ちゃれんじゃー 終わり
「きゃっ!」
可愛いらしい声をあげ、地面を転がる女性。ジェニファーだ。ジェニファー、喋った! けど、そんなヌルヌルなドロップキック、顔に枯れ葉が当たったのと変わらない。
「かったー! 何それ反則でしょ」
あ、折れてるね足。とりあえず、エリクサーぶっかけとく。ジェニファーはヨロヨロと立ち上がる。
「負け、負け、降参だわ。抵抗しないから好きにして」
好きにしてもなにも、なにもしないよ。けど、ジェニファーバイクには少し乗ってみたかった。人目が無いとこで。
「凄いわね。油断してるように見せるなんて。あり得ない程強力な結界ね。私のメテオキックはドラゴンも一撃なのに」
油断しまくってたって。その生足裏、モロに顔に当たってたよね。結界なんかないし。欲しい。ドラゴンも一撃って、あんなデリケートな生き物と一緒にしないで欲しい。
「さすがだわ。それでいつ気付いたの? あれがゴーレムで私が本体だって」
そうなのか! ジェニファーが本体だったのか? 国で一番のセクシー女優の型を取ったっていうのは嘘だったのか?
「そんなの最初っから気がついてたのだ」
リナが胸を反らしてドヤってる。
「そもそも、女にまたがる変態が出てきて、マイがどつかなかった時点で、お前が本体だろ」
人任せか。うん、そうだ。いつものマイなら、男を半殺しにするはずだ。まあ、確かに僕もリナも察知系は鈍いからな。ジェニファーは自分に認識阻害系の魔法でもかけてたんだろう。けど、乱暴な理論だな。一言もの申す。
「おいおい、あの兄ちゃんが本物だったらどうしたんだよ」
「その時は、ザップが治療してくれただろ」
結果的には問題なかったけど、頭から真っ二つなやつにエリクサーは効くのだろうか?
ジェニファーがリナをジロジロ見る。
「それにしても、あなたも凄いわね。ネビュラの集積爆発に巻き込まれて無傷ってどうなってるの? あーあ、ザップを爆殺しようと思ってたのに」
ん、僕を狙ってたのか?
「気合いだ。気合いでなんとかなるっ」
んな訳ねーだろ。まあ、ステータス的なもんだろう。もしかして、試したくないけど、僕もあれで燃えないのか?
リナがジェニファーの前に立つ。
「とにかく、お前の負けだ。修行して出直してこい。けど、新記録だ。ザップと戦って一秒未満でやられたのはお前が初めてだ。どんな奴でも様子見で五秒はもつからな」
なんでリナが仕切ってるんだ。乗りたかったのに……
ブックメーカーでは、万券、百倍の高額配当が出たみたいで騒ぎになってる。
「フフフッ。やーな新記録ね。分かったわ。私も迷宮にでも潜ってもっと強くなるわ」
ジェニファーはそう言い残し、猫たゃんバイクに乗って去って行った。
猫ちゃん……
「ザップ、素振りの続きをするぞ」
「なんか、疲れたよ」
そして、僕らは素振りをする。まだ見ぬ新たな挑戦者の事を考え胸を躍らせながら。ふつーの人がいいな……
ちゃれんじゃー えんど
読んでいただきありがとうございます。
みやびからのお願いです。「面白かった」「続きが気になる」などと思っていただけたら、広告の下の☆☆☆☆☆の評価や、ブックマークの登録をお願いします。
とっても執筆の励みになりますので、よろしくお願いします。




