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名も無きダンジョン 4

兎に角、マグレだと言われようが一匹は倒した。

これで少しは強くなっただろうか?

異世界話でよくある一匹倒しただけでもレベルがいきなり上がるという話は聞く。


現実でもそういった事例があるとは聞いた事はあるが、もしかして…、淡い期待を抱きつつ僕はステータスを確認するが、


武田 陽翔ハルト


クラン無所属


レベル   1


HP    10

MP    5

SP    5


振り分けステータスポイント 0


STR   3

MAT   3

DEF   3

MDA   2

DEX   3

AGl   2+0.5

lNT   3

CRl   2

LUK   6


スキル


暗視  レベル 2


魔法


無し


固有スキル


無し


固有魔法


無し


うん、やはりレベルは上がっていなかった。

1匹では当たり前か、甘い考えだったと思うしかない。

だが、気になったのは、AGLの横に+0.5が付いている事だ。

これは何だ?

成長率か?

1匹で+0.5という事か?


その時、遥が5匹目を倒した。

すると数字も+0.6に上がった。

考えられるのは遥の倒した分も僕のステータスに反映されるという事だ。

遥が5匹、僕が1匹、合わせて6匹。

1匹あたり+0.1となる。

遥と契約している所為なのか、それともパーティを組むと反映されるのかは、この場には二人しかいないので分からないが、それなら、わざわざ僕が戦わなくても遥に倒して貰えば、勝手にステータスが上がるという美味しい話になる。

だが、女性だけを戦わせて自分は高見の見物とは、やはり男として情けないだろう。


それにいくらステータスが上がっても自分自身の戦闘経験も積めないから、強くなったとはいえない。


一匹は倒したけど、自分で倒したという実感がない。

だって偶然ナイフが兎に刺さっていただけだし、初めてのモンスター狩り、せめて自分で倒したといえる実感が欲しかった。


残り4匹、遥は既に6匹目に向かって走っていた。

残りが少ない所為か、兎達は散り散りとなって逃げ始めていた。


マズイ


兎が出てくるまで探す事など出来なかったのに、逃げられたら最後、残りを探すのに苦労する事は目に見えて分かっていた。

だから、遥も急いで倒しにかかっている。

元々、遥は兎なんて眼中にないのか、1匹に的を絞り、素早く近き一撃で兎を倒していた。

レベル1と3では、ここまで違う物なのか?

それだけモンスターを倒して戦闘経験を積んできたと言う事だろう。

このままでは遥に狩り尽くされてしまう。

僕も周りを見回し、僕の近くにいる兎を探す。


『よし、アイツにしよう』


遥の居る所から逃げてきたのか、僕の事など眼中にないのか、僕の近くを横切り逃げようとする兎がいた。

 

気付いてないのか?


そのまま走り去ろうとしていたが、僕が逃がすわけない。

横切る兎に向かって、僕は走り寄り、ラグビーのトライを決めるかのように兎にナイフを突き立てた。


「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」


力んでいたのか、思わず自分でも驚くくらい声が出ていた。

その声に驚き、兎は反射的にステップを踏み横に躱し、悠々と走り去って行く。


「あっ」『ザザーーーー!』


兎を横目に一人でヘッドスライディングをして土まみれになってしまった。


「兎一匹に何やってるのよ!」


遠くから遥の叫び声が聞こえた。

はい、ごもっともです。

何も言い返す事が出来なかった。


「ペッ、ペッ、ペッ」


土が口の中に入った。

倒れたまま、兎の走り去る姿を見ていたら、突然、兎が消えた。


『えっ』


瞬間移動?

兎の特殊能力かとも思ったが、そんな話聞いた事はなかった。

僕は倒れたまま、這いつくばって兎の消えた辺りに近づき調べると、地面に兎1匹が通れるようような穴が開いていた。


まさか、これが巣穴か?


なんとか中を覗こうとするが、中は暗くてよく見えない。

何処まで続いているのだろうか?

穴の長さが長ければお手上げ、地面を掘るという手もあるが掘る為のスコップも無ければ、何処まで続いているかも分からない穴を無駄に掘る体力もない。

それよりかは兎が出てくるのを待った方が良いか?


考え抜いた挙げ句、とりあえず僕は穴の中に手を入れて穴の長さを測ろうと考えた。


高が兎、手の届く位置に兎がいたらラッキー、せめて奥行きの短い穴だったら良いな。


いざ、穴の中に手を伸ばす。

だが、やはり躊躇してしまう。

高が兎だと思うけど、兎だって捕まりたくないはず、どんな攻撃を仕掛けてくるか分からない。

狭い穴だから、蹴られたとしても助走や振りかぶったりできないから威力は落ちるはず…。


兎のほかに別の生き物とか居ないだろうな。


不安は過るが、1匹はどうしても狩りたい。

遥が奮戦して頑張っているのに、僕が狩った兎は一匹でしたとは言いたくない。

初めての狩りだから仕方がないとは思えるけど、あと一匹、自分の力で狩ってみたかった。

その気持ちで踏ん切りをつける。


僕は一気に手を穴の中へと伸ばした。

意外と長いか?

狭い穴に手の感覚で触れる物がないかと動かしてみるが何もない。


まだ奥へと続いているようだ。

更に僕はギリギリまで手を伸ばし、手探りで探してみると、


「痛っ!!」

 

突然、手に激痛が走った。

何かに噛まれたようだ。


咄嗟に僕は噛まれたままの手で掴んでいた。

どこを掴んでいるのかは、痛みで分からなかったが、相手は必死で抵抗し振り解こうとしている。

折角、掴んだチャンスを逃がす訳にはいかない。


痛みに耐えながら僕は引きずりだそうとするが、相手も堪えようとして耐えていたが、所詮モンスターと言っても兎、力比べは僕に軍配があがる。


兎は僕の手を噛んだまま、高く持ち上げられながらも、逃げようとして足がバタバタと揺れている。

僕は噛まれた手で兎の下顎を掴んでいた。

絶対に逃がすものか!


「早く止めを!」


遥が叫んでいる。

そうだ、止めを刺さないと、逃げられてしまう。

ナイフを構え刺そうとするが、兎を近くで見るとモンスターといえ、やはり兎。とてもかわいい。

つぶらな瞳で殺さないでと言っているようにも思える。

僕が躊躇っていると、遥が、


「殺さないんなら、私が止めを刺すわ」


そう言ってこちらへ走ってくる。

遥に止めを…、とも考えたが、それでは僕が倒した事にならないじゃないか。

手に怪我までして捕まえた兎。

やはり自分の手で…。


僕はナイフを兎に突き立てた。

でも、やっぱり最後まで見る事が出来ずに顔を背けてしまう。

多分、血が大量に出るのだろう。

慣れないといけないと分かってはいるけど、そんな光景など見たくない。

それでも、手には突き刺す時の感覚が残り、僕を噛んでいる口が手から緩んだことで倒した事が確認出来た。





なかなか進まずに申し訳ありません。

いつもながらスロースタートなので、まだ本編にも入ってないのではないのかと自分でも思うくらいです。

気長に待って読んでもらえたら光栄です。

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