海での最優パーティー 16
「もう、ここは百年近く訪れる者も無かったそうだ」
レリーフが口を開く。
「お前、まだ、ここの所有者と話してるのか?」
デュパンが突っ込む。
「ああ、私は別に話したくは無いんだが、ベラベラベラベラうるさいんだよ。この悪霊。まあ、ざっくり言うと、最近までここは稼働してたが、今は魔力切れで動かない。その正面のモニターってもので対象を決めて、生物を巨大化させることが出来る。ドローンという、カメラを積んだ小型の飛行魔道具で洞窟の外の生き物も巨大化出来たけど、今は故障してる。広間のカメラも壊れてるので、今は魔力を補充してもこの部屋でしか巨大化はできないそうだ。魔石をそこの穴に入れると、あとは人工精霊が色々教えてくれるそうだ。っておい、成仏するなっ!」
レリーフが虚空に手を伸ばす。話してた悪霊が居なくなったのか? けど、なんて言うか、悪霊と話してるのって、1人芝居みたいで、あんまり見目が良くないな。
「くそっ、いっちまった。筋肉だけデカくする方法を知りたかったのだが。軟弱者がっ」
なんかレリーフが憤ってる。そんなん知るか。
そして、僕らは部屋を漁り、ここに有るのは古文書と、魔法装置と、ガラクタに見える魔道具。僕らでは価値が分からないものばかりだし、魔石なんか持って無いので、あとは導師ジブルに丸投げする事にした。まあ、ジブルは身内からはぼったくらないから、これってかなりの稼ぎになるんじゃないだろうか? そして、僕らは帰路につく。
「すみません、オイラ、ちょっと用事があって。バーベキューは手伝いますから」
パムが帰り道、いきなりはしりさる。
「ごめんなさい、ザパンさん。この後、用事があって、すぐ戻ってくるこら」
「ああ」
ジニーもダッシュでどっか行った。
「あいつらに用事なんか無いよな。特にジニーがザパンさんより優先させる事ってなんだろな」
デュパンが呟く。そうだよな。食い意地が張ってるあの2人が優先させるような用事? そもそも用事が有るなら、狩りについて来なかったはず。
「まあ、とっとと帰りましょう」
レリーフに促されるが、なんか頭に引っかかる。しばらく歩いて、思いつく。
巨大化の魔法装置!
パムは常々、大きくなりたいって言ってた。ジニーはもう少し胸が大っきかったらいいなとか言ってたな。もしかして!
「おい、アイツら、魔石を手に入れて勝手に起動してるんじゃないか?」
「あり得ますねー。戻りましょう」
僕とデュパンは洞窟へと走る。レリーフもついてくる。




