3番迷宮
「じゃ、ルールを教えてくれ」
僕は階段の前で見た目幼女の導師ジブルに尋ねる。
「いいわよ、一応ルールは貼ってあるけど、ザップってそういうの読まないでしょ。何かわかんないとこあったら質問して」
僕らは導師ジブルと魔道都市が作ったアトラクションダンジョンのテストに来てる。名前は『3番迷宮』。そう、モロにパクりだ。しかも大流行中にやったら叩かれるかもということで、少しブームが下火なとこで投入するのが嫌らしい。大まかなルールは知ってるが、さすがに少しはいじってるだろうから確認しとく。
ジブルの説明によると、通路のどこかに【異変】があれば引き返し、なければそのまま前に進む。天井に【0番】と書いたプレートがあり、正解したら【1番】【2番】と数が進み、そして【3番】で正解したら出る事が出来る。正しければ【3番】に近づき、見落とすと【0番】に戻る。次々と現れる思いもよらないような異変を見つけ、どれだけの時間で無限ループから抜け出すことができるのか?
「おい、ちょっとまて」
「なによ」
「まんまじゃねーか。少しはオリジナリティ出せよ。お前ら世界に名だたる頭脳派集団って言ってたよな?」
「なによ、頭脳と創作は直結しないのよ。けど、まんまじゃないわよ。ほら、原作ではオッサンが歩いてくるでしょ。けどこのアトラクションでは、追加料金で歩いてくる人選べるのよ。下着のような水着をつけたギャルとか、日に焼けた細マッチョのサーファーとかにも変えられるのよ」
追加料金って。セコいなー。どうでもいいけど、なんかコイツの言葉のセンスってオッサンみたいだなー。なんかギャルとかサーファーとか久しぶりに聞いた気がする。
「まあ、今回は特別に猫耳わがままボディ女子学生にしといたわよ」
ジブルは僕の好みをなんか誤解してるみたいだけど、猫耳わがままボディ……見てみたい気もする。
「じゃ、とりあえず行ってみるか」
「タイムは測ってるから、レコード出したら、なんかご褒美あげるわよ」
僕は手を片手をあげて、階段を降りる。
◇◇◇◇◇
「楽勝だったぜ」
「え、嘘っ、五分? なんで?」
「ただ全力で逆走しただけだ。運良く異変アリを連続で引けたみたいだなー」
「あ、設定では75%異変アリにしてるから、そういうこともあり得るのね。てか、あんた。ちゃんと間違い探しを楽しみなさいよ。ん、ザップが全力で逆走して五分は逆に長いような?」
「そりゃ、一回くらいは異変を楽しまないとな」
水着の猫耳ちゃんをガン見してたとは言えない。
「一回目で違いがわかるわけないでしょ。比べるものないでしょ。マイに言うわよ」
げっ、バレてるわ。
まあ、それから数回のテストで微調整していった。ガチでやったら、まじで無限ループしかけた。人間の記憶や観察力って意外に大した事ないもんなんだな。
なんだかんだで楽しかったし、リリース後は沢山の来場があったそうだ。
読んでいただきありがとうございます。
みやびからのお願いです。「面白かった」「続きが気になる」などと思っていただけたら、広告の下の☆☆☆☆☆の評価や、ブックマークの登録をお願いします。
とっても執筆の励みになりますので、よろしくお願いします。




