コンフェッションブース 7
「ったく。いつも強引ねー。自習にしてきたわよ」
ローブの幼女が入ってくる。んー、五分も経ってないぞ。早すぎだろ。また、なんか新しい魔道具でも作ったのか?
「えっ、子供?」
女の子がジブルを見つめている。
「見た目に欺されるな。そいつはアラサーだ」
ジブルが僕をギロリと睨む。
「えーっ、もしかして、ホップさんなの?」
ホップはグラスホッパーの略。大人になっても十才くらいの見た目で成長が止まる種族だ。彼女たち子供族は草原を跳ね回る姿からグラスホッパーと呼ばれている。可愛らしく陽気で基本的にはどこでも人気者だ。この街ではジブル以外見た事がない。通常ホップは放浪癖があり、行商人や旅芸人なとしてる事が多く、大都市以外ではほぼ見かけない。僕も親交があるのは彼女と王都のパムだけだ。もっとも口を開かなければ普通の子供と見分けがつかないから気付いてないだけかもしれないが。
「なによ。あんたまたナンパしてんの?」
相変わらず心が汚い幼女だ。
「おい、いつ俺がナンパなんかした? 見たことあんのか?」
「見たもなんも、今まで何人女の子拾ってきたのよ十人近いでしょ」
「拾ってきた? 十人?」
あ、夢の女の子がドン引きしてる。
「拾ってきてねーだろ。アンジュたちは後輩だし、みみずく亭の女の子たちは仕事先を紹介しただけだ。そんな事より、夢の事だよ。ほらほら、こいつこう見えても魔道都市の導師で教師だから、魔法とかその手の事ならたいてい何でも知ってるから」
「導師?」
女の子は怪訝そうな目。まあ、そうだよな。
「ジブル、骨っ」
ジブルはフードを被って下を向いて顔を上げる。
『はい、骨っ』
うん、見事なしゃれこうべだ。ジブルは、スケルトンの他にもヒドラやドラゴンに化ける芸もあるが、ここは狭すぎる。
「ヒッ」
あ、驚かせたかな。
「戻れ」
『はい、戻るっ』
下を向いて戻ると幼女。
「って、あんた私は犬じゃないのよ」
「犬は骨になんねーよ。食う側だよ」
「扱いが犬みたいって言ってんのよ」
「まあまあ、そんな事より、これで少しは信用できたか?」
僕は夢の女の子に問いかける。
「なんか、凄い人というのはわかりました。凄い魔法ですねー」
「ならいいか、じゃ、俺から説明する」
僕は女の子にまた説明させるのは、また泣いたりとかなりそうだから、簡単にジブルに説明する。
「んー、厄介ねー」
ジブルは腕を組んで目を瞑り考え込む。
僕らはカーテンを上げ、テーブルを囲んでいる。外に繋がる扉にかかってる『告解中』と書いたプレートを『準備中』に変えたから、もう悩み相談はこないはず。
「アナベルちゃんには魔のアストラル体の残滓が纏わり付いてるわ」
アナベルとは夢少女の名前だ。
「なんだそれ?」
「んー、精神体、実体をもたない魔物の残り香って言えばわかりやすいかなー」
げっ、ここは神殿なのに呪われてるのか? その手の魔物は僕の天敵だ。なんでこんなに苦手なものばかり続くんだ?
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