ビリヤニを食う

「始めてーの、ビリヤニー♪」

　家路を急ぐ僕とすれ違った女の子たちが歌ってる。なんだそれ、ビリヤニ？

　振り返って耳を澄ますと確かに聞こえるビリヤニと。

　何なんだ？　ビリヤニって？　何度か聞いた事がある言葉だけど今までスルーしてた。けど、若い女の子が使ってる言葉って事は流行りの最先端、もしくはこれから流行るものなのかもしれない。家に帰ってマイやジブルに聞けば一発だけど、帰るまでにそのビリヤニなるのものが何なのか考察してみよう。

　ビリヤニ。

　その言葉を知ってるもので推察すると、まず、ビリというのは、びりっけつ、一番最下位とかそういう意味の昨今ではあまり聞かなくなった言葉だよな。ヤニというのは、場末でタバコとか言う意味だ。気性が荒い底辺冒険者とかがギルドの喫煙所に行くときに、『ヤニ吸ってくるわ』とかよく言ってるもんな。

　だから、ビリ・ヤニ。最下位だったらタバコを吸う。なんかちょっとした競争的な何かでの罰ゲームなのだろう。

『今からしりとりするよ、ビリヤニねー』

　最近の若い者の間ではこういうやり取りされてんだろう。

　んな訳ねーだろ。タバコは二十歳になってからです。

　そもそも、さっきのミドルティーンくらいのやさぐれてない純真そうな女の子がタバコをヤニとは言わないし、吸ったりしないし、吸う事に憧れはないだろう。

　

　ヤニと言えは、他には、煙がついたときにつくベタベタしたやつ、松ヤニとかそんなかんじだよな？　ビリヤニ、ビリにヤニをつける。なんのプレイだ？　やる側、やられる側になんのメリットも感じない。

　ビリッヤニ。服が破れて、ヤニを吸う？　違うよねー。

　ビリヤ・ニー。ビリヤさんのニーは膝。ビリヤさんの膝。ビリヤさんって誰だよ。

　んー、わかんねーなー。という事は、多分、ビリもヤニも関係ないんだろう。多分、どっか外国の言葉なんだろう。女の子が好きなものと言えば、服かスイーツ。けど、ビリヤニって名前の服や菓子が流行るか？　語感がなんかゲスい。だってビリでヤニなんだよ。

「んー、美味しいけど、夢中になるって程じゃないかなー」

　ビリヤニは食べ物だった。なんかスパイシーな炊き込みご飯だった。ご飯系で痺れる程美味かったものと言えば、寿司。僕の中でのキングオブご飯は寿司だ。個人的には、それに比べたらパンチは効いてるけど、最強じゃないかなって思った。

　美味しいけど、だって、ビリでヤニだよ。もっとイメージいい名前だったらもっと人気出そうだよね。

　ビリヤニって食べ物って教えてもらって、内容を知らずにどういう食べ物かと予測したら、なんかゴツいオッサンが食べてるドロドロしたものを僕は思い浮かべた。ド外れだったけど、食べるのにスプーンがいるのだけはあっていた。

　ビリヤニ美味しいよ。けど、多くて週一くらいでいいかなー。