ハニードロップ 2
「それはだなー、俺も詳しくは知らんが」
アニキはそう言うと目をクルリと動かす。一瞬僕と目が合ったような気もするが、この薄暗い中では僕の視線はわからないはず。
「どうしたんすか? アニキ」
ガイが声をひそめる。
「いや、誰が聞いてるかわからんからな」
「何言ってんすか。あっちにいるのはシケたヤローだけですぜ。ここにはカタギは来ないっすよね」
シケたヤロー……んー、確かに僕はそんな感じだと思うけど、他人に言われると腹立つなー。
「まあ、そうだがな。ここにいるだけで捕まるから、売られる事はねーな」
え、なんだそりゃ。ここって入るだけで捕まる店なのか? 国から営業許可取ってないのか? それとも非合法なものを取り扱ってるのか? パム、お仕置きだな。確かに静かな店だけど、そんな店紹介するなや。
「で、ハニードロップって何で言うかだろ。そりゃまずは女子供にもウケるようにだ。デスドロップとか、アッパードロップとかだったら買う奴はヤク中くらいだろ」
ん、てことは、やっぱりさっきのは麻薬なのか?
「そうっすねー。ハニーってついてるだけで菓子みたいですもんね」
「まあホントのとこは、こいつを食うと元気になるし、力も強くなるだろ。けど、やり過ぎると時間経ったら筋肉全部力入らなくなって動けなくなんだよ。人間、全身に入んなくなったらどうなると思うか?」
「そうっすねー。酒飲みすぎた感じっすか?」
飲みすぎると寝るのか?
「お前も見た事あんだろ。死ぬギリギリまで飲んだ奴」
「あ、もしかしてゲボってブリっていっちまうんすか?」
危ねー。今、ジュース吹きそうになった。下品だなー。
「そうだよ。漏らして尻が膨れた姿が蜂みてーだから蜂、ハニーって言うんだよ」
まじか、飲みすぎると粗相する薬ってヤバすぎだろ。まあ、けど、お酒も酔い方が悪いとそうなるしな。
年末年始になると急性アル中で運ばれる人いるけど、ああはなりたくない。その時期になるとギルドの雑用に酒場の手伝いが増えるから、急性アル中は毎年遭遇してた。病院に運ばれるのを見た事あるけど、運ばれる人ってベルトを緩められて持たれるから、老若男女かかわらず、だいたい下がずれてお尻丸出しだ。まあ、命に関わる事だから、尻なんて大した事じゃないけど、絶対に黒歴史だ。特に女子。
「けど、アニキー、ハニーってハチミツで蜂はビーじゃないすか?」
アニキツッコまれてる。意外に弟分の方が物知りなのか?
「知らねーよ。俺は嘘かホントかわかんねーが、人から聞いただけだからな」
読んでいただきありがとうございます。
みやびからのお願いです。「面白かった」「続きが気になる」などと思っていただけたら、広告の下の☆☆☆☆☆の評価や、ブックマークの登録をお願いします。
とっても執筆の励みになりますので、よろしくお願いします。




