コンフェッションブース 5
「お静かに。それでは、なっ、なにから始めましょう?」
「学校についてきて、私がボランティアしてたって事を証言してください」
え……
ボランティア??
今のもしかしてボランティアだったの? そうだよ、こんな官能小説のような出来事、発生するわけないよな。恋愛シチュに飢えている僕を楽しませてくれたってわけ? もしかして、お金が発生するの?
ん、学校?
「神父さん、はやく行きますよー」
また、手を握られる。
「へ、どゆこと?」
あ、声がチェンジった。
「卒業したいって言ってるじゃないですかぁ。出席日数が足りないんですよー」
えっ……
ガチ卒業?
て事は、僕が勘違いしてたって事? そーだよね。うん、卒業だよね。って、この娘、みんなは卒業したって事はどんだけ出席日数が足りてないんだ? もしかして、彼女の通ってる学校はミッション系でボランティアが出席になったりするのか? けど、それ、詐欺だよね?
「それはダメです。出席日数が足りないのなら、出席しましょう」
「ええーっ。協力してくれるって言ったじゃないですかぁ」
「嘘はダメです」
「嘘じゃないですよ。ホラホラ、今、私、ボランティアしてますよねー。神父さんの懺悔のお仕事のお手伝い」
「仕事増やしてますけどね」
「だからぁ、何も言わなくて頷いてるだけでいいですからー」
「騙してるのと一緒ですよね。ダメです。大人しく通いなさい」
「嘘つき!」
「嘘ついてませーん。できる事ならっていいましたー」
「けーち!」
「ケチで結構」
「ばーか!」
「はーい。ばかでーす」
「加齢臭ヤバっ!」
「おっさんちゃうわ。まだ若いわ。加齢臭なんぞせんわ」
「怒った? 怒った? ごめんごめん。うそ。しないよ加齢臭なんか。なんかねー、話してすっきりしたわ。うん、諦めて通うわよ。旅行に行ってたんだからしょうがないし。じゃ、ありがとうおじさん」
「おっさんちゃうわ。ったく。なんか悩んだらまた来いよ」
「はーい」
女の子は出て行った。ドキドキしっぱなしで心臓に悪いよ。けど、涙ぐんでたって事は、本当に悩んでたんだろな。一人だけ卒業できないって孤立してるのかもしれない。話を聞いてあげるだけでも何らか人の助けになるのかもな。
コンコン。
え、まだあるのかよ。なんかどっと疲れたわ。
コンコン。
控え目なノック。女の子、女の子に違いない。
「どうぞ」
入って来たのは女の子。やった! 何が悲しくてヤローの悩みなんか聞かにゃあかんのだ。悩む暇あるなら、素振りでもしろ! しかも黒髪ボブで大人しそうな女の子。うちは元気な娘ばっかだから、新鮮だな。ん、座んないのか?
「どうぞ、腰掛けてください」
「はい……」
僕が言うまで待ってたのか。おお、健気ポイント高い。
女の子は座る。座るなり何も言わず滂沱の涙。
「助けて……助けてください。このままでは……」
助けてだと。やった。これは間違いなく討伐系だ。やっと僕の得意分野がきた!
「いつものお姉さんが、今日なら、力になれる人がくるって……」
まじか。シャリー、今日、僕を絶対にここに向かわせる予定だったのか。けど、悪くない。困ってる人を助けてこその冒険者だ。
「はい。私でよければなりますよ。力に」
女の子の顔がぱあっと明るくなる。やっと僕の本領を発揮できそうだ、
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