コンフェッションブース 青春編 彼女が欲しい
コンコンッ!
ノックの音がする。音が強い。これは男だろう。しょうがねーなー。
僕は今日もなんだかんだで神父をしている。シャリーは何を言っても変わってくれなかった。僕が屋敷を壊した弁償費がかなりの額になったのを知ってたみたいだ。シャリーはお金儲け大好きだからな。
「はい、どうぞ」
果たして入ってきたのは男。大柄だけど、幼く頼り甲斐無さそうな奴だ。
「あのー。神父さんって、女の子に囲まれてるけど、どうやったら僕もそうなって彼女できますか?」
あ、僕の事バレてるな。なんとも言えない質問だ。確かに女の子に囲まれてるが彼女は居ない。逆に僕がどうやったら上手く彼女ができるか聞きたいくらいだ。まあ、けど、実体験に基づいたアドバイスくらいならできるか。
「困った人がいたら助けろ。そしたらなぜか人が集まってくる。どうやったら彼女になるかは知らん。女の子を助けたら好意は持ってくれるだろう。そして告白すればいつかはいけるんじゃねーか?」
「あの、なんか、なんて言うか、彼女を作りたいって下心で人助けするって良くないんじゃないですか?」
おお、なんか青春っぽいセリフ。
「下心? 何を言ってるなんにでも下心はある。思いやりの思うという字、想像するとかの想う、恋愛の恋の字。大切な心の動きを表す文字には下に心がついてる。どんな事にも下心はあるしあってもいいって昔から人は思ってきたんだよ」
おお、なんか昔聞いた話だったけど、神父っぽい。今日の僕は冴えてるんじゃ。
「そっ、そうですね。けど、人助けすれば本当に彼女できるんですか?」
「それはお前次第だ。人を助けるのにも彼女を作るにも力が必要だ。強くなれ。まずそれからだ」
冒険者の世界は力が全てだ。雑魚い男が可愛い女の子を連れてただけで絡まれる。別に絡まれても女の子を奪われる訳では無いんだが、女の子の前で逃げたり、ボコられたりしたらだいたい愛想つかされる。冒険者の世界では彼女作る以前に女の子を食事に誘うだけでも力が必要だ。一般の世界がどうかは知らないけど、力が必要なのは確かだろう。
「強くなるにはどうすればいいんですか?」
「毎日体を鍛えろ。彼女作るためならなんでもできるだろ」
「わかりましたっ」
僕は軽くトレーニングの方法を教える。コイツは今はだらしない体型をしてるけど、これで毎日トレーニングしたら見違えるだろう。継続する事は辛い。けど、男は女の子のためならどんな事でも頑張れる。
「お前、スタイルがいい女の子好きだろ。それならスタイルよくなれ。お洒落な女の子好きだろ。それならお洒落になれ」
「はいっ。わかりましたっ。では、さっそく始めます」
意気揚々と出ていきやがった。悩んでる時って何をしたらいいかってわからない事が多いけど、シンプルに考えて何をすればいいかわかってそれを始めたらスッキリする事あるもんな。
少年、頑張って彼女作れよ。
僕も頑張ろう……
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