海での最優パーティー 13
「という訳で、お前ら、戦ってこい!」
僕はパムを引っ掴むと思いっきり投げる。なんか話すのがもう面倒くさくなってきた。
「うわ、うわ、うわ、うわ」
大きな放物線を描いて、パムは水竜向かって飛んでいく。いつもはノーコンな僕だが、こういうここ一番って時は意外にコントロールがいい。
ボコッ!
ものの見事に水竜の頭にパムが着地する。さすがスカウト、両足でしっかり水竜の頭を踏みしめている。そして、水竜はブンブン首を回すが、パムは器用に体勢を維持している。
「しょうがねー、行くぞ」
デュパンが駆け出し、それにレリーフとジニーも続く。
水竜は頭をさらに振り回し、パムは離脱して着地する。
水竜と対峙する4人。全員水着だ。冒険舐めてるのって言われても反論出来ない装備だ。
水竜が大きく息を吸うと、口から勢い良く水吹き出す。ウォーターカッター。高水圧の水で岩をも切断する、水竜固有のブレスだ。それを前に出たレリーフが体を広げ胸板で受け止める。
「軟弱な水鉄砲だな。筋肉が足りん筋肉が!」
どうでもいいが、強いブレスを吐くにはどこの筋肉を鍛えればいいのだろうか? らちが空かないと思ったのか、水竜が大きな前足をレリーフ向かって横に薙ぐ。そこにジニーが飛び出してそれを上げた左手片手で受け止める。だが面積が足りなく、体の全員を手が擦る。体重が乗った一撃だったが、ジニーはびくともせず負傷してるようには見えない。それより、体の前を強く引っかかれたのに、水着も無事だ。
「やっぱり、盾がないと不便ね」
ジニーは前に飛び出しながら、水竜の体に前蹴りを放つ。
ドゴッ!
重い音がするが、水竜は微かに揺れただけだ。
「殴り倒すぞ!」
飛び込んで行ったデュパンが、水竜をぶん殴る。水竜は微かに揺れただけだけど、デュパンはラッシュに入る。水竜はもたげた首を振り下ろすが、今度は手を十字に構えたジニーが跳び上がり受け止め弾き返す。デュパンたちの戦闘スタイルは、ジニーがタンクで攻撃を受け止め、デュパンが攻撃、パムが遊撃、レリーフが魔法攻撃という感じなんだろう。
巨大水竜は、後ずさりながら、牽制に前足を振る。そしてチラリと一瞬横を見た。そこには大きな水たまり。もしかしたら、海に繋がる道があるのか? そこに向かってジリジリと水竜は下がり始める。デュパンとジニーは殴ったり蹴ったりするが、前足で払われたりして、攻撃は散発的になってる。
「うおおおおーーっ」
レリーフが突撃して行き、後ろ足にしがみつく。まじか、水竜の動きを止めやがった。
「長くは保たん。早くやれ!」
レリーフの声のあとの三人は水竜を攻撃する事で答える。




