中華まんの下克上 後
「じゃあ、順位を発表するわ」
ジブルは収納から紙切れをだす。白紙のまま裏返しにテーブルに置く。
「ちなみにデータは、魔道都市と王都で人気調査のアンケートをとったものよ。どちらとも順位は同じになったわ。この紙に一応詳細は書いてあるわ」
「お前、暇なのか? わざわざ中華まんのデについてータを集めて資料にしてるのか?」
「暇じゃないわ。これも学術的探求と、魔道都市の繁栄のためよ。知ってると思うけど、街でよく見る中華まんの加湿ケースは魔道都市産の魔道具よ。あと、魔道学院では、日々新たな中華まんを開発してるのよ。このワサビまんもその産物よ」
「で、本当のところは?」
「私が中華まんが大好きだからに決まってるでしょ。ザップ、あんただって人の事言えないでしょ。収納の中の担々麺が更新されてるの、知ってるんだから」
そうか、ジブルの好物の一つは中華まんなのか。まあ、僕も好きだけど、どうしても食べたいってなるのは冬だけだな。まあ、僕は担々麺が大好きで収納の中に百食は常備してるし、おきにのお店からは店の営業時間内ならば、収納スキルを使っていつでも出前もできるようにしてるが、ジブルみたいにアンケート取るほど執着してはないよ。
「じゃ、順位発表するわ。一位は私と同じく不動の一番人気の肉まんよ」
お前は肉まんなのか?
「それは知ってるよ」
「二位は、なんと……」
「溜めるなよ。サクッと言えよ」
「なんと、ピザまんでーす!」
「ほら、あたしが言った通りでしょ」
「まじか、俺のカレーまんが、ピザまんに負けたのか……」
「では、次は最下位を発表するわ。負けた方の前にこのワサビまんを置くから、置いたら一気に食べるのよ」
ジブルはワサビまんを皿ごと持ち上げて、僕とアンの前でユラユラさせる。
「カレーまん! 最下位でーす」
え、僕の前にワサビまんが。
「おかしいだろ。そもそも、アンまんはデザートだ。なんで、俺のカレーまんが甘いまんに負けるんだ?」
ジブルの資料を見ると、順位と数が書いてある。まじか、アンまんごときに大きく水をあけられている。ピザまんなんてぶっちぎりだ。しかも、王都では、ゴマあんまんや、角煮まんにも負けている。
「ザップ、食べるのよ!」
「ああ、食ってやるよ!」
ガブガブガブっと三口で食べてやる。辛いーっ。て言うか、頭と鼻が痛い。
「うごーーーーーーっ!」
言葉が悲鳴に化ける。こいつはすげぇや。僕の誇る毒物耐性を簡単にくぐり抜けやがった。みんな僕の醜態を見て、腹を抱えて笑ってやがる。
「水ーっ。水」
マイが差し出してくれた水でなんとか落ち着く。けど、なんか、喉とお腹がヒリヒリ温かいような気がする。
「まじか、カレーまんって、人気無いのか? アンまんなんかにも負けるのか……」
「アンまんなんかって、アンまんは偉大ですよ、私みたいに」
なんか、アンに負けたというのがシャクだ。
「アンまんって地味に人気あるのよ。人気じゃピザまんに負けてるけど、生産数では勝ってるのよ」
「けど、よく考えると、ピザまんって凄いわねー。いつの間にか出てきたと思ったら、一気に駆け上がったのねー。あたしたちもピザまんに負けないように頑張らないとね」
そして、僕らは中華まん祭りを楽しんだ。実はアンまんも始めて食べたけど、美味しかった。要は全部おいしい。さっき見た、ニューフェイスのゴマあんまんや角煮まんも今度トライしてみよう。きっと美味しいに決まっている。
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