はかなりつらい時間であった。

 いや、殿下と過ごすことができるのは本来であれば嬉しい事なのかもしれない。

 だが、今まで人とあまり話してこなかった私にとって、好きな人と過ごす時間はかなり消耗するイベントだったのだ。

 あまりの疲れで帰ったらそのままベッドに倒れこんで寝てしまうほどであった。

 一度、そのことを妃殿下に相談した。

 同性であり、私のことも理解してくれている彼女なら何かいい案を言ってくれると思ったからである。


 その結果、余計に時間が増えた。

 理由は卒業後すぐに結婚することになり、その後は城に住むことになる。

 つまり、殿下と会う機会が増えることになるので、現状ではまずいと判断されたからだ。

 言っていることの意味は理解できる。

 しかし、それは時期尚早だと思った。

 なので、もう少し段階を踏むことを要求したのだが……


「で、城に住むことになったわけね」

「……なんでこんなことに」


 リリーの言葉に私は頭を抱える。

 妃殿下は全く私の要求を飲んでくれなかった。

 こちらとしては無茶を言っているつもりはないのに、どうしてなのだろうか?


「妃殿下も危惧してるんでしょうね」

「何を?」

「孫の顔が見れないことよ」

「まっ!?」


 リリーのあけすけな言葉に私は思わず顔を赤くする。

 あまりにも早い話なので、私も全く考えていなかった内容である。

 しかし、そんな私の反応にリリーは呆れたような表情を浮かべる。


「王族や貴族にとって、跡継ぎを産んで爵位を継いでいくことは最優先事項よ? つまり、私たちがその家に嫁に行くことは家同士の繋がりを作るのと同時にその爵位を繋ぐ跡継ぎを産むためよ」

「わかっているわ。でも、まだそんなことは考えられないし……」

「甘いわよ、クリス」

「えっ!?」


 リリーの言葉に私は驚いた。

 そんなに甘い考えだったのだろうか?

 疑問に思う私にリリーははっきりと告げてくる。


「あのね……出産はかなり危険が伴うものなのよ。母体への負担も大きいからかなり体力を使うことなの」

「それはわかっているわ。勉強をしたおかげで知識はあるし……」

「じゃあ、年齢が高くなるほど危険になるのはわかっているわよね?」

「……うん」


 リリーの質問に私も頷く。

 彼女の言っている内容はもちろん知識としてではあるが、知ってはいた。

 母体に負担がかかる以上、体力がどんどん落ちてくる──つまり、年齢が高くなるにつれて、危険率は上がってくるのだ。

 だからこそ、貴族社会では女性は若いうちに結婚し、跡継ぎを産むことが当たり前とされていた。

 それについてはわかっているつもりではあるが……


「妃殿下も経験しているからこそ、できるかぎりクリスにも苦労してほしくないと思っているんでしょうね」

「その結果、王宮に住むことになるの?」

「少しでも早く王太子殿下と仲良くなりなさい、って発破をかけてるんでしょう? このままじゃ、何時まで経っても孫の顔を見れそうにないし」

「……」


 否定はできなかった。

 現状、王太子殿下と私は仲良くなるために会話をする時間を設けている。

 しかし、ぎこちなさもあり、そこまで順調なわけではなかった。

 私としては最初に比べるとだいぶましだと思っていたのだが、私たちの様子を見ていた使用人たちの報告を聞いた妃殿下含む大人たちからは「恋を覚えたばかりの子供か」と呆れられてしまった。

 王立学院に通い始めたのに、まさかそんなことを言われるとは思わなかった。

 これでも大人顔負けの知識を持っていると自負していたが、まさかそんなことで子ども扱いをされるとは……


「ちなみにメリッサはもうすでにメイドとしていろんな技術を身に付けているわよ」

「っ!?」


 リリーの言葉に私は驚く。

 私の頭には最近はあまり会うことのできていない友達の姿が思い起こされた。

 元気にしているだろうか?


「クリスに会えないことを寂しそうにしているけど、ずっとクリスのそばにいるために努力しているわ」

「……」

「メリッサがそんなに頑張っているのに、クリスは頑張れないのかしら?」

「……わかったわよ。私だって頑張るわ」


 流石にメリッサが私のために頑張ってくれているのに、私が頑張らないわけにもいかない。

 初めてできた友達なのだから、裏切るようなことだけはしたくなかった。

 だからこそ、辛い事かもしれないけど、頑張らないといけないのだ。


「最初からそう言えばいいのよ。そうすれば、少しはかっこがつくのに」

「……苦手なことに挑戦することはかなり勇気がいるもの」

「好きな人と話すことを苦手なことと言うのはなかなか新鮮ね。滅多に聞けることじゃないわね」

「……否定はしないわ」


 私自身もおかしい事は自覚している。

 だが、これは私が人と話すことが苦手だからこそなのだ。

 まあ、流石にどうにかしないといけないとは思っているけど……


「さて、そんなクリスに朗報よ」

「何?」


 リリーが笑みを浮かべ、そんなことを言った。

 いきなりの言葉に私は首を傾げた。

 メリッサのこと以外に何かいいことがあるのだろうか?


「妃殿下から課題を与えられたわ」

「えぇ……」


 私は嫌な表情を浮かべる。

 妃殿下は優しくも厳しい方であり、私を成長させるために様々な課題を与えてくる。

 その難易度はどれも難しく、得意な勉強ですらも簡単には解決できないものが多い。

 そして、王太子殿下関連の課題は私にとって絶望するぐらいの難易度である。

 だからこそ、嫌な表情をしてしまったわけだが……


「その課題をクリアしたら、学院でもメリッサと過ごして良いそうよ」

「本当にっ!?」


 わかりやすい飴に私は飛びついてしまった。

 しかし、それほどまでに嬉しい事だったのだ。

 現在、私は学院でもメリッサと過ごすことはできていなかった。

 妃殿下から常に王太子殿下と過ごすことを課されているのだ。

 もちろん、これは今までの私のせいでもある。

 現状で私はあまりにも王太子殿下の婚約者らしくこうどうをしていなかった。

 そのため、周囲から婚約者として認識されていないらしい。

 それをどうにかするため、少しでも仲睦まじい姿を見せろ、ということだ。

 その課題の制限として、メリッサとの接触を禁止されてしまった。

 リリーからの報告を受けた妃殿下がメリッサといることで甘える可能性があると判断したらしい。

 それは間違いではないが、思わず恨みそうになってしまった。


「まあ、しっかりと学院で王太子殿下と過ごしたうえで、という制限はついているけどね? 婚約者をほったらかしにして、友達と過ごそうとするのは困るって」

「……流石にそんなことはしないわ」


 リリーの指摘に私はわかりやすく視線をそらしてしまう。

 別に本気でそんなことをしようとしているわけではない。

 しかし、人間というのは楽をしようとする生き物であり、私の場合は王太子殿下と過ごすよりはメリッサと過ごす方が楽なのだ。

 自然とそうなるのは当然で……


「ちなみにそんなことをしたら、メリッサとは卒業するまで会えなくなるわよ」

「……わかっているわよ」


 流石に自分でもダメなことぐらいはわかっていた。

 だからこそ、嫌そうな顔になりながらも了解の意思は伝えた。


「それで、課題は?」


 私は問いかける。

 メリッサと会うことができるようになるのは私が課題をクリアしてからである。

 つまり、課題をクリアしない限りはメリッサに会うことすらできない。

 ならば、とっとと課題をクリアすべきだと思ったのだが……


「周囲に恋人と思われるようにいちゃいちゃ過ごせ、って」

「は?」

「現状では幼い男女みたいだから、せめて年齢相応のイチャイチャをしろ、とのことよ」

「何よ、それっ!」


 私は思わず叫んでしまった。

 もちろん、意味の分からない課題だったからだ。

 妃殿下としては、私と王太子殿下の仲を深めてほしいと思っているからこその課題だったのかもしれない。

 だが、私としては何段階もすっ飛ばした難問のようにしか思えないのだ。


「どうする? 諦める?」

「……わよ」

「ん?」

「やるわよっ!」


 私は覚悟を決めて叫んだ。

 このままでは私はストレスでつぶれてしまう。

 だったら、少しでもそれを解消するためにできることをやろうというわけだ。

 しかし、一体何をやればいいのやら……






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