ザップ・グッドフェローの憂鬱 4
「それでは、そこに座ってください」
僕は受付で対応してくれたお姉さんに促されて椅子にすわる。なんだこりゃ、めっちゃ座り心地良いじゃん。
ここは、ジブルの紹介で訪れた歯医者さん。想像してたのと全く違う。
前に冒険者仲間のパムの歯医者さん体験談を思い出す。彼は石造りで鉄格子がはまったまるで留置場みたいなとこに厳ついゴーレムに連行されて、頑強な魔法金属でできた枷で硬い椅子に固定され、目隠しされ、口が閉じなくなる金属の器具で口をこじ開けられながら、ハンマーやノミ、それとドリルで治療されたと言っていた。そのドリルの振動は脳まで響き、しばらくその幻聴が聞こえてたそうだ。僕の歯医者さんのイメージはそんな感じだった。けど、よく思い出すと、パムは幾つもの歯医者さんをクビになったとか言ってたな。何やったら歯医者さんを追放されるんだろう。十中八九セクハラだと思う。多分、パムが行った歯医者さんは冒険者用の特別なやつだったんだろう。
ここは、白を基調としたなんて言うか、ホテルのラウンジのような感じで謎の機材に挟まれた椅子がいくつか並んでいる。椅子の間には動かせるパーテーションがあり、座ってる人同士の顔が見えないようになっている。座った僕に「失礼します」って言って白衣の女性がお洒落なよだれかけみたいなのをつけてくれる。距離が近いし、綺麗な女性だし胸が当たりそうになった。僕の記憶の限り、他人によだれかけを着けてもらうのは初めてだ。
歯医者、いいんじゃね……
そして、先生がやってくる。目には飛び出した眼鏡をしてて、なんて言うか、機械整備士みたいだ。かっこいい。飛行艇とか時計とかいじってそうだ。って歯医者さんだって。
「今日はどこが痛みますか?」
「あ、右の上の奥歯です」
椅子が倒れて、顔にライトが当てられて、口を開けて先生に見てもらう。そしてうがいして先生が説明してくれる。
「痛みと言っても浸みるような感じでしょう。歯石でできた穴に小骨が詰まってたので取りました。あとは歯石を取ったら問題ないと思います」
小骨? 思いあたる節がある。数日前アンと、秋だからという事で、サンマの塩焼きを丸かじりしまくったな。若干生焼けっぽいのがあったから、あの時刺さったのか。
「それでは、歯石をとりますね」
ん、女性の声? 振り返ると先生と綺麗なお姉さんがスイッチしてる。そうか、先生が全部する訳ないもんな。重要なとこだけ先生がして、助手さんができる事は任せるんだな。
ん、という事は、この綺麗なお姉さんが僕の口をいじくり回す訳? なんかはずいな。そりゃ綺麗なお姉さんは好きだよ。けど、口に手を突っ込まれるのは先生みたいなイケオジの方が望ましいな。けど、ここには数人の看護師さんがいるけど、先生以外みんな女性だよ。もしかして歯医者さんってハーレムなのか? 最強の歯医者さんのハーレムライフ?
発売まで、あと、三日!!
小説になろうの「書報」と「お便りコーナー」に送りました。掲載楽しみです。
なんとここだけの話ですが、書籍のイラストには、アンちゃんの〇〇〇が!! 『鍋島テツヒロ』先生の美麗極まりないイラストでアンちゃんが限界に挑んでます。とは言ってもちゃんと隠してはいますよ(^_^)




