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最強のキョウダイ  作者: ジータ
第一章
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第56話 孤立した村 14 現れる悪意

誤字脱字がありましたら教えてくれると嬉しいです。

「もうだいぶ倉庫整理進みましたねー」

「そうだね。君達が手伝ってくれたおかげだよ。ありがとう」


 リリアが出てから時間は経ち、タマナとローワは倉庫の整理を進めていた。気付けば予想した以上に時間が経って、普段から動いているわけではないタマナの体はすでに疲労を訴え始めていた。


「疲れただろう、少し休んでくれていいよ。今お茶を入れて来るよ」

「あ、どうかお気遣いなく」

「いやいや、せっかく手伝ってくれたんだ。これくらいはね」


 そう言って倉庫から出て行くローワ。残されたタマナは一人失礼かな、と思いつつも倉庫の中をジロジロと見てしまう。整理している時から感じていたことではあるが、ローワの持つ本の量は本当に凄まじい。本当に好きでなければできないことだ。


「面白そうな本もいっぱいあったなー。気になるけど、勝手に読むわけにもいかないし」


 国の歴史書から、最新の恋愛小説まで、ローワの持つ本のジャンルには偏りがなく、様々なジャンルの本が棚には並べられていた。


「これだけの本読もうと思ったらどれだけ時間かかるんだろ。私なら一生かかっても無理かも」


 タマナは本を読むのは好きだが、読むのが早いというわけではない。読んだとしても恋愛小説ばかりだし、ページをいったりきたりしてしまうのでなかなか先には進まない。一冊読み終えるのに数日はかかってしまうのだ。


「あれ、なんだろあの本」


 本棚に並べられた本を見ていると、一つだけ離れた位置に置いてあった本棚が目に入る。そこはローワが整理していた場所で、タマナたちは触らなくていいと言われていたからまったく気にしていなかった。しかし改めてその場所を見ているとそこに置いてある本だけ他とは様子が違った。背表紙が真っ黒で、何も書いてなかったのだ。そんな本がズラリと並べられている。あまりにも異質な雰囲気過ぎて不気味さすら感じるほどだ。


「…………」


 見てはいけない。そうは思いつつも興味を惹かれてフラフラと本棚に近づいてしまう。タマナは何かに導かれるように本に手を伸ばし、そして——


「どうかしたかい?」

「はひっ?!」


 突如として背後から聞こえたローワの声に驚き、反射的に伸ばしていた手を戻す。

 バッと振り向くと、タマナの背後には紅茶とお茶菓子を持ったローワが立っていた。


「あぁ、いえその、なんでもないです」


 タマナは慌てて本棚から離れ、元居た場所に戻る。


「そうかい? ならいいんだけど。すまないね。アンジーがまだ出かけてるものだから。私が紅茶を入れることになってしまった。あまり自信はないけど飲んでみてくれ。お茶菓子は買ってあったものだから、味は保証するよ」

「ありがとうございます」


 ローワに促され、座ったタマナは差し出された紅茶を飲む。ローワは自信は無いと言っていたが、タマナには紅茶の味の違いなどわからないため普通に美味しかったのだが、ローワは一口飲んで少しだけ顔をしかめた。


「うーん、やっぱりダメだね」

「そうですか? 普通に美味しいですけど」

「はは、そう言ってくれると嬉しいよ。でもダメなんだ。紅茶というのは難しいね。茶葉の量、お湯の温度、量。その他にも色々と……何か一つ変わってしまうだけで味が変化する。入れ方でここまで味が変化する飲み物というのも珍しい気がするね」

「そうですね。でも、私には全然わからないです。飲み慣れてないからっていうのもありますけど」

「せっかく良いお茶菓子を手に入れたのに残念だよ。こんなことならもっと勉強しておくべきだったな」

「あ、もしかして紅茶の本もあったりするんですか?」

「もちろん。入れ方から、好みの茶葉の選び方まで書いてある本がね」

「さすがですねローワさん」

「そんなことはないさ。そういえばさっきあの棚を見ていたみたいだけど……」

「あ、ご、ごめんなさい。少し気になっちゃって……あ、でも中は見てないですから!」

「そうかい。ならいいんだ。あれは私の日記のようなものでね。さすがに見られるのは恥ずかしいんだ」

「そうなんですね」

「まぁ、日記というよりは記録……という方が正しいかもしれないけどね」


 それから少しの間ローワと他愛もない話を続けていたタマナだったが、結構な時間が経っているのにリリアが戻ってこないことがさすがに気になり始めた。


「リリアさん遅いですね」

「そうだね、ちょっと時間がかかってるみたいだ」

「私も手伝いに行った方が……」

「あぁいや、君はここにいてもらうよ」

「え?」


 その瞬間だった。タマナの視界がぐにゃりと歪む。自分が立っているのか、座っているのか、それすらもわからなくなるほどに。手に持っていたティーカップが零れ落ち、ガシャンと大きな音を立てる。


「うーんやっぱりダメだね。自分でやると薬の調整がうまくいかないな」

「くす……り……?」

「やっぱりちゃんと勉強しないとね。知識というのは生かしてこそなんだから」

「ど……して……」

「さぁ眠るといい。安心したまえ、すぐにみんなそちらに行くことになるんだから。いや、もしかしたらハルト君達はもうすでに、かもしれないけどね」

「そん……」


 必死に体を動かそうとしてもタマナの体はピクリとも反応しない。意識はどんどんと引きずられ落ちていく。リリアに伝えなければ……しかしどれほど願っても体は動かない。やがてタマナの意識は深い闇の中へと沈んでいった。



今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。

ブックマーク&コメントしていただけると私の励みになります!

それではまた次回もよろしくお願いします!


次回投稿は4月8日21時を予定しています。

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