海魔王
「アドバンスド・ゴールデン・アルティメット・ダークロードカノン!」
金髪ツインテで金色ビキニの少女の手から金色のエネルギーの束が放たれる。それは海を割りながら進み、数百年メートル飛沫を上げながら進み消滅する。金、金、金、照り返しで目が痛い。サングラスしてて良かった。僕はビーチでパラソルの下、ビーチチェアに寝転んで、極薄ブラッディーマリーで口を湿らせてる。隣ではパラソルを挟んでマイがチェアにうつ伏せで寝息を立てている。
「で、お前は海に向かって何してるんだ?」
サングラスで視線は察知されないので、リナをジロジロ観察する。スラッとした手足、色白な肌、大きくは無いけど、小さくは無い胸。正直可愛い。ビーチだと普通に接する事は出来るが、コイツ、季節関係無く、どこだろうがこの格好だもんな。
「試し打ちだ。どうだ、前より威力が上がっただろ」
「そうだな。そうかもしれんが、お前可哀想だと思わんのか? お前が蒸発させた海の水の中には、魚も居ただろうし、クラゲとか海の幸生き物も居たんじゃないか?」
「大丈夫だ。アドバンスドだから」
「アドバンスド?」
そう言えば長ったらしい技名が更に長くなってたな。
「そう、アドバンスド」
「だから、なんだよそのアドバンスドって?」
「ザップ、アドバンスドも知らんのか? もっと本を読め本を」
少しイラッとする。間違いなくコイツよりは僕の方が本読んでるよ。知識と教養がある乙女が人前でずっとビキニなはずがない。
「しょうが無いな、アドバンスドって言うのは、進化したとか、凄いとかそう言う感じの意味だ。お前も私に勝てたらアドバンスドザップって名乗っていいぞ」
んー、なんか会話から教養をみじんこも感じ無い。お前が読め本を! アドバンスドザップ、なげーし、だっせーよ。
「それは遠慮しとく。あと、勝負も無しだ。せっかくの綺麗な砂浜を台無しにしたくない。で、アドバンスドは分かったが、さっきのどこがアドバンスドなのか?」
「よくぞ聞いてくれた。妾はエネルギーを変換する事が出来るようになって、対物の魔王砲を放てるようになったんだ。今のはそれで、ほら、見てみろ、海に魚が浮かんでるだろ」
よく見ると、海のリナの砲が通ったあとに白いキラキラしたものが浮いている。魚の腹?
「破壊するのは無生物だけで、生き物はショックで気絶するだけだ。これで、お前も妾と心置きなく戦えるだろ」
ん、という事は、アレを食らったら、僕は裸で気絶するって事か……
「お前の『世界魔法』に対抗して妾も努力したんだ」
「努力せんでいいっ! 余計お前とは戦いたく無いわ」
僕の『世界魔法』『原始の世界』は自分と自分を覆った光に触れた無生物を塩に変えると言うピーキー過ぎるものだ。要は使うと裸で塩まみれになる。役に立ちはしない。それを真似るなよ。いや、砲として放てるだけ、より有害だろう。
「よしっ。では、やるぞ。レベルアップした妾の力、見せてやる」
「レベルアップしたのはよく分かった。俺じゃお前に太刀打ち出来ない。リナ様、最強。間違いなく最強魔王っす」
「そうかー? でも少しだけやろうよ」
「だから、嫌だって。あ、そうだ。マイに勝ったら戦ってやる」
「嫌よスケベ」
ググッ、マイ狸寝入りだったのか?
それからなんとかしつこいリナをなだめて、穏やかなお昼寝を楽しんだ。裸で気絶は嫌だ。
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