護衛の護衛 29
新作に力入れてまして、こちらはたまに更新できない日もあると思います。よろしくお願いしますm(_ _)m
「じゃあ、また機会があったら雇ってくれよ」
王都に無事帰り、依頼人の店まで行き、バーナードたちは商人から受け取った報酬から僕に取り分を渡してくれる。荷物持ちはギルドを介してないからここでお別れだ。
ゼイリスが僕の背中をバンバン叩く。
「オッサン、なんだかんだで助かったよ。けど、うぜーから、二度と雇わねーよ」
相変わらずツンデレだな。距離感近すぎだろ。僕の裾がクイクイされる。メイだ。
「私もアンタは二度とごめんだわ。説教くさいの直さないと彼女出来ないわよ」
コイツも距離近いよ。目の前に腰に手を当ててアイリスが立つ。
「ほら、また胸チラ見した。そんなのじゃ、お家の猫ちゃんにも嫌われるわよ」
そう言えば、コイツら、マイを猫ちゃんだと思ってるんだよな。いや、見ちゃうだろ。あんなん見せられたら、意識しちまうよ。
「もう、さっきの事まだ思い出してるのね。貴族の女子が肌を見せていいのは、その良人か家人だけなのよ。ザザは私の家人だからね」
んー、いつの間にか僕はアイリスの従者になってたのか?
「バーナードとゼイリスは?」
「家族のようなものだからいいの」
「じゃ、逆に従者ならいつでも見放題って事か。従者いいな」
「バカッ。首、ザザは従者クビよ」
「冗談だよ。仕事無くなったら、お前んちで厄介になるよ」
「んー、どうしょっかなー」
もう帰りたいのに、なんか絡んでくるな。
「じゃあな」
僕の前にバーナードが立ち塞がる。
「なぁ、ザザさん。来週、近くに薬草狩りに行くんだが、一緒に行ってくれないか?」
「おいおい、薬草狩りに荷物持ち連れてく奴なんて居ないぞ。儲かんないからな」
「ザザさんの依頼料は別途に俺たちが出すからよ」
バーナードだけじゃなく、みんな僕を見ている。
「ゼイリスとメイはやなんだろ」
もしかして、絡んできてたのは、僕をまた雇いたいって言いたかったのか? コイツら不器用過ぎるだろ。
「いや、オッサンがついてくる分には構わねーよ」
「ザザは荷物持ちとしては役立つから……」
「そっか、薬草狩りに荷物持ちとして来て欲しいのか。けど、そしたら、また赤字冒険だろ」
バーナードが顔をふせる。
「そうなるな」
「悪いが、それは引き受けられないな」
「そうだよな」
空気が少ししんみりする。分かり易い奴らだ。
「だが、荷物持ちじゃなくて、パーティーメンバーでよければ手伝うぞ」
「「ええっ」」
「ありがとう、ザザさん」
バーナードが両手で僕の右手を包む。気持ち悪いから止めなさい。
「にゃーお」
ん、僕の後ろから声がする。振り返るとマイ。
「こんにちわ。ザザのペットの猫ちゃんです。聞いてたわよ。もう、お人好しなんだから、ザザはあなた達とは冒険に行きません。百年早いわ。あたしがアンタたちを鍛えたげるわ」
「なぁ、なぁ、あれって」
ゼイリスがメイに耳打ちする。
「『首狩り』、『首狩り』よ……」
「という事は……」
アイリスがまん丸の目で僕をみている。これはバレたな。
「じゃあなー!」
僕は逃げる。んー、ポルトからは報酬貰えるのだろうか?
護衛の護衛 終わり
新作始めました。
「秘めたるスキルで異世界冒険」です。毎日投稿予定です。下のリンクからちょっと覗いて見て下さいm(_ _)m
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