初代と三代目 2
「ザップさん、待って待ってくださーーい!」
パムが僕とカナンと呼ばれた女の子の間に割って入る。
「ザップさん、やる気でしょ。待ってください。平和に、平和にいきましょうよ」
パムがこんなに焦ってるのは珍しい。いつもふてぶてしいのに。けど、やるってなにをだ? さすがにいきなり戦ったりはしねーよ。けど、カナンに緊張が走ったのがわかる。すぐに動けるように重心が下がった。
「ちょっと待てよ。なにもする気はない。それより、さっきの人たちは?」
パムに見た事がない女の子たちが追い着いてくる。スタイルがいい盗賊のような格好をした女の子と、動き易そうな服を着たダークエルフと、小柄で全身真っ白な服を着た角が生えた少女だ。嫌な予感がする。確かに角に似たカチューシャを付けてる人もいるが、普通はコスプレの会場でしか見ない。という事は自前の角。ねじくれた見た事が無い角がついてる奴はだいたい古竜だ。古竜って伝説の種族のはずなのに、石ころみたいにゴロゴロいやがるな。
さっきまで暴れていたドラゴン二匹が人間スタイルになってやってくる。白い少女がアンに向かって突進する。
「アイローンボー覚悟っ!」
白い少女が微塵の躊躇いも羞恥心もないドロップキックをアンに放つ。カボチャパンツ見えとるよ。
「誰だ! お前?」
アンはかわす。白少女は華麗に着地する。くつ履いてないな、コイツは古竜確定だな。
「ディアシー! 覚悟っ!」
うちの二匹目のドラゴン娘が、着地した白少女にドラゴンキックを放つ。古竜の世界ではドロップキックが流行ってるのか?
キィーーン!
ガラスの風鈴を強く叩いたような音がして、カプが弾かれる。ガラスの盾なのか? 透明な盾がカプのキックを防いだ。
「答えろ! お前は何者だ!」
アンが声を荒げる。という事はアンは白少女を格下と判断したって訳か。アンは自分より弱い者には高圧的だからな。
「忘れたとは言わせんぞ、ワシはディアシー! 金剛の盾の権能を持つ最強の古竜の一角。今まで受けた数々の屈辱、今ここで晴らしてくれるわ」
白少女、やっぱ古竜か。ディアシーって名前なのか? 聞いた事ないな。
「ディアシー? 知らんな。私はどうでもいい事は忘れてしまったんだよ」
そう言ってるけど、アンはどうでも良くない事も忘れてるよな。
アンとディアシーの間にカプが割り込む。
「ディアシー! その前に私と雌雄を決するぞ! どちらの権能がより強いか、今こそ決着をつけてやる!」
「ほほう。カス古竜のカプカプのくせに。ワシと矛を交えようとは百年早いわ」
「問答無用! かかってこい!」
カプ、いかないんだ。待つんだ。締まらないなー。まあ、カウンター主体の先頭スタイルだからしょうがないか。けど、コイツらってみんな顔を突き合わす度に喧嘩するなー。そういう種族なのか? 軍鶏や闘犬かよ。しゃーねーなー。僕はテーブルと椅子三つを収納から出してテーブルに担々麺を並べる。
「喧嘩してねーで食え」
「え、いいのか?」
ディアシーは尋ねてくるが、他の二匹は問答無用に食べ始めてる。ディアシーもアンとカプの間の椅子に座って食べ始める。
「マイ、あいつらに好きなだけ喰わせてやってくれ」
「はいはーい」
これで、やっと会話できるな。あいつらがドラゴンになって暴れたりしたら話どころじゃなくなるもんな。
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