言霊使い本体?
出版予定の『最強の荷物持ち』の書籍をご予約いただいた方、本当に心からありがとうごさいます。
「『言霊つかい』出てこい」
カナンはそう言うと、口を両手で塞ぐ。ん、何言ってんだ?
僕とカナンの間に大きな人物が現れる。真っ白な髪をツインテールに結び、まるで丸太のような手足。全身黒尽くめ忍者スタイルで、顔は曝している。深い皺がたくさん刻まれた顔。胸
は膨らんでるが、大胸筋なのか、乳房なのかわからない。
「カナン、お前とザップ以外を収納にしまえ」
しゃがれたけど高い声。という事はBBAか。言霊使いってババアだったのか。
「わかりました」
口を押さえたままモゴモゴ不明瞭にカナンが言う。まずい、僕はハンマーを出して言霊使いに殴りかかる。
「ザップ、止まれ」
「くっ」
足が動かなくなる。軽く見渡すが、カナンとジブルとディアシー以外はいない。カナンの収納に入ったのか? ディアシーが言霊使いとカナンの間に飛び込む。
「カナン、お前とザップ以外を収納に入れろ」
キィーン!
涼やかな音がして、ディアシーと言霊使いの間に透明な盾が現れる。なんと、ディアシーの能力は、言霊使いの力も防げるのか?
『言霊使い、いやヤコトヌシの巫女』
いつの間にかスケルトンに返信したジブルが言霊使いに近づいていく。ヤコトヌシノミコってなんだ?
「導師ジブル。去れ」
『ごっめんねー。去れないのよ。知らなくて当然ね。和国にはあんまりスケルトンっていないんでしょ。スケルトンって心が無いから、その手の精神攻撃系には無敵なのよ』
「なら滅びよ」
言霊使いは言うなりジブルに拳を振り下ろす。ハンマーのようなそれは一撃でジブルをバラバラにする。
『残念ね痛くも痒くもないわよ。私を滅ぼしたいって思うなら、粉々にして山から撒くくらいしないと無理よ。それより、あんた知性ってものはあるんでしょ。まずは話し合うべきじゃない? もしかしたら歩み寄れるかもしれないでしょ』
骨片の山が喋るというのはシュールだけど、これは魔法、空気を直接振るわして声にしてるそうだ。
「よかろう。少しくらいは話をしてやろう」
ババア、態度でけぇな。言霊使いは、無警戒に背中を向けるとテーブルに近づき椅子を引いて座る。さっきアンたちが座ってたやつだ。
カラカラカラカラ。
軽快な音を立てて、ジブルの骨片が浮き上がり元通りのスケルトンに戻る。そして、その手にコーヒーカップとポットが現れて、コーヒーを注ぎ言霊使いの前に置く。なんかデジャヴだな。
「さすが導師。気が効くな」
『ザップもカナンもディー座りなさいよ』
ディーとはディアシーの事だろう。
「僕は遠慮しとくよ」
カナンはディアシーの後に隠れたままだ。まあ、普通は警戒態勢するよな。ジブルが椅子を引くその前には僕の分のコーヒーもある。まあ、立て続けに色々起こってるから、考えを纏めるためにコーヒーでも飲むのは悪くない。、ジブルは座んないみたいだな。
まさか、言霊使いの本体っぽいのとまずは一緒に寛ぐ事になるとは。僕がコーヒーに口を付けたのを見てから言霊使いも飲む。それにしてもスパイシーな味のコーヒーだな。もしかして!
「フッ、導師ジブル。ふざけた歓待だな。この味はドラゴンスリーパーか。なかなか珍しい毒を選んだもんだな。だが残念ながら、その毒はちょ、超越、つ、つ、つ、つつっ。グッ……クボォ」
言霊使いはなんか言いながら白目を剥いてテーブルに突っ伏す。
「魔道都市を舐めるんじゃないわよ。日々、毒の世界は進歩してるのよ!」
何ドヤってやがる。犯罪都市に、魔道都市が毒で勝ってどうすんだよ。魔道都市の方が危険な街なんじゃ?
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