表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2140/2176

 コンフェッションブース 2

挿絵(By みてみん)


「ほう、素晴らしい癒しの力、さすがですなぁ」


 髭面のおっさんが顎を撫でながら言う。役職は聞いたけど、激しい横文字だから忘れてしまった。偉い人というのは確かだ。

 シャリーからの紹介状を持って神殿にきた。紹介状を準備してた時点で確信犯だよな。あらかじめ誰かに懺悔をなすりつけるつもりだったんだろう。やっぱ腹痛仮病だろ。

 受付のおっさんにナビられて、偉いおっさんのとこに連れて行かれた。なんか信仰心のテストという事で、治療室に連れて行かれ、来ていた農作業で事故って切り傷をこしらえたおっさんを癒す事になった。いつものように収納からエリクサーを出してぶっかけてやったら即回復。怪我したおっさんに感謝されつつ、偉いおっさんに褒められてる。

 どうでもいいけど、おっさんしかいねー。こりゃシャリーも逃げるわ。僕ももう逃げたい。


「では、さっそくですがお願いしますぞ」


「え、これだけでいいんですか?」


「それだけの癒しが使えるって事は信仰心は十分です」


 癒せって言われたからやったけど、神聖魔法の奇跡と勘違いしてないか? この人偉い神官のはずなのに。


「これ、魔法じゃないんですけど」


「そうなのですか? ですが、傷ついた者を癒せるという事自体が聖なる事。体を癒せる者は心も癒せます。問題ありませんぞ」


 なんか適当な事言われてるような気もするが、さすが聖職者、なぞの説得力がある。この人の方が懺悔向きなんじゃ?


「そうですね。ですが、私より神官様の方が適任なのでは?」


「私は他の曜日の数日は受け持ってますが、火曜日は説教の日、どうしても代理が必要なのですよ」 


 説教の日? やな日だな。


「説教って、誰かを叱るのですか?」


「その説教とは違いますよ。神の教えを読み解き日常生活に落とし込んで話し、実践できるように広める事ですよ。例えば、今日の主題は『なぜ盗みはいけないか』それについて神の見解を交え考察します」


 んー、おっさんが延々と話し続けるって事か。僕が聞いたら寝てしまうやつだな。て言うか、もう話すの飽きてきた。このおっさん、話しなげーよ。忙しいんじゃないのか? これなら、懺悔聞く方がマシだろう。

 偉いおっさんと分かれてコンフェッションブースへと向かう。あー、なんで僕が他人の懺悔なんかせにゃあかんのだろ。僕自身が悩みまみれなのに。

 そこは小部屋で窓は無く僕が入って来た入り口の扉の対面に扉がある。そこから悩める子羊が入ってくるのだろう。真ん中には机があり僕と子羊の椅子がある。部屋は机の上に黒っぽいカーテンが引いてあり、向こうの机の上に燭台があり唯一の光源だ。カーテンをくぐったりして確かめると、向こうからは僕が見えなく、僕からはあっちがはっきり見える。なんか覗きみたいな変な感じだな。

 そして、僕が腰掛けしばらくするとドアがノックされる。


「どうぞ」


 入って来たのは若い女性。質素な格好薄化粧だけど可愛い。やった。おっさん卒業だ。


「神父様、私の悩みを聞いてください」


 若い可愛い女の子の悩みなら何でも聞いて解決するよ。ストーカーとか好物だ。


「任せてください。なんでも解決してみせますよ」


 ザップ・グッドフェローの名にかけて。この娘の悩みをぶっとばしてやる!


「私は先日子供を産んだのですが、それで忙しくて疲れていて、夜の営みはムリなんです。けど、夫は毎日求めてきて、断ってたら外に若い女を作って、たまに帰って来ない日があるんですうううううっ」


 女の子、いやヤンママは泣き崩れる。いきなり最重量の爆弾かよ。これはムリムリムリ。僕のキャパを天元突破しまくってる……

 当然『岸辺露伴は動かない 懺悔室』は、劇場で見ましたっ! オマージュですっ! まあ、ですが、こっちはただの人生相談ですけど^_^;

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
 下から集英社のオフィシャルサイトに移動できます。よろしくお願いします。
最強の荷物持ちの追放からはじまるハーレムライフ ~
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ