表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/46

一人きりのダンジョン 8

どうする?


普通に考えれば、外からの攻撃が効かないなら、内側からと考えるが、僕の武器と言ったら、このナイフしかない。

大トカゲが口を開けた所へ、ナイフを突き刺せば攻撃が通用するか?

でも、その時は口の中に入れた僕の腕も、大トカゲに噛まれて失くなりそうだ。


腕を犠牲にしてまで、倒す価値はない。

それなら、まずは目を攻撃するか?

視界を奪えば何とかなるはず。


よし、目を狙おう。

目だ!目だ!目だ!

僕はナイフを構え、大トカゲの目の一点だけを見つめていた。


「おい、おまえ!

そんなトカゲの目ばかり見ていたら、狙っている所、まる分かりだって~の

バカじゃね~のか?」


「えっ!?」


そんなに目を狙っていた事が、傍≪はた≫から見てもバレバレだったのだろうか?

健吾さんの位置から距離が離れているが、それでも僕が目を狙っていると分かったのだから、そう言う事だろう。


「もっと考えて攻撃しろ!

もし知能の高いモンスター、もしくは人間だったら攻撃を逆手に取られて、おまえが殺られるんだぞ!

一点だけを見るな!全体を見るんだ!」


「はい!」


モンスターはともかく人間が攻撃してくる事など有るのだろうか?


いや、何を言っている。

忘れたのか?最初のダンジョンで置き去りにされたことを…。

直接、手をくだしていないから違うと?

戦えない僕は、あのままモンスターの餌食になるところだったんだ。


弱い奴から金品、レア物を奪って殺す。

ダンジョン内では何が起きてもおかしくない。

それなら誰も信用するなということか?

いや、信頼出来る人を探さなければならない。

それが遥なのか?


今はまだ分からない。

もっとお互いの事を知らなければ、信頼出来るのかどうか分からない。

パートナーなんだから、もっと信頼しなければならない事は分かっているが、人との付き合いが苦手な僕は、最初のクランで裏切られたし、ちゃんと見極めなければという心理が働いているのかも知れない。


「何してる!トカゲは目の前だぞ!」


健吾さんの言葉で我にかえった僕は、目の前まで迫っているトカゲにビックリしてしまった。


「うわぁわわわわわ」


自分でもどこから声を出したのか分からないくらい動転していた。

トカゲとの距離、1メートル。

猛突進してきたトカゲは、そこで高くジャンプして僕に向かって襲いかかってくる。


『トカゲって飛べるんだ』


などと、呑気に考えている場合じゃない。

空から僕めがけてトカゲが降ってくる。

突然の事で、どうしたら良いのか分からない。

どうする?

逃げるのか?戦うのか?

余裕のない選択にどうしようもなく、恐怖のあまり目を閉じ、トカゲののし掛かる重さに耐えられず、その場で蹲≪うずくま≫ってしまった。


重い…。


トカゲの重量がのし掛かり、動く事が出来ない。

トカゲは動こうとしないし、もしかして僕は食べられたのか?


しかし、痛みはないし、トカゲの重さだけが僕の身体にのし掛かる。


『ポタッ、ポタッ、ポタッ」


僕の身体を通り、何かが流れていく。

ベタベタするし、この匂いは血の匂いか?

トカゲの身体に押し潰され、回りが見えない。

真っ暗闇。

これはトカゲの身体の中なのか?

その割にはトカゲの重量が僕の身体にのし掛かっているし、まさか、この血は僕の血なのか?

まさか、致命傷を受けたから、痛みを感じないだけで、僕の身体はトカゲによって引き裂かれたのか?


だけど、その割にはトカゲが重い。


「お~い、ハルト~。大丈夫か?」


まるで遠くの方から聞こえてくるような健吾さんの声だった。


「動けないんです。助けてください。

まだ死にたくないんです」


大きな声で叫びたかったが、トカゲが重すぎて僕の身体は圧迫され声が出ない。

もうすぐ死ぬからかも知れない。

僕の囁く声は健吾さんには届いていないだろう。


「待っていろ、すぐ助けるから」


そう言うと、圧迫されていた僕の身体は、トカゲが退かされたお陰で解放された。


太陽の光が眩しい!


迷宮だから太陽はないけど、暗闇から明るい場所に出てきて、ホワイトアウト。

眩し過ぎて、回りが確認出ない。


「まあ、危なっかしいけど一匹倒したな」


えっ、倒した?

僕が殺られた訳じゃないの?


「襲われた所を健吾さんが助けてくれた訳じゃないの?」


「何言ってる。トカゲを見てみろ」


僕は回りの光に慣れない目を一度擦り、トカゲを見てみると、舌を出し、仰向けになって死んでいるトカゲを見つけた。


そして、そのトカゲの腹には一本のナイフが刺さっている。

間違いなく僕が持っていたナイフだ。

そこから大量の血液が流れ出ている。


僕は自分の身体を見ると血まみれだった。

僕が殺られて僕の血が流れた訳ではなく、どうやらトカゲの血液だったようだ。


「よくやった」


珍しく健吾さんが誉めてくれる。


「よく気づいたじゃないか、トカゲの弱点が腹だと言うことに。

トカゲの外皮は固くて刃物は通りにくいが、ひっくり返して腹を刺せば、簡単だぜ。

おまけに心臓に1突きで倒すとは、よく考えたじゃないか」


健吾さんが誉めまくってくれるから、『いや、いや、たまたまですよ』とは言えず、僕は笑って誤魔化していた。

だけど次からトカゲを倒す時どうしようかと思っていた。


ひっくり返せば簡単だというけど、どうやってひっくり返す?

僕には無理だろう。

遥と二人なら出来るか?

でも今は1人だし…。


そんな事を考えていると健吾さんが、


「おまえの身体も血まみれだし、時間も時間だし戻るとするか?」


なんというタイミング。

自分のPC携帯を見ると3時を過ぎていた。

ほんの1時間くらいかと思っていたが、時間の過ぎるのは早かった。

道理でお腹が空いているはずだ。


団長達ももうすぐ帰ってくる頃という事なので、今日の狩りを終わり地上へと戻った。


そして、一本の電話がかかってきた。


簡単と





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ