ツインテール討伐! 前
「この依頼を受けるわよ!」
マイが掲示板から取ってきた依頼書を見せる。
『ツインテール討伐!』
ん、ツインテール?
詳細を見る前にマイは受付に手続きに行った。
今日は朝から王都の冒険者ギルドに来ている。メンバーはマイとジブルと僕。ドラゴンクエスト娘は寒さを理由に炬燵で寝てる。最近は寒くなり初めて渋い依頼しかないから、いつもより早めだ。
依頼書の掲示板の横に人だかり。各パーティーから代表が一人出て依頼の競りが行われている。職員が依頼書の内容を読み、希望者が挙手し、その希望者の中で一番ランクが低いパーティーが落札できる。その依頼を達成できないと思われるパーティーは職員に弾かれる。複数組いる時には、パーティー同士の話し合いで決まる。第三者パーティーの誰かにコインを弾いて貰って、表裏で決める事が多い。誰からも落札されなかった依頼書が掲示板に貼られる。まあ、このルールは王都の特殊ルールだが。できたのは最近で、王都のナンバーワンパーティーが弱者救済のために考えたものだと言われている。メリットを得るのが弱者という、冒険者の負けん気が強いプライドを逆に刺激するから上手く行ってるらしい。中々クレバーだと思うが、本当にこれを考えたのは王都最強パーティーと言われている『地獄の愚者』なんだろうか? ただ名前を貸してるだけなんじゃねーか? あいつらどこからどう見ても賢さとは無縁だからな。
僕は人混みはあんまり好きじゃないし、ジブルは人混みに埋もれてしまうから、うちからはマイが行ってた。そして、依頼をゲットしてきた。
「ツインテール? それって髪型だよな。女の子の。もしかして今、王都ではツインテールが禁止されていて、それしてる女の子を捕まえたら報酬を貰えたりするのか?」
それとなくジブルに聞いてみる。
「さっすが。よく知ってるわねー。今日はたくさんのツインテールの女の子を捕まえるわよ。そして、それから、ツインテール祭りよ。けど、ザップは見るだけで触っちゃダメよ」
うわ、むかつく。これは当然嘘だな。けど、ツインテール祭りは見てみたい気もする。
「で、本当はなんなんだ?」
「ザップ、ツインテールも知らないの? 百年以上生きた猫は尻尾が割れて二本になるのよ。そして、油を舐めたり喋ったりする妖怪になるのよ。マイは自分の尻尾が一本だから、それより多い尻尾を持つツインテールを目の敵にしてるのよ」
なんか投げやりに言ってる。嘘つくにしてももっとこだわれよ。
「ふざけんな。それ、ネコマタだろ。東北和国の妖怪だろ」
「ネコマタがどうしたの? もしかしてあたしの悪口?」
マイが帰ってきた。
「いや、ジブルがツインテールはネコマタだって言ってんだよ」
「二本尻尾があればツインテールでしょ。嘘は言ってないわ」
「はいはい、わかったわ。準備して行くわよ」
僕らはマイについて行く。ツインテールが何を表してるかわからずじまいだな。怪盗なのか?
なんと、今日で11月終わり……
今年もあと一ヶ月。動乱の一年でした……




