ワープポータル (4)
朝から晩まで仕事で、昼の休憩時間しか時間が無いです(T_T)
「じゃ、俺はちょっと体を鍛えている、高性能な収納スキルを持った荷物持ちだ」
苦しいけど、言い直してみる。
「ほう、そうか、お前、荷物持ちしながら、ジムで鍛えでもしてるのか?」
「もしかして、経時劣化しない収納スキルをもってるの?」
んー、なんとか誤魔化せたのか? 意外にチョロいな。まあ、けど、なんか二人の警戒心がかなり解けた気がする。
「それで、あんた達は何者なんだ?」
言いながら、冷たい水が入った水差しとグラスを出して床に置く。机と椅子も出そうかと思ったけど、そこまですると僕の収納がハンパ無いのがバレそうだから止めておく。彼女たちは当然のように水を飲み、冷えてる事に喜びながら、僕の質問にサラサラ答えてくれた。
戦士の女の子は会話で知ってたけど、名前はチェルシー。やはり魔法を幾つか使える魔法戦士と言っていた。
魔法使いの方はアマンダ。炎と風の魔法と回復魔法を幾つか使えるそうだ。
二人は聖教国から来た冒険者で、まだ王国に来て一月も経って無いそうだ。そして、王都で僕らが今居る『七曲がりの迷宮』の探索の依頼を受けて、僕同様に宝箱に仕掛けられたワープポータルの罠でここに転送されたそうだ。体感時間では約三日はここに閉じ込められていて、ちょうど水も食料も切れ、八方塞がりで困ってたとこに僕が現れたそうだ。僕は、優秀なパーティーの荷物持ちをしてたと話し、罠解除を若干かじってるから、宝箱を空けてここに飛ばされたと説明した。そうこう話してるうちに少しは打ち解けて、二人は飯代として、一人銀貨2枚づつ僕に差し出して来た。困った時はお互い様って突っぱねたけど、頑として受け取らないから貰っとく事にした。
「ねぇ、もしかして、まだ食べ物持ってるの? もし、余裕があるならまだ売ってくれない?」
アマンダが銀貨2枚差し出す。あと二杯、担々麺食べる気なのか? 見たとこ瘠せてるのに大食いなのか?
「ああ、いいけど」
僕は担々麺を二杯出す。
「私は三杯、貰ってもいいか?」
チェルシーは銀貨3枚出す。僕は担々麺を三杯出してやる。こいつも瘠せてるのにそんなに食えるのか?
「美味しいわねー」
「この辛さがたまらん」
二人は一心不乱に担々麺を食べる。なんか見ててお腹減ったから、僕も担々麺を二杯食した。当然、冷たい水をサービスで出してやる。二人とも汁まで飲んでの完食だ。見るからに少しお腹がぽっこりしている。まあ、迷宮相場ってのもあるけど、儲かってるから問題ない。それに、担々麺は残り91杯もある。
そして、僕らは辛さで汗だくになって、しばらくゆっくり雑談に興じた。閉じ止められた事は、しばらく考えない事にした。まあ、収納スキルを使えばなんとかなるだろうし、時間が経ったらマイ達がなんとかしてくれるかもしれない。




